【フレームワーク】意識しないともったいない!プロコンリストで就労支援事業の人間関係を良好に!
こんにちわ!就労支援事業運営.comの管理人です。国内で、就労支援事業所の開業・運営支援を行っています。今回は就労支援事業の開業・運営で役立つProsCons(プロコン)リストをご紹介いたします。
就労支援事業でプロコンリストはなぜ必要なのか?
就労支援事業所で生じやすい人間関係の課題を発生させづらくするという点で必要です。
就労支援事業を開業した後、多くの管理者が抱える課題があります。それは「人間関係」です。これは私個人の印象で具体的な数値があるわけではありません。しかし、私が開業に関わっていない事業所から運営の相談を受ける場合、この人間関係の課題は必ず上がります。具体的なケースとして、福祉経験のある「福祉人材」が福祉未経験の職員やオーナーに対してストレスを示しているケースです。
就労支援事業を経営するにあたり、「福祉」と「ビジネス」のバランスは大変重要です。福祉現場で働く職員は、それぞれ「福祉」に対する思いがあり、他者貢献の精神にあふれています。もし障害者支援を目的として、提案を受けてもビジネス都合で棄却されると強いストレスになります。だからといって、全ての提案を受けてしまうことも採算が取れない場合に大変危険です。
「職員」と「経営者」の双方が向いている方向が異なる場合は、選択肢に対する思考が異なります。フレームワークを活用すると、お互いの思考を見える化できるため、結論の理由を把握することができ、納得感を感じてもらうことができます。
プロコンリストとは?
選択肢を「良い面(Pros)」「悪い面(Cons)」の両面で思考し、書き出すフレームワークです。下図はワークシートのイメージになります。
物事にはすべて2面性があります。どのようなベストアイディアでも、必ずデメリットは存在します。論理的思考において、思考の柔軟性は大変重要です。先ずは柔軟に2面性を捉えて書き出してみることから始めていきます。
就労支援事業でプロコンリストを使用する場面
様々な場面で活用できます。例えば以下のような場面。
- 職員から新しい備品の購入依頼を受けた
- 障害者向けの訓練プログラムを一新する提案を受けた
- 個別支援計画の支援目標を定めたい
- 就労移行で流行っている「プログラミング」を取り入れたい
など
ポイントは、議題の結論に選択肢が存在している点です。プロコンリストは選択肢に対して、論理的に結論を導き、アクションにつなげることが重要です。
プロコンリストの使い方
手順は以下の様に進めます。
- 議題を確認する
- 選択肢を設定する
- プロコンリストに要素を記入する
- それぞれの要素の重要度を判断する
- 結論とデメリットの軽減方法を考える
それぞれを見てみましょう。
議題を確認する
最初に議題を設定しましょう。
例)就労移行支援のプログラムの一環で屋外ワークを取り入れてみる
選択肢を設定する
議題に対して選択肢を定めます。今回のようなシンプルな問いであれば、YES or NO の2択が選択肢になります。もう少し複雑な問いの場合は、選択肢が複雑化することもあります。
プロコンリストに要素を記入する
では各選択肢に対する「良い面」「悪い面」を考えて書き出してみましょう。
例えば、屋外ワークを実施するメリットとして、以下のようなものが上がります。
●選択肢①の良い面
- 障害者の気分転換になりストレスを発散できる
- 体力不足による通所影響の対策になる
- 集団行動でコミュニケーションを取れれば通所への心理的安全性を確保できる
- 段取りを利用者に作成してもらうことで、グループワークの題材になる
一見、メリットしかないような話ですが、柔軟な考え方をもって書き出してみましょう。
●選択肢①の悪い面
- 体力の差により障害者によってストレスとなってしまう可能性がある
- 身体障害の障害者は怪我等のリスクがある
- 地域住民で障害に理解の無い方がいた場合に心無い対応を取られるかもしれない
- 個別課題に影響が出る
本来であれば、選択肢②について同様にリスト化します。今回のようなYES or NOの選択肢であれば、選択肢②のプロコンは選択肢①を逆転したような内容になります。
それぞれの要素の重要度を判断する
選択肢に対する要素がリスト化できれば、次は重要度を判断します。経営としての重要度は、「将来性」「経済性」「緊急性」「実現性」の4項目で判断します。重要なのは、「将来性」があり「経済性」のある取り組みです。本来は、これらの4項目でマトリックスを作成しますが、決断までに時間がかかるので、プロコンリストでは実施しなくていいかと思います。重要度の評価を個人主観で実施すると、価値観の違いが反映されてしまいます。事前にリーダーとなる人物が自社の目標を明確にしたうえで重要度を判断する方が望ましいです。
結論とデメリットの軽減方法を考える
作成された表を基に結論を出します。会議参加者の全意見を網羅して議論をしているため、結論に対して反対派の納得感を得ることを目指します。結論が出た後は、選択肢に関する議論を終了し、議題を変えます。「Cons(デメリット)をどのようにするば軽減できるか」を参加者で議論しましょう。間違っても、この議論の最中に、一方の選択肢について話をすることは避けましょう。今回の例題に関しては、例えば以下の議論が考えられます。
- 体力の差により障害者によってストレスとなってしまう可能性がある
→事前に障害者の体力を把握したうえで訓練時間を決める
- 身体障害の障害者は怪我等のリスクがある
→リスクのある障害者をリストアップし、職員を見守りで配置する
- 地域住民で障害に理解の無い方がいた場合に心無い対応を取られるかもしれない
→運動だけでなく10分間の清掃活動を行って地域の信頼獲得につながる取り組みを実施して、HP等に発信してみる
- 個別課題に影響が出る
→グループワークの時間帯に実施し、個別ワークの時間には影響を与えない
柔軟に思考することで、最大の結果を導けるよう議論を進めていきましょう。
プロコンリストを使用するメリット
- 全員の意見を反映しながら議論できる
- 反対派にも納得感をもって進めてもらえる
- 物事を反対側面を踏まえて柔軟に解釈することができる
まとめ
選択肢には必ずメリットとデメリットが存在します。そして意見には必ずその人なり「より良くするための意思」が反映されています。意思を蔑ろにされてしまうとストレスとなり人間関係の悪化につながるリスクがあります。各自が出してくれた意見を尊重し、冷静な意思決定につなげるためフレームワークを活用してみてはいかがでしょうか?
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