【制度理解】就労支援事業所における「秘密保持等」とは

法理解

【制度理解】就労支援事業所における「秘密保持等」とは

 こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやんです。国内で、就労支援事業所の開業・経営支援を行っています。今回は制度理解のコーナーです。障害者総合支援法の条文とその解釈に関する基準を含め、丁寧に確認していきましょう。

 今回ご紹介するのは、就労支援事業所における「秘密保持等」についてです。障害者やその家族の個人情報を多数保管する事業所内では、障害者に対しても秘密保持を徹底いただく必要があります。当該基準をしっかりと確認していきましょう。

※当記事は令和3年度の報酬改定時に発表された「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準について【新旧対照表】」を参考に作成しています。法解釈は運営している市区町村によって変わる可能性がありますので、事業を実施する地域の管轄市区町村にご確認いただきますようお願い申し上げます

本記事の結論

 就労支援事業所の秘密保持は事業者の責任で徹底されます。たとえ管理者、サービス管理責任者だとしても、安易に情報を漏洩しない仕組みを構築する必要があります。

就労支援事業所における「秘密保持等」とは

 基準第49条に記載されています。同条の内容は以下のとおりです。

(要約)

  • 事業所の職員は正当な理由がなく業務上で知り得た利用者又は家族の秘密を漏らしてはいけない
  • 事業者は従業員が秘密を漏らさないように必要な措置を講じなければならない
  • 事業所が他のサービズ事業所等に情報を提供する場合には、当該利用者又はその家族の同意を文章で得ておかなければならない

 就労支援事業所の実務運営上、障害者や家族の秘密事項を取り扱うことが多くあります。職員個々の意識だけでなく、事業所は情報漏えいの抑止力となる対応を行う必要があります。これらの実務ポイントは以下のとおりです。

実務ポイント

  • 「秘密」の定義を理解した上で体制構築を進める
  • 利用契約の締結段階で障害者と個人情報・秘密事項使用の同意を締結する
  • 他事業所の職員を交えて実施する支援会議も、取り扱う情報は秘密情報であることを理解した上で対応を行う

 「秘密」という言葉は大変抽象的な表現です。定義は、「個人や組織が、外集団に対して公開しない情報」となります。このことからも、職員と障害者が1対1の面談を行った場合、秘密情報の共有を行ったことと同義になります。就労支援事業所では障害者の日常の様子などをアセスメントしますが、これらの情報も秘密情報となります。だからといって、障害者とひとつひとつの情報に対する使用や開示の合意を得ていては埒が明きません。事業所は、障害者と利用契約を締結する場面で、しっかりと個人情報の使用に関する同意を得ることで、支援記録や関係機関との情報共有における合意形成を働きかける必要があります。

 このように、書面による合意形成は違反に対する抑止力につながります。事業所は、個々の職員とも秘密保持の合意に係る合意書の取り交わしが必要です。特に、情報の共有や開示が可能である先を書面上で定義することで、職員に秘密情報の取扱いへの緊張感を与えることができます。自社施設の体制を見直していただき、是非ご活用いただければと思います。

まとめ

 近年は情報社会の中、迅速な情報共有が可能になっています。その反面、機密情報や個人情報の保護に対する意識も益々強まっています。新しい技術を活用する場合に、情報管理の課題が露呈します。しかし、情報管理を理由に新しい技術を遠慮していては、運営体制のより良い変化を実現することはできません。メリハリを意識し、しっかりと情報管理する仕組みを構築いただければと思います。

 就労支援事業運営.comでは、国内で就労支援事業所の開業・運営支援を行っております。興味のある方は、お問い合わせください。最後までご覧いただきありがとうございます。 

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参考資料

厚労省HPより

https://www.mhlw.go.jp/content/000762248.pdf