【制度理解】就労支援事業所の「常勤換算方法」に追加された1文
こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやんです。国内で、就労支援事業所の開業・経営支援を行っています。今回は、「障害者総合支援法(略)に基づく指定障害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準について」から気になるポイントについてPickupします。
今回取り上げるのは、用語の定義「常勤換算方法」に、令和3年度から新たに新設された内容です。ソーシャルビジネスにおいて、制度理解は極めて大切なので、しっかりと確認していきましょう。
今回の制度変更内容の結論
支援員の中で、フルタイムかつ育休・介護等で所定労働時間を短縮(1日6時間)する措置を講じている事業所は、人員基準の計算方法が柔軟になります。
就労支援事業も対象の「常勤換算方法」の内容(これまで)
これまでの文面は以下のとおりです。
2.用語の定義(基準第2条)
(1)「常勤換算方法」
指定障害者支援施設等の従業者の勤務延べ時間数を当該指定障害者支援施設等において常勤の従業者が勤務すべき時間数(1週間に勤務すべき時間数が32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)で除することにより、当該障害者支援施設等の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法をいうものである。この場合の勤務延べ時間数は、当該施設障害福祉サービスに従事する勤務時間の延べ数であること。
この内容から、就労支援事業所等の障害福祉サービスにおいて、常勤換算の方法が定められています。
就労支援事業も対象の「常勤換算方法」の内容(変更点)
これまでの文面に加えて、以下の内容が新設されました。
新設内容
ただし、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号)第13条第1項に規定する措置(以下「母性健康管理措置」という。)又は育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号。以下「育児・介護休業法」という。)第23条第1項、同条第3項又は同法第24条に規定する所定労働時間の短縮等の措置(以下「育児及び介護のための所定労働時間の短縮等の措置」という。)が講じられている場合、30時間以上の勤務で、常勤換算方法での計算に当たり、常勤の従業者が勤務すべき時間数を満たしたものとし、1として取り扱うことを可能とする。
各参考法令
参考:男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号)第13条第1項
事業主は、その雇用する女性労働者が前条の保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするため、勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置を講じなければならない。
参考:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)第23条第1項、同条第3項
事業主は、その雇用する労働者のうち、その三歳に満たない子を養育する労働者であって育児休業をしていないもの(一日の所定労働時間が短い労働者として厚生労働省令で定めるものを除く。)に関して、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の申出に基づき所定労働時間を短縮することにより当該労働者が就業しつつ当該子を養育することを容易にするための措置(以下この条及び第二十四条第一項第三号において「育児のための所定労働時間の短縮措置」という。)を講じなければならない。ただし、当該事業主と当該労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で、次に掲げる労働者のうち育児のための所定労働時間の短縮措置を講じないものとして定められた労働者に該当する労働者については、この限りでない。
一 当該事業主に引き続き雇用された期間が一年に満たない労働者
二 前号に掲げるもののほか、育児のための所定労働時間の短縮措置を講じないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの
三 前二号に掲げるもののほか、業務の性質又は業務の実施体制に照らして、育児のための所定労働時間の短縮措置を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者
3 事業主は、その雇用する労働者のうち、その要介護状態にある対象家族を介護する労働者であって介護休業をしていないものに関して、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の申出に基づく連続する三年の期間以上の期間における所定労働時間の短縮その他の当該労働者が就業しつつその要介護状態にある対象家族を介護することを容易にするための措置(以下この条及び第二十四条第二項において「介護のための所定労働時間の短縮等の措置」という。)を講じなければならない。ただし、当該事業主と当該労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で、次に掲げる労働者のうち介護のための所定労働時間の短縮等の措置を講じないものとして定められた労働者に該当する労働者については、この限りでない。
一 当該事業主に引き続き雇用された期間が一年に満たない労働者
二 前号に掲げるもののほか、介護のための所定労働時間の短縮等の措置を講じないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの
参考:同法第24条
事業主は、その雇用する労働者のうち、その小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関して、労働者の申出に基づく育児に関する目的のために利用することができる休暇(子の看護休暇、介護休暇及び労働基準法第三十九条の規定による年次有給休暇として与えられるものを除き、出産後の養育について出産前において準備することができる休暇を含む。)を与えるための措置及び次の各号に掲げる当該労働者の区分に応じ当該各号に定める制度又は措置に準じて、それぞれ必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
一 その一歳(当該労働者が第五条第三項の規定による申出をすることができる場合にあっては一歳六か月、当該労働者が同条第四項の規定による申出をすることができる場合にあっては二歳。次号において同じ。)に満たない子を養育する労働者(第二十三条第二項に規定する労働者を除く。同号において同じ。)で育児休業をしていないもの 始業時刻変更等の措置
二 その一歳から三歳に達するまでの子を養育する労働者 育児休業に関する制度又は始業時刻変更等の措置
三 その三歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者 育児休業に関する制度、第十六条の八の規定による所定外労働の制限に関する制度、育児のための所定労働時間の短縮措置又は始業時刻変更等の措置
2 事業主は、その雇用する労働者のうち、その家族を介護する労働者に関して、介護休業若しくは介護休暇に関する制度又は介護のための所定労働時間の短縮等の措置に準じて、その介護を必要とする期間、回数等に配慮した必要な措置を講ずるように努めなければならない。
要約
今までの障害者総合支援法では、常勤換算で「1」と算出するためには、法人が定める所定労働時間を満たす必要がありました。今回の法の新設により、所定労働時間に関わらず育児・介護に基づく所定労働時間の短縮措置を講じている場合は、週30時間の勤務実績(1日6時間勤務など)により常勤換算「1」と算出できるようになります。
実務上の注意点
実際に本法令を踏まえて体制を構築する場合には、以下の点に注意が必要です。
- 育児・介護休暇を取得について就業規則に定める
- 従業員に周知されている内容である
- 従業員を10名以上雇用している会社であれば労働基準監督署に提出
育児・介護に関する短時間勤務制度は、誰もが柔軟に働きやすい組織づくりを進めていく上で大切な考え方です。しかし、労務上の適切な運用が必要になる項目です。事業所が活用する場合には、社労士等と相談し、運用上のミスが無いよう、注意いただければと思います。
まとめ
令和3年度の障害福祉サービス等報酬改定では、障害福祉サービスが持続可能な質の高いサービスとなるよう議論されてきました。特に、従業員の賃金問題や、離職率の低下は、よく議題に上がります。今回の改定によって、育児や介護に携わる、福祉業界で活躍する人材が流失しない結果となるよう願っております。就労支援事業運営.comでは、国内で就労支援事業所の開業・運営支援を行っております。興味のある方は、お問い合わせください。
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参考資料
厚生労働省HP
https://www.mhlw.go.jp/content/000762248.pdf