【制度理解】就労支援事業所における「勤務体制の確保等」について
こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやんです。国内で、就労支援事業所の開業・経営支援を行っています。今回は制度理解のコーナーです。障害者総合支援法の条文とその解釈に関する基準を含め、丁寧に確認していきましょう。
今回は勤務体制の確保等についてです。障害福祉サービスが、障害者に対して適切に勤務を提供できるよう従業者の勤務体制に関する事項を基準に定めています。従業員の労働環境に関する内容も含まれていますので、是非ご一読いただき、自社施設の体制を見直すきっかけとなれば幸いです。
※当記事は令和3年度の報酬改定時に発表された「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準について【新旧対照表】」を参考に作成しています。法解釈は運営している市区町村によって変わる可能性がありますので、事業を実施する地域の管轄市区町村にご確認いただきますようお願い申し上げます
本記事の結論
勤務体制の確保には、就労系サービスの職場環境として、従業員の資質向上だけでなくパワハラやセクハラについて対策する必要があります。中小規模の事業所も例外ではなく、具体的な対応をめなければ、事業の持続可能性を低下させる要因になりかねません。
就労支援事業所における勤務体制の確保とは
指定障害福祉サービスが、障害者に対して適切なサービスを提供できるよう、従業員の安定した勤務体制に必要とされる内容が記載されています。
基準第42条に定められています。同条の内容は以下のとおりです(一部要約)。
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- 利用者に対し、適切な施設障害福祉サービスを提供できるよう従業者の勤務の体制を定める
- 施設障害福祉サービスの種類ごとに、当該指定障害者支援施設等の従業者によって施設障害福祉サービスを提供しなければならない。ただし、利用者の支援に直接影響を及ぼさない業務については、この限りでない。
- 従業者の資質の向上のために、その研修の機会を確保しなければならない
- 適切な施設障害福祉サービスの提供を確保する観点から、職場において行われる性的な言動又は優越的な関係を背景とした言動であって業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより従業者の就業環境が害されることを防止するための方針の明確化等の必要な措置を講じなければならない。
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実務上のポイント
勤務体制を定める
就労支援事業所は、原則月ごとの勤務表を作成し、適切な人員配置と管理者との兼務関係などを明確にする必要があります。
業務委託者が支援を提供することは不可
障害者に直接支援を提供するものは事業所の従業者の必要があります。ただし、清掃や郵送など、障害者に直接支援を提供しない位置づけであれば、業務委託者も可能となります。
※医療連携体制加算の看護職員については、加算の条文から業務委託者でも可能です
研修の機会を確保するのは事業所側の努力
事業所は、従業員が研修を受講するための環境を整備できるよう努めなければなりません。
セクハラ・パワハラ防止の対応
セクハラ・パワハラ防止のため、事業所は以下の対応を講じる必要があります。
- セクハラ防止の方針を明確化して従業員へ周知徹底
- 相談の担当者を予め決める
尚、パワハラの防止に向けた方針の明確化については、令和4年4月1日より中小企業は義務化されます。事業所として、早めに規定する必要があります。
従業員が顧客から著しいパワハラを受けた場合に、事業者は適切に従業員に配慮ができるよう、以下をさだだめることが望ましいとされています。
- 相談に応じ適切に対応するために必要な勤務体制等の整備
- 被害者への配慮のための取組(メンタルヘルス相談、一人で対応させないなど)
- 被害防止のための取組(マニュアル、研修など)
まとめ
指定障害福祉サービスでは、障害者に対する権利保護等が注目されがちです。しかし、従業員の労働環境問題なども重要な社会課題です。事業者は従業員の労働環境を整備し、持続的に福祉に係ることができるよう配慮する必要があります。本条の規定を踏まえ、自社施設の労働環境に関する課題を明確にした上で対応いただければと思います。
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参考資料
厚労省HPより