【番外】資金調達について考える

就労支援事業所開設マニュアル

【番外】資金調達について考える

 こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやんです。国内で、就労支援事業所の開業・運営支援を行っています。今回は番外編です。就労支援事業所の開業時に必要となる資金調達について注意するポイントを考えたいと思います。

資金調達とは

 経営を行っていくためには資金が必要です。特に就労支援事業のように、物件を整備し国の許認可を得て運営する事業は、物件の整備や人材の確保に初期費用が必要です。加えて、開業時も障害者が通所していないため、基本的には売上は0円からスタートします。障害者が通所し、事業が黒字化するまでの運転資金も確保する必要があります。

 資金調達をシンプルに捉えると、「普通預金または現金のように、すぐに使えるお金として手元に資金をかくほすること」と考えていただければと思います。実際に資金調達を実施する方法はいくつかあり、以下の記事で紹介していますのでぜひご覧ください。

就労支援事業所の開業に必要な資金の総額は

 就労支援事業所を経営するには、1,200万円~2,000万円の資金を確保する必要があります。この金額の差については、開業を検討している地域や、オーナーが活用できるヒトやモノの状況によって変わります。費用感のイメージとしては、イニシャルコストで500万円~700万円、ランニングコストで700万円~1,300万円のイメージになります。

 特に費用面で地域差が大きいのは、物件と人件費です。物件は、許認可を得るために必要な各種要件を十分に確認しないまま確保してしまうことで、追加工事費の発生などにより費用が高くなります。人件費は、開業初期から人員基準を満たすように人材確保を行う必要があるなか、各人員に対して職務記述ができておらず、開業後にコストばかり費やしてしまうことがあります。

 上記の必要な総額は、保守的に見た数字ではあります。経営者は手持ちの資本金と、借り入れのバランスを考えて、十分資金を確保できるように戦略を立てましょう。

資金調達(創業融資)の方法

 融資は資金の返済を行うことを前提に金融機関から資金を借りる制度です。出資とは異なります。会社の創業時は、以下のような選択肢が考えれれます。

  • 日本政策金融公庫からの融資
  • 信用保証協会のサポートを受けて融資
  • 銀行からの融資

日本政策金融公庫からの融資

 起業・創業初期は「新創業融資制度」を活用することができます。この制度を活用すれば、上限3,000万円(うち運転資金は1,500万円)、金利0.66%~2.80%で借りることができます。

 借り入れ金額は、申込み時の事業計画や、借り入れ者の自己資金の金額によって決まります。一般的に[自己資金の10倍まで借りられる」と表現されることがありますが、所感としては自己資金の3倍程度の印象です。1,500万円の資金を確保するのであれば、500万円程度は自己資金として確保する必要があります。

 メリットとして、借り入れ金額によりますが、無担保・無保証での融資が可能という点です。就労支援事業の開業に向けて、先ず検討いただいていいのでは無いかと考えています。

銀行からの融資

 民間の金融機関に融資を申し込む方法です。創業時は、会社と起業者の信用が無いことから、大手メガバンクは相手にしてくれないことが多いです。地方の銀行の場合は、メガバンクより優しい対応です。金利や担保・保証が必要になる可能性があるなど、日本政策金融公庫と比べれば条件が悪いこと言えます。

信用保証協会のサポートを受けて融資

 民間の金融機関から借り入れで創業初期の会社に対して、信用保証協会が信用保証を付けてくれる制度になります。利用する地方公共団体等でサポートの内容が変わります。

よくやりがちな失敗例

 金融機関の主な売上は、融資の実行後に支払う利息になります。借り入れの相談時は、利息を踏まえて元金を返済、事業が拡大している場合には追加の融資などを実行するに相応しい将来性のある事業内容であるか確認します。初めて資金調達を実施する場合にありがちな失敗は以下のとおりです。

  • 借り入れ者の信用情報に傷がついている
  • 融資の対象とならない資金の使いみちとなっている
  • 自己資金が本来の形ではない、いわゆる「見せ金」となっている
  • 事業計画が整備されていない
  • 事業内容の質問に対して明確に回答できていない
  • 就労支援事業の専門家ではない者(税理士や資金調達代行業者など)に相談している

 しっかりと借りたお金を銀行に返すまでのストーリーを明確にして、その後の成長性まで示すことができることが大切になります。就労支援事業は、近年数が増えているので、金融機関の担当者でも事業内容を把握しているケースがあります。今回初めて就労支援事業を行う経営者の場合、事業の重要ポイントを把握していない可能性が高いです。このような状況で面談に臨んでしまうと、十分な質疑ができず、希望金額の融資が実行できない可能性があります。

失敗せずに資金調達するためには

 失敗しないためには、以下の点を十分に整備する必要があります。

  • 借り入れ者の信用力を精査
  • 金融機関に優良事例と理解いただけるようにストーリーを整備する
  • フレームワークなどを活用し第3者でも分かる完全な事業計画書を整備
  • 借りるためだけの計画ではなく、事業の成長性を示した補足資料を整備
  • 金融機関が重視しているポイントを理解する
  • 創業融資の実績が豊富なサポーターと連携する

 貸し手側の金融機関の視点に立って、「貸すことがふさわしい相手か、事業か、将来性はあるか」というポイントをつかみストーリーを整備していきましょう。尚、一度融資面談に失敗してしまうと、半年は面談を受けることができません。せっかくのビジネスチャンスで痛手を負わないように、創業融資を専門で支援している支援機関と連携することをお勧めまします。就労支援事業運営.comは、就労支援事業に特化した創業融資のサポートを行っています。事業のポイントと全国で創業融資の案件をサポートした実績を踏まえ、開業時の資金調達がスムーズに進むようにご支援いたしますので、お気軽にお問い合わせください。

まとめ

 ビジネスにはお金が必要です。しっかりとした計画があれば、金融機関は強力なビジネスパートナーとして、事業のサポートを行ってくれます。先ずは、事業の計画と、成功ポイントを明確にすることが重要です。初めて就労支援事業に参入する場合、事業計画書や面談対応で失敗しないための対策が必要です。全国には融資を専門にサポートしている業者も多くありますが、就労支援事業のことを理解しているわけでは無いので、依頼は十分に検討したうえ、ご判断いただければと思います。就労支援事業運営.comでは、就労支援事業の開業から経営サポートを全国で実施しています。お気軽にお問い合わせください。

 最後までご覧いただきありがとうございます。