【就労支援事業所の成功に必須】アセスメント技法(検査法)について

勉強会(支援者向けコンテンツ)

 就労支援事業所を成功させるために、大切な考え方があります。それは、クライアント(利用者)を正確にアセスメントを行うことで、最終ゴールに向けた仮説をたてることです。

 アセスメントが徹底的にできていない場合に立案されている仮説は、あくまでその支援者の経験則から考えられる、一種の「勘」です。

 アセスメントには、クライアント(利用者)の支援計画を立案する上での根拠を徹底的に残して行く必要があります。

 障がい者のアセスメントには、大きく分けて3つあります。

1.Face to Faceで実施する、具体的な情報収集が可能な面接法(【就労支援事業所の成功に必須】アセスメント技法(面接法)も参照)

2.客観的に多くの情報を得ることができる観察法(【就労支援事業所の成功に必須】アセスメント技法(観察法)も参照)

 上記2つのアセスメントは、支援者による客観的な情報に基づくため、属人的(人により結果がバラバラ)な結果になりやすいという特徴があります。

 当サイトでも何度か取り上げていますが、障がい者のアセスメントにおいて、定量的に情報を集めることで、能力・機能分析を行うことは重要です。(【重要!】アセスメントでは定量的評を!も参照)

 この定量的という点では、アセスメント技法の検査法は大変優秀な手段です。以下に検査法について記載します。

【就労支援事業所の成功に必須】アセスメント技法(検査法)とは

 「検査法」は、例えるならば受験において全国模試の試験を受けてもらうようなイメージです。

 クライアント(利用者)に何らかの課題に取り組んでもらい、その結果を記録することで、クライアント自身(利用者)の問題点を分析する方法です。

 調査内容として、「知能検査」、「人格検査」、「神経心理学的検査」の3つのジャンルに分けることが可能です。

アセスメント技法(検査法) の「知能検査」とは

 知能指数(IQ)を調べる際に実施します。図形や、数字、計算、絵など用いたテストを実施することで、クライアント(利用者)の知能指数を算出します。

 歴史は古く、1905年にフランスのビネーが、就学する子供が授業についていけるかどうかを判別するための道具として開発した検査が始まりです。

 IQには種類があり、「比率IQ」と「偏差IQ」と言います。

アセスメント技法(検査法)の知能検査における「比率IQ」とは

 年齢ごとに並べられた課題に取り組み、その成績に精神年齢と生活年齢を用いて算出します。実年齢より、上の年齢の課題が解けると、IQが上がり、その逆はIQが下がるというものになります。

 「ビネー式」で採用されている考え方となります。

アセスメント技法(検査法) の知能検査における「偏差IQ」とは

 同じくらいの年齢の大勢の人に検査を実施し、得点分布を想定します。自分の得点が、その分布のどこに位置しているのか示す指標となります。

 「ウェクスラー式」で採用されている考え方となります。

アセスメント技法(検査法) の知能検査の種類

 「ビネー式」では、国内で最も利用されている検査に、「田中ビネー知能検査Ⅴ」があります。

 「ウェクスラー式知能検査」では、成人用の「WAIS」が有名です。

アセスメント技法(検査法) の「人格検査」とは

 人格検査には、「質問紙法」と「投影法」の2種類があります。

人格検査における「質問紙法」とは

 体の状態について質問が用意されており、選択肢の中から回答します。各選択肢に得点が振り分けら、それらを合計することでクライアント(利用者)の心の状態、人格、特性などを把握する手法です。

 有名なものに、「リッカート尺度」があります。

質問紙法のメリット

  • 時間がかからない
  • 費用がかからない
  • クライアント(利用者)の負担が少ない

質問紙法のデメリット

  • クライアント(利用者)の理解力に左右される
  • 妥当性の低いアセスメントとなる

質問紙法の留意点

 使用する質問紙法により、得られる情報が異なります。そのクライアント(利用者)に必要であると考えられる指標を活用しましょう。

  • 不安状態→状態・特性不安検査(STAI)
  • うつ状態→ベック抑うつ質問票

人格検査における「投影法」とは

 クライアント(利用者)に、創造的で抽象的な課題を提示し、どの様なレスポンスが帰ってくるかを確認する検査法です。

 実際に見てみましょう。

 これは、投影法の1つである「ロールシャッハ・テスト」と言われるもので。

 検査官は、「何に見えますか?」と抽象的に質問し、クライアント(利用者)がどのように回答するのかを確認する検査法です。

投影法の目的

 以下の様な目的があります。

  • 心理の傾向を把握する
  • 支援者がどのように関わることが重要か仮説を立てる
  • 進路検討の際に、業界のジャンルに仮説を立てる

投影法のメリット

  • 予算がかからない
  • 思いも寄らない情報を得ることがある

投影法のデメリット

  • クライアント(利用者)への指示が抽象的なため、理解することにストレスを感じることがある
  • 上記もあり、検査中は目を話すことができない

投影法で有名なもの

  • P-Fスタディ
    何も書かれていないマンガの吹き出しにコメントを入れる
  • バウム・テスト
    「実のなる木」を描いてもらう
  • TAT(主題統覚検査)
    人や風景が描かれている絵を見せて、物語を語らせる

アセスメント技法(検査法) の「 神経心理学的検査」 とは

 脳の機能的・器質的損傷などにより生じるあらゆる症状に対して、責任となる脳の領域などを検査する方法。

神経心理学的検査の目的

 脳血管障害(脳出血、脳梗塞、脳挫傷など)により生じる障がいを検査するのが一般的ですが、発達障がいや、精神障がいの方にも実施し、脳のどの領域の機能がウィークポイントか確認する目的で使用することもあります。

神経心理学的検査のメリット

  • 脳領域レベルでの長所・短所を知ることができるので、訓練プログラムを選定しやすい
  • 訓練効果が出やすい
  • 検査そのものが訓練になりうる

神経心理学的検査のデメリット

  • 専門的知識を必要とする
  • 正しく実施しないと全く意味のないアセスメントとなる

神経心理学的検査で見える脳機能と検査の種類

脳機能代表的な検査法
知能HDS-R、MMSE、ウェクスラー成人知能
言語トークンテスト、WAB失語症検査
記憶三宅式記名力検査、ウェクスラー記憶検査、リヴァーミード行動記憶検査
注意線分抹消検査、TMT(トレイル・メイキング・テスト)
遂行機能TMT、流暢性テスト

さいごに

 就労支援事業所では、様々な差別化ポイントで広報を行います。通所するクライアント(利用者)は基本的にプロフェッショナルによる就職サポートを希望します。

 この様な科学的根拠を用いたアセスメントを展開できる事業所は、地域からの信用力も高まることや、クライアント(利用者)にとって、安心できる施設づくりにつながります。

 ここに書いてある検査法の中でも、何か1つに特化した形で広告を打ち出しても良いかもしれません。

 ちなみに、私が所属していた事業所では、高次脳機能障害に特化した訓練プログラムと、アセスメント方の打ち出しにより、多くのご利用者様の信頼につながった経験があります。

 何か一つでも、皆様のお役に立てれば幸いです。

 最後までご覧いただきありがとうございます。

【参考文献】

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