【制度理解】就労支援事業所における「身体拘束等の禁止」とは
こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやんです。国内で、就労支援事業所の開業・経営支援を行っています。今回は制度理解のコーナーです。障害者総合支援法の条文とその解釈に関する基準を含め、丁寧に確認していきましょう。
今回ご紹介するのは「身体拘束等の禁止」についてです。法律では、事業所が支援を提供するに当たり身体拘束を禁じています。身体拘束は、人権の問題等に発展しかねないため、事業所は当該基準を十分に理解し、従業員に周知徹底を図る必要があります。是非最後まで御覧ください。
※当記事は令和3年度の報酬改定時に発表された「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準について【新旧対照表】」を参考に作成しています。法解釈は運営している市区町村によって変わる可能性がありますので、事業を実施する地域の管轄市区町村にご確認いただきますようお願い申し上げます
本記事の結論
身体拘束等は、運用方針の適正化を図るため、委員会を設置し方針を策定する必要があります。委員会を通じて運用指針を整備するとともに、従業者に対する研修を実施するなど周知徹底に努めなければなりません。
就労支援事業所における「身体拘束の等の禁止」とは
基準第48条に規定されています。同条には、以下のような文言が記載されています。
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(要約)
- 身体拘束は、利用者または他の利用者の生命・身体を保護するための緊急やむを得ない場合を除き行ってはならない
- 「身体拘束等」とは身体的拘束やその他利用者の行動を制限する行為のことをいう
- やむを得ず身体拘束等を行う場合、その状況、時間、理由を記録しなければならない
- 適正化の観点から、①委員会の設置、②適正化の指針、③研修の定期的な実施を進めなければならない
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事業所は、基準に記載されている内容を具体的な実務に反映し、適切に運用することが求められます。特に、委員会は定期的に開催する必要があるため、年間スケジュール等に留意する必要があります。
実務ポイント
以下が実務上のポイントとなります。
- 委員会は法人単位で設置可能
- 虐待防止委員会との同時開催可能
- 委員会の定期開催は1年に1回程度が理想
- 新入職員の入社時は「身体拘束の禁止」に関わる研修を実施する必要がある
その他、委員会の進め方等は以下のとおりです。
身体拘束適正化委員会の具体的な対応
- 身体拘束等についての報告書の様式整備
- 身体拘束等の報告状況
- 身体拘束事例の集計と分析
- 分析結果における適正化判断・対応検討
- 検討事項の職員への周知徹底や効果の検証
身体拘束適正化のための指針について
当該指針には以下の項目を盛り込む必要があります。
- 身体拘束等の適正化に関する基本的な考え方
- 適正化委員会やその他の組織体制について
- 研修の方針
- 身体拘束等の発生の対応に関する基本方針
- 当該方針の閲覧等に関する方針
- その他、身体拘束等の適正化推進のための基本方針
身体拘束適正化委員会の研修の実施
当該指針が適切に運用されるために、事業所は1年に1回程度の定期的な研修を開催する必要があります。新入職員の研修にも加えることで、職員の周知徹底を図る必要があります。
まとめ
障害者の身の安全を確保するために、社会福祉サービス事業所は、法に基づいた適切な運営を心がける必要があります。身体拘束等は、緊急的に実施しなければならない事態が訪れることからも、個々の従業員が適切な判断基準を理解する必要があります。従業員が適切な判断を行えるためには、事業所として環境を整備する必要があるため、本基準を十分に確認する必要があります。施設の運用方法を見直すきっかけにしていただければと幸いです。
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参考資料
厚労省HPより