【制度理解】就労支援事業所における「苦情解決」とは

法理解

【制度理解】就労支援事業所における「苦情解決」とは

 こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやんです。国内で、就労支援事業所の開業・経営支援を行っています。今回は制度理解のコーナーです。障害者総合支援法の条文とその解釈に関する基準を含め、丁寧に確認していきましょう。

 今回は苦情解決について確認していきます。就労支援事業所は、事業所に対する苦情について、適切に対応し改善を図ることが義務付けられています。改善だけでなく、報告の責任もありますので、内容を確認ししっかりと対応していきましょう。

※当記事は令和3年度の報酬改定時に発表された「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準について【新旧対照表】」を参考に作成しています。法解釈は運営している市区町村によって変わる可能性がありますので、事業を実施する地域の管轄市区町村にご確認いただきますようお願い申し上げます。

本記事の結論

 就労支援事業所は、障害者やその家族からの苦情に対して、内容を必ず記録します。加えて、行政からの調査依頼に協力し、指導を受けた場合には改善と報告を徹底する必要があります。

「苦情解決」とは

 基準第52条に規定されています。同条は以下のように解釈できます。

(要約)

  • 就労支援事業所は苦情に迅速かつ適切に対応できるよう苦情を受け付ける窓口を開設する
  • 苦情内容は必ず記録
  • 市町村・都道府県からの調査依頼には協力しなければならない
  • 市町村・都道府県から指導や助言を受けた場合には、改善結果を指導等を受けた窓口に報告しなければならない

実務ポイント

  • 苦情相談窓口は利用契約書または重要事項説明書に記載し、契約時の説明および施設への掲示が必要
  • 事業所は苦情を施設改善運営のために重要な情報であることを意識し、情報収集に努めなければならない
  • 社会福祉協議会の運営適正委員会が苦情を踏まえ、事業所運営の適正化を目的とした調査を依頼した場合、事業所は可能な限り応じなければならない

 事業を行う上で顧客満足度は大切です。福祉における障害者は決して「お客様」という位置づけではありません。しかし、障害福祉サービスを提供する側として、サービスの受け手が自社についてどのような感想を持っているのか、常に意識する必要があります。利用者や家族からの苦情は決してネガティブなものではなく、情報を収集する努力を怠らないことで、より高品質なサービス提供を実現することが可能です。普段のサービス提供のなか、満足度を調査する仕組みが未構築であれば、留意いただければと思います。

まとめ

 苦情は、顕在化する前段階として小さい要因が複数隠れているものであると考えられます。事業所としては苦情が発生する前に障害者の小さな不満を解消する努力が必要です。日々、利用者が記入する日報に注意を向けるだけでなく、定期的な満足度調査などを実施することで、苦情になりうる情報をキャッチする努力を徹底いただければと思います。就労支援事業所の改善点につながれば幸いです。

 就労支援事業運営.comでは、国内で就労支援事業所の開業・運営支援を行っております。興味のある方は、お問い合わせください。最後までご覧いただきありがとうございます。 

LINEで無料相談を実施する

 LINE相談は福祉スタッフの皆さんとの出会いの場と位置付けております。生きた現場課題に触れることが、情報発信に重要と考えておりますので、是非お気軽にご活用いただければ幸いです。

友だち追加

参考資料

厚労省HPより

https://www.mhlw.go.jp/content/000762248.pdf