【制度理解】就労支援事業所で行われる「訓練」について

法理解

【制度理解】就労支援事業所で行われる「訓練」について

 こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやんです。国内で、就労支援事業所の開業・経営支援を行っています。今回は制度理解のコーナーです。障害者総合支援法の条文とその解釈に関する基準を含め、丁寧に確認していきましょう。

 紹介するのは、「訓練」についてです。就労支援事業所で毎日当たり前のように提供されている訓練。基準には一体どのような内容が記載されているのでしょうか。しっかりと理解した上で日々の業務の当たりましょう。

※当記事は令和3年度の報酬改定時に発表された「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準について【新旧対照表】」を参考に作成しています。法解釈は運営している市区町村によって変わる可能性がありますので、事業を実施する地域の管轄市区町村にご確認いただきますようお願い申し上げます

本記事の結論

 就労支援事業所は、事業所として就労面の支援だけでなく、生活面の課題を解決する支援も提供する必要があります。また、就労移行支援事業所の場合は、就職後の障害者が安定して職場定着を実現できるよう、通勤訓練も提供する必要があります。

就労支援事業所で提供される「訓練」とは

 基準第27条には以下のように記載があります。

指定障害者支援施設等は、利用者の心身の状況に応じ、利用者の自立の支援と日常生活の充実に資するよう、適切な技術をもって訓練を行わなければならない。

2 指定障害者支援施設等は、自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援又は就労継続支援B型の提供に当たっては、利用者に対し、自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、利用者の心身の特性に応じた必要な訓練を行わなければならない。

3 指定障害者支援施設等は、常時一人以上の従業者を訓練に従事させなければならない。

4 指定障害者支援施設等は、その利用者に対して、利用者の負担により、当該指定障害者支援施設等の従業者以外の者による訓練を受けさせてはならない。

 就労支援事業所では、障害者に対して「仕事に関する訓練」に限定されがちです。しかし、目的は「職場復帰」ではなく、「自立した社会生活」を念頭に置く必要があります。

「訓練」を提供する上での留意点

 基準を読み取ると以下のポイントが判断できます。

  • 障害福祉計画に記載の目標を念頭において支援を提供する
  • 地域で自立した日常生活または社会生活を営めるようにする観点から生活全般にわたる諸課題を解決するための訓練も含めて総合的に支援する
  • 就労移行支援事業所は通勤のための訓練を実施しなければならない

 基準上は、具体的な内容として「通勤訓練」について書かれています。一般就職に向けて、身体・精神負担となる通勤の課題に対して、事業所は事前に十分対応を行う必要があります。

まとめ

 就労支援事業所は「就労」に関して専門性を持ちます。しかし、更に抽象的に捉えると、障がい福祉サービスの社会的な位置づけは「障害者の日常生活・社会生活を総合的に支援すること」にあります。たとえ就労支援事業所でも、生活面の課題を十分に把握した上で、事業所として課題解決をサポートする必要性が本基準には規定されています。事業所として、生活面をサポートするための具体的な方法を打ち出すことで、国の考えに沿った事業所運営につながりますので、是非ご参考いただければ幸いです。

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参考資料

厚労省HPより

https://www.mhlw.go.jp/content/000762248.pdf