【制度理解】就労支援事業所における「食事」について

法理解

【制度理解】就労支援事業所における「食事」について

 こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやんです。国内で、就労支援事業所の開業・経営支援を行っています。今回は制度理解のコーナーです。障害者総合支援法の条文とその解釈に関する基準を含め、丁寧に確認していきましょう。

 今回は就労支援事業所における食事の提供について確認していきます。近年は、就労支援事業所の種類に関わらず食事を提供する事業所が増えてきました。障害者の口に入るものを提供するため、遵守するべき基準があります。しっかりと確認していきましょう。

※当記事は令和3年度の報酬改定時に発表された「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準について【新旧対照表】」を参考に作成しています。法解釈は運営している市区町村によって変わる可能性がありますので、事業を実施する地域の管轄市区町村にご確認いただきますようお願い申し上げます

本記事の結論

 食事を提供する場合には、障害者個々の特性に合わせたメニューを提供し、内容や費用については予め障害者本人から同意を得る必要があります。

就労支援事業所における「食事」とは

 基準第34条に規定されています。同条には、以下の内容が記載されています。

  1. (入所施設の要件のため割愛)
  2. 食事を提供する場合には予め障害者から内容及び費用に関して説明を行い、同意を得る
  3. 障害者個々の特性や年齢に合わせて、適切な栄養量及び内容の食事の提供を行うため、必要な栄養管理を行わなければならない
  4. 予め作成された献立に合わせて実施しなければならない
  5. 食事の提供を行う場合に、事業所に栄養士を置かない場合には、献立や栄養価の算定及び調理の方法について保健所等の指導を受けるよう努めなければならない

実務上の注意

  1. 外部業者と連携する場合に献立の作成担当者等を把握しておく必要がある
  2. 障害者の特性により本人が希望しているにも関わらず食事の提供が難しい場合、特に外部業者と連携している場合には定期的に情報共有したうえで食事内容の調整などに努めなければならない
  3. 食事提供体制加算を算定する場合、障害者本人から徴収する金額は、食事提供に必要な人件費+材料費から取得加算分を控除した金額とすることが望ましい

 就労支援事業所で食事を提供するに当たっては、その目的が「①就労に向けた訓練」、「②低所得者の費用負担」、「③その他支援の意義があるもの」から逸脱してはいけません。また、障害者個々の特性に合わせた事業所側の努力が求められるので、障害特性を理由に食事を提供しないことは認められず、どのような配慮を行うことで食事が提供できるのか、また必要な対応は何かについて議論を重ねる必要があります。障害者の日常生活の自立も支援範囲に含まれる障害福祉サービスにおいて、食事は重要な日常生活行為です。先ずは基準を理解した上で、日々の業務に反映いただければ幸いです。

まとめ

 就労支援事業所として、就労面に限定せず衣食住を包括的に捉えて支援に当たることは大切です。よって、事業所として食事提供を検討することは支援の提供として深い意義があります。ただし、障害者の特性によっては、通常の食事が難しいことや、糖質、タンパク質量などの栄養について医師の指導を受けている可能性もあり、全障害者に標準的に提供することはできません。支援意義ももちろんですが、運用面のコストも十分に把握した上で提供を検討いただければと思います。

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参考資料

厚労省HPより

https://www.mhlw.go.jp/content/000762248.pdf