【開業資金準備】ランニングコストは月々165万円必要です

就労支援事業所開設マニュアル

【開業資金準備】ランニングコストで月々165万円必要です
 

 こんにちは!就労支援事業運営.comの管理人です。国内で、就労支援事業所の開業・運営支援を行っています。

 前回、就労支援開業に際して必要となるイニシャルコスト(初期費用)についてお伝えしました。同時に考える必要があるのが、ランニングコスト(運転資金)です。就労支援事業所を開業しても、最初は障害者が0人で売上0円の状態から始まります。しかし、当然ですが家賃や人件費は初月から発生します。毎月費用を支払いながら営業活動を行い、障害者と売上が増えれば黒字化ということになります。では、黒字化するまでに一体いくら必要なのか。また、単純に黒字化するまでの資金でいいのか。

 今回は就労支援事業を運営する場合に必要となる資金の内、ランニングコスト(運転資金)について考えたいと思います。

※過去の経験に基づく見解です。必要資金を保証するものであありません。予めご了承ください。

就労支援事業を開業する際に必要な運転資金の額

 前回もお伝えしましたが、就労支援事業を開業する場合には1,300~2,000万円の確保が必要となります。

 必要な資金は、開業までに必要となるイニシャルコスト(初期費用)と、損益分岐点までに必要となるランニングコスト(運転費用)の合計です。やや、金額に幅があるのは、実際に運営する地域によるところが大きいです。都心であれば、物件取得費用と人件費が高くなり、地方に比べて初期に確保すべき費用額が大きくなります。

 では例として就労移行支援事業所を開業する場合のランニングコストはどのような内訳になるのか見てみましょう。

ランニングコスト(運転資金)の金額と内訳

 月々165~230万円程度必要になります。

 ランニングコストの内容は、以下の通りです。

  1. 人件費
    • 従業員給与
    • 社会保険料
  2. 設備費
    • 家賃
    • 水道光熱費
    • 駐車場代金
    • 繰延資産償却費
  3. 一般費
    • 通信費
    • 広告宣伝費
    • 保険関係
    • 旅費交通費
    • 消耗品費

各項目の金額イメージと詳細を確認する

人件費(120~150万)

 就労支援事業の指定基準に人員基準があります。前年度の施設に通所している障害者数を基準に、適切な施設運営が実施できるように最低限必要となる職員の人数です。開業初期は前年度の実績が無いため、みなし実績として、定員数の90%の人数に対して職員を配置します。

 ざっくり、職員が5人いると考えていただければと思います。初期はオーナーは給与を取らないと考えると、100~130万となります。

 給与に合わせて発生するのが社会保険料です。金額の計算は複雑ですが、総支給額の15%と考えていただければと思います。10~20万程度発生します。

 開業初期から発生する人件費の対価として、マンパワーを得ることができます。経営者の方は、開業初期に必要となる動きを明確化したうえで、各職員に役割を与えて動けるようにリードすることが重要です。

設備費(30~60万)

 事業所設備の維持に関わる科目が該当します。家賃や水光熱費、地方であれば車の駐車場代金などが該当します。また、開業費用にかかった資金の総額は「開業費」となり、繰延資産償却費として5年間で償却します。今回は必要資金の話ですので、これ以上の説明は割愛します。

 設備費は家賃の金額で大きく変わります。東京都であれば、坪単価15,000円で家賃は45万程度。地方であれば、坪単価7,000円程度となり家賃は24万程度です。地域によっては送迎支援が必要となることもあり、駐車場代が発生します。

一般費(15~20万)

 運営・業務に必要な設備費以外の費用になります。通信費や広告宣伝費、事務用品などの消耗品費、旅費交通費などが該当します。営業活動の状況により費用が変わっていきます。障害者が通所していない段階では、営業に関するコストを重視していきます。障害者の人数が増えてくると、カリキュラムや訓練に必要となるコストが上がっていくので、事業のステージによって内訳の比率は変わっていきます。イメージとしては、15~20万程度かかっていくものと考えていただければと思います。

主にかかる広告宣伝費は?

 就労移行支援事業所や就労継続支援B型事業所を運営する場合、広告宣伝費は大変重要です。営業の優先課題として、事業所の対象となる障害者に直接リーチする方法を考えていく必要があります。(就労継続支援A型事業所は、障害者と施設が雇用契約を締結するため、ハローワークなどの広告媒体を活用することができます。)

 障害者に事業所を認知してもらうためには、ネット媒体を活用することが重要です。主に活用するべき媒体は以下の通りです。

  • 施設のホームページ
  • 施設のブログ
  • 施設のSNS(YouTube、Twitter、Facebook、Instagramなど)
  • 施設のランディングページ
  • Googleアナリティクス
  • Google広告(リスティング広告)
  • リタリコ仕事ナビ

 ポイントはホームページを整備するだけでは不十分ということです。ホームページを見る障害者の視点に立って、鮮度の高い情報を発信し、コンバージョン(ホームページを見て「資料請求」などのアクションを起こす)を得る必要があります。

ランニングコストを節約するポイント

経営の優先課題を明確にする

 経営は状況により日々優先課題が変わります。就労支援事業所において、先ずは障害者が通所しないことには成り立ちません。課題の優先順位とその比率を明確にした上で、適切に経営資源を分配しましょう。この時に重要なのが「人」のマネジメントです。マネジメントは様々な哲学があるためここでは深く説明しません。ポイントは、初期メンバーは必ずしも就労支援事業所を経験している人員ではないということです。この前提のもと、最大パフォーマンスを発揮することが経営者の腕の見せ所です。

計画を立てて予算のポートフォリオを意識する

 お金は有限です。月々の予算を明確にして、しっかりと予実管理(予算と実際の差)を行いましょう。就労支援事業所は、開業初期は営業活動にウェイトを置きます。しかし、障害者が増えてくれば次のステージに進みます。就労移行支援事業所であれば出口を確保し安定的な就労生活を送っていただく必要があります。就労継続支援A型・B型であれば、高い作業生産性を確保するために作業創造を行う必要があります。時間の経過とともに変化するポイントを意識し、月次で経営成績を振り返る仕組みが大変重要です。

開業サポートの支援を受ける

 優先順位や計画立案を初めて参画する経営者で実現することは大変難しい課題です。先ずは実際に事業を経営した経験のある方から情報収集いただくことが必要です。国内には就労支援事業の開業をサポートする様々な企業があります。多くは、「開業までの支援」または「開業後3か月までの支援」という形で運営は企業努力前提の支援が多いです。加えて、コンサル費用を最初に一括で支払うため、300万円前後の初期費用の上乗せとなります。就労支援事業のような箱物ビジネスにおいて、極めて辛い出費です。就労支援事業運営.comは、完全成果報酬型として開業コンサル費用は無料で行っています。就労支援事業の開業を志している皆様をしっかりとサポートできるよう取り組んでいます。気になる方は以下をご確認ください。

参考:就労支援事業運営.comランディングページ

まとめ

 就労支援事業に関するイニシャルコストとランニングコストをお伝えしました。就労支援事業は、物件を抑えたうえで運営する、いわゆる「箱ものビジネス」です。障害者が通所する前から固定費は常に払い続けるため、経営者としてはつらい時期があります。しかし、経営資源を正しく分配することで早期に黒字化を実現することを目指せます。

 イニシャルコストとランニングコストを知ったところで、次回はキャッシュフローのお話をします。経営はキャッシュフローが命です。就労支援事業などのソーシャルビジネスはキャッシュフローに落とし穴があります。開業をご検討中の方は、次回の発信をお見逃しなく。

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