【令和3年制度変更あり】人員基準を理解する

就労支援事業所開設マニュアル

【令和3年制度変更あり】人員基準を理解する

 こんにちわ!就労支援事業運営.comの管理人です。国内で、就労支援事業所の開業・運営支援を行っています。就労支援事業などのソーシャルビジネスは国の認可を受けて運営します。そのためには、国が定める様々な基準を満たす必要があります。基準の中に、「人員基準」というものがあります。理解するとシンプルなのですが、初めてソーシャルビジネスに参画する方には、少々ややこしい内容になっています。今回は人員基準について学んでみましょう!

※設備基準は施設の認可を管轄する窓口によって解釈が変わる場合があります。制度の解釈は、必ず管轄行政窓口に確認いただくようお願いいたします。

人員基準とは

 就労支援事業等の社会福祉事業を適切に運用するために設けられた基準です。「適切な事業所運営を行うために最低限必要と考える職員の人数」を国が考える最低水準のマンパワーを確保するために、人材の雇用等を行い配置する必要があります。また、サービス提供を行う上での役割分担があり、職種の違いや資格要件などをしっかりと満たす必要があります。

人員基準はどのようにチェックされるのか

 最初は実地指導により確認が行われます。行政担当者が中心となり、事業所が適切に運営できているか確認する取り組みです。その際、基準違反等が確認された場合に、悪質性や緊急性に応じて以下の流れで追加確認が行われます。

実地指導→監査→勧告→命令→指定の取り消し等

人員基準を満たしていないとどうなるのか?

 ペナルティが発生します。ペナルティの内容は、違反の程度により異なります。万が一、新規開所直後から悪質な違反行為が行われていた場合には、「指定取り消し」など重い処分となることもあります。指定初期の悪質な違反とは、例えば実際には勤務していな従業員を勤務している扱いとして、労務管理書類を捏造している状況などが当てはまります。

 このように人員基準を理解しているにも関わらず、意図して満たさない行為は悪質です。しかし、基準の理解不足による人員基準違反もあり得ます。

「常勤換算」を理解する

 うっかり基準違反を犯さないよう、人員基準の仕組みを理解いただくことをおススメします。仕組みを理解する上では、「常勤換算」という言葉を正しく把握する必要があります。

 常勤換算とは、その事業所に常勤で雇用されている職員が、本来勤務すべき週の労働時間を満たしている割合で算出します。

例)常勤職員の場合
1日の勤務時間 :9時-17時(休憩1時間)=7時間労働
1週間の勤務時間:7時間×5日=35時間
→常勤換算1

例)非常勤職員(パート等)の場合
1日の勤務時間 :9-12時半(休憩なし)=3.5時間労働
1週間の勤務時間:3.5時間×5日=17.5時間
→常勤換算0.5

「前年度の平均利用者数」を理解する

 人員基準を正しく把握する際に、「前年度の平均利用者数」という言葉が出てきます。これは、以下の計算式によって算出することができます。

[前年度の平均利用者数]=[前年度の延利用数※]÷[前年度の開所日数]

※ひとりの利用者が1日施設を利用した場合に「1」として、全利用者分を合計した年度内の延利用数

 つまり、「前年度は平均で1日何人の利用者が施設を利用したか?」に基づいて、職員を配置する必要があります。

 尚、新規開設事業所は前年度の実績が無いため、後述の「みなし利用者人数」が適用されます。

人員基準の要件に出てくる職種を理解する

 就労支援事業に登場する職種と各職種に規定された配置要件を理解する必要があります。以下に記載いたします。

職種対象サービス資格要件役割
管理者就労移行支援
就労継続支援A型
就労継続支援B型
以下のいずれかを満たす必要あり
●社会福祉主事
資格要件に該当するもの
●社会福祉事業に2年以上従事した経験のあるもの
●社会福祉施設長認定講習会を修了したもの
●企業を経営したことがあるもの(継続支援事業のみ)
・健全な事業運営に伴う施設管理
・各職種の指揮命令管理等
・施設コンプライアンスの管理
サービス管理責任者就労移行支援
就労継続支援A型
就労継続支援B型
あり(以下2つを満たす)
●実務要件
●研修受講要件(サービス管理責任者基礎研修、相談支援従事者初任者研修)
※サービス管理責任者の要件については、こちらをご確認ください
「【サビ管要件】令和3年度最新!サービス管理責任者要件をわかりやすく解説」
・就労支援事業における福祉支援提供の責任者
・障害者個別に作成される「個別支援計画」の管理
・障害者に対する福祉支援を提供する責任者
就労支援員就労移行支援のみなし・障害者の職場実習や就職活動に関する支援
・障害者の一般就職後に職場定着を実現するための支援
職業指導員就労移行支援
就労継続支援A型
就労継続支援B型
なし・障害者に対する職業技能に関する支援
・障害者の就労技能、業種適正などの判断
・障害者の就労スキルを把握し維持、向上を目指して適切な目標設定を行う支援等
生活支援員就労移行支援
就労継続支援A型
就労継続支援B型
なし・障害者に対する就労生活に関する助言等の支援
・就労に関して日常生活上の課題等を把握し日中活動における目標設定等を支援
・生活水準の把握と維持、向上に向けた支援

各サービスの基準を理解する

 人員基準は就労支援事業のサービスによって異なります。自社が携わっている、又はこれから開業を予定している基準をしっかりと理解いただければと思います。

就労移行支援事業所の人員基準

職種人数備考
管理者1人(管理業務に支障がない場合は、他の職種と兼務可能)地域によって独自の資格要件が整備されている場合があります。
例)東京都は事務要件や、国家資格等の資格要件が必要です(詳細説明は割愛)
サービス管理責任者利用者60人に対して常勤1人配置かつ最低常勤1人以上配置本来は「兼務不可」となります。ただし、事業所を多機能型(2つのサービスが複合している施設)で開設する場合には特例の配置が認められています。
就労支援員障害者の前年度平均利用人数を15で除した人数以上の常勤換算配置が必要※1前年度の障害者平均利用人数が20人の場合
20人÷15=1.33
→常勤換算で1.3人※2以上の配置が必要
職業指導員・生活支援障害者の前年度平均利用人数を6で除した人数から生活支援員の常勤換算数を引いた人数の配置が必要前年度の障害者平均利用人数が20人の場合
20人÷6=3.33
職業指導員・生活支援員を合わせて3.3以上の配置が必要
尚、1人以上は常勤による配置が必要となる。

※1本来は常勤1名以上の配置が必要でした。令和3年度報酬改定でこの規定が廃止されたため、必要な人員換算人数を非常勤のみで確保することが可能です

※2小数点第2以下切り捨て

就労継続支援A型・B型の人員基準

職種人数備考
管理者1人(管理業務に支障がない場合は、他の職種と兼務可能)就労移行支援事業と同様
サービス管理責任者利用者60人に対して常勤1人配置かつ最低常勤1人以上配置就労移行支援事業と同様
就労支援員配置不要(要件なし)
職業指導員・生活支援員障害者の前年度平均利用人数を10(または7.5)で除した人数から生活支援員の常勤換算数を引いた人数の配置が必要前年度の障害者平均利用人数が20人の場合
20人÷10=2.0
職業指導員・生活支援員合わせて常勤換算で2以上配置する必要あり
尚、1人以上は常勤による配置が必要となる。

新規開設時のポイントを理解する

 本来、人員配置基準は前年度の平均利用者数で算出されます。しかし、新規で開設した事業所に、前年度の実績はありません。この場合、「①開業後6ヶ月以内」「②開業後7ヶ月目以降、12ヶ月以内」で算出方法が変わります。

開業後6ヶ月以内の人員基準

指定申請直後の6か月は施設の定員人数の90%をみなしの平均利用者人数と定義します。

例)定員数20人→みなし利用者人数18人の場合

職種就労移行支援就労継続支援A型またはB型
管理者常勤換算1常勤換算1
サービス管理責任者常勤換算1常勤換算1
就労支援員常勤換算1.2
職業指導員及び生活支援員常勤換算3.0常勤換算2.4
合計常勤換算6.2常勤換算4.4

開業後7ヶ月目以降12ヶ月以内の人員基準

この場合、直近6ヶ月間の平均利用者人数によって算出されます。

つまり、開業後7ヶ月目と開業後8ヶ月目では、必要な職員の配置人数が変わってくる可能性があります。

尚、直近6ヶ月の平均利用者数は、以下の計算式で把握できます。

[直近6ヶ月の平均利用者数]=[直近6ヶ月間の全利用者合計した延利用回数]÷[直近6ヶ月の開所日数]

経営上のポイント

 当然ながら、事業を行う上で、収支が黒字になるまでに経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報・時間など)を節約する意識は大切です。加えて、福祉事業はヒトに対する事業であり、人材の確保は極めて重要な課題です。

 しかし、もし読者の方が就労支援事業を「可能な限り低い予算で実施したい」という意向であり、かつ、「営業活動に自信がなく時間をかけて利用者を集めたい」と考えるのであれば、開業後のみなし制度を有効に活用することが必要です。

 具体的に言うと、事業計画に合わせて、初期メンバーの中で一部は半年間の有期雇用契約で人員配置するという考え方です。7ヶ月目の段階では、対象の従業員との雇用契約は終了します。一見、不義理な進め方に感じる方もいるかと思いますが、転職市場には、「半年間だけどこかで働きたい」と考える方もいらっしゃいます。

 当然ながら労使間の相互合意と他のスタッフに対して十分な説明が必要です。

 新規開業の6ヶ月間で、まだ利用者がいない状態にも関わらず「18人利用者がいる」という前提で事業を進めるのは極めてコストがかかります。開業初期から順調に利用者が増えるわけではない場合には、一考の余地があります。

 尚、就労支援事業を進める上では、「いかに開業までに利用者を確保するか」が大切なポイントです。事業所の認知を獲得するため、地域福祉の窓口や広告宣伝を適切に運用しましょう。

まとめ

 就労支援事業等のソーシャルビジネスは、国の規程に従って運営する必要があります。法律の規定を十分に理解して進めることが基本です。人員の配置基準違反による指定取り消しは、よく市区町村のホームページで報告されます。これは、悪意をもって基準を違反した場合ですが、新規指定時の申請と、実際の運営が異なった場合に「虚偽の指定申請」という理由から、一発で指定取り消し(加えて給付金の返納)という事案もあります。

 開業当初は利用者がいないにも関わらず、固定で従業員を配置する必要がある点は経営としては苦しい時期であるかと思います。しかし、法律を犯すことを前提で進めてしまえば、後で必ず見返りが発生します。課題となるのは、開業初期からしっかりと利用者を迎え入れる戦略が取れていないことにあります。就労支援事業運営.comは、地域との連携をポイントに早期の黒字化を実現する方法について、サポートを行っております。興味のある方は、是非お問い合わせください。

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