こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやんです。国内で、就労支援事業所の開業・運営支援を行っています。就労支援事業所の開業地域が定まったあとは、地域の社会福祉施設の認可を担当する行政窓口で事前協議を進めていきます。今回は事前協議の進め方についてご説明いたします。
事前協議とは
新規で開設する施設の経営担当者と都道府県(中核市、政令指定都市などであれば市区町村)の社会福祉施設の許認可の担当者が対面にて実施する打ち合わせです。この開業案が認可を与えるのにふさわしいものであるか確認することが目的です。概ね、10回前後窓口に足を運びます。指定申請に必要な書類を添削していただき、修正点の宿題を次回までに改善するという流れになります。
事前協議のゴール
事業所の開業を予定している45日~60日前までに指定申請書類を完成させる必要があります。施設の担当者は、毎回伝えられる資料の修正箇所をしっかりと是正し、高い精度で協議を進めて行く必要があります。資料の整備が遅れると書類の提出が間に合わず、計画がズルズルと後ろ倒すことになります。
事前協議で確認される項目
主に以下の項目がチェックされます。
- 運営法人について
- 理念やビジョンなど
- 事業者について
- 就労支援事業への参入経緯
- 他のビジネスではなく就労支援事業である理由
- 就労系サービスの種類について
- 移行型/A型/B型のどの種類をおこなうのか
- その理由
- 考えている支援コンセプト
- 初期メンバー(職員)について
- 採用方法
- 採用コンセプト
- 職員体制のコンセプト
- 開業検討地域について
- 場所
- 理由
- 物件の状況
- 物件について
- 各設備基準の状況
- レイアウト
- 各種法令の許可状況(消防法、建築基準法など)
- サービス提供について
- 支援コンセプト
- 支援プログラムや障害者が実施する仕事の内容
- 運営規程
- 特色
- ビジネスについて
- 事業計画
- 収支バランス(3年間)
- 資金繰りの状況
※A型、B型事業所であれば、別で障害者が実施する仕事の計画書
その他にも、管轄窓口によって確認する項目が変わります。
事前協議のポイント
事前協議は、法令上の基準や整備状況をチェックするだけでなく、その事業団体が社会福祉事業を運営することが相応しいかどうかも確認します。福祉支援のコンセプトに加えて、経営能力の有無もチェックされます。あまりに無計画な状態や、経営担当者の話し方がちぐはぐの場合、話題が進展しないことがあります。
注意点
- 行政の担当者が見ているのは「確度」と「資質」
- 就労支援事業の開業コンサルタント等は参加しないほうがベター
- 逆算して計画的に進めないと大損害のリスクあり
近年は就労支援事業所数も増えることに加えて、無計画な業者の参入により、突然施設を閉所する事業所も出てきました。これは障害者が露頭に迷うようなことであるため、事態を防ぐために行政も対策を進めています。対策の一環として、指定申請の協議段階で、福祉事業の開業が相応しくない事業団体は開業を認めないという対応を進めている地域があります。そのため、事務的な手続きではなく、開業メンバーの人柄や福祉事業に対する思い、責任感などもチェックしています。
このことからも、開業コンサルタントが事前協議に同席することはおすすめできません。開業コンサルタントであることをあえて伝えるわけではありませんが、行政の担当者からしたら、不自然な配置であることは気づきます。(例えば、法人代表や主として事業に関わる予定のものではなく、その横のただの支援員が基本的にしゃべっているなど)可能であれば、法人の代表者が、自らの言葉で就労支援事業の開業や運営のコンセプトを伝えていくことが望ましいと感じます。
まとめ
就労支援事業を開業するにあたり、事前協議は避けて通れない課題です。初めて福祉事業に参加する経営者様からしたら、何度も協議を重ねることに嫌気が指すかもしれません。しかし、事前協議は言い換えると「経営者を守る協議」で有るとも言えます。就労支援事業のような箱物ビジネスは十全な計画が必要であり、無計画な段階で初めてしまえば長く続きません。経営担当者は、決して事前協議を面倒くさいと捉えず、行政担当者の言葉を真摯に受け止めて自身の計画体制に反映させていただければと思います。就労支援事業運営.comでは、就労支援事業の新規開設や事業コンセプトの整理、事業計画の作成などトータルにサポートしております。是非お気軽にご連絡ください。最後までご覧いただきありがとうございます。