【研修】就労支援の職員向け「発達障害」の特徴を知る

職員向け研修

【研修】就労支援の職員向け「発達障害の特徴」を知る

 こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやんです。国内で、就労支援事業所の開業・経営支援を行っています。「研修」シリーズでは、就労支援事業所等で障害者と接する方が知っておく必要がある様々な知識を発信していきます。

 今回紹介するのは「発達障害の特徴」についてです。近年「大人の発達障害」という言葉が一般的になりました。発達障害に関する考え方が普及した関係で、身近な知り合いや同僚の中から発達障害と診断される方も増えてきています。就労支援に関われば、必ず支援に携わる障害種別ですので、しっかりと知識を付けましょう。

※本記事は学術書を参考に筆者の経験に基づく知見が述べられています。常に知識のアップデートを心がけていただければ幸いです。

なぜ「障害」を学ぶのか

 障害の特徴を知ることで、アセスメント精度の向上、高い確度の目標設定などにつなげることができます。結果的に事業所の就労実績につながることで経営効果に発展させることにあります。

 就労支援事業所では様々な障害者と接します。個々の障害者を診断名による先入観で評価せず、個別性を意識することが大切です。ただし、現場で行うアセスメントの量は膨大です。先ずは障害者の診断名から得られる情報を踏まえ、アセスメントの優先順位を検討することで効率的に個別性を把握することができます。

発達障害とは

 生まれつき、脳の機能の一部に異常がある状態を発達障害と言います。代表的なものに自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)などがあります。

 2002年から2008年の6年間で、大人になってから発達障害と診断された人の数は、約10倍に増加しています(国立精神・神経医療研究センターの調査より)。「かなり個性的な子供」と思われていた児童が、成人になり社会に参加すると、その個性が社会常識に馴染むことができず、苦慮することがあります。あまりに改善が見られない場合や、他の精神的な症状をきっかけに受診することで発達障害と診断される経緯が一般的です。

自閉スペクトラム症の特徴

学業は優秀で「有名大学」を卒業する

 ASDは、1つの物事に対する集中力や完成度は高く、学生時代は学業優秀で有名大学を卒業するケースもあります。そのまま「エリート街道」を歩むように有名企業に就職し、仕事をふられる新人時代には、高い生産能力を発揮します。このように「自分自身のことだけに関心をもてばよい」時代であれば、一般人以上に高いパフォーマンスを発揮することがあります。

社会性やコミュニケーションに課題がある

 自身だけでなく、他社との関わりを苦手とするケースがあります。例えば、チームで成果を成し遂げて「打ち上げに行こう!」と盛り上がっているときも、「俺はいい」「仕事する」と発言するような状態です。周りからみれば、「付き合いが悪い人」という感じる言動です。会話のやり取りでも、自身が話したいことを一方的に話し続けたり、相手の発言に関心を寄せなかったりすることが特徴になります。

思考の柔軟性が低い

 自身が決めたことを臨機応変に対応することができません。例えば、スケジュールを定めて行動しているなか、突然のトラブルでスケジュールを変更しなければならない場面などで思考が停止してしまうような状態です。また、複数の仕事をすすめる場面では、優先順位が定められなかったり、必要以上に一つの仕事に固執してしまったりすることで、他の仕事に支障をきたすことがあります。

注意欠陥多動性障害の特徴

集中ができない

 人の記憶には種類があります。短い時間、一時的に情報を記憶する能力の中でも「ワーキングメモリ」というものがあります。ワーキングメモリは、例えば電話番号のメモをみてから、携帯に番号を入力するような場面で発揮される能力です。ADHDは、このワーキングメモリを上手く機能させることが苦手です。記憶障害というより、ワーキングメモリが行動に反映される前に、別の情報をインプットしてしまうような状態です。職場環境では、「集中力が足りない」「緊張感が無い」「責任感が不足している」というような評価を受けやすい傾向があります。

物事の要領を掴むことができない

 ワーキングメモリが機能しないことの影響により、物事の段取りを上手く組むことができません。例えば、メモを見ながら料理するときや、頭の中で全体像を把握して順番を変えて実務に臨むような場面では、「一時的に頭の中で考える」という工程が苦手です。結果的に、段取りを整備することができず、目の前にある見えやすい工程から着手してしまう傾向があります。

衝動的な行動が目立つ

 目の前の見えるものから行動するように、「思いついたことから行動する」という特徴があります。これは衝動的、感情的な行動につながる傾向でもあります。例えば、過度な貧乏ゆすりを続けてしまうことや、必要性を吟味しないまま、大きな買い物をしてしまうことが上げられます。時に、他者に対して感情的な物言いを行ってしまいトラブルに繋がる事例もあります。欲求を抑えられない傾向は、趣味嗜好にも顕著に現れます。アルコールや性、ギャンブル等に依存する傾向があり、トラブルに巻き込まれることもあります。

まとめ

 先ずはASDとADHDの一般的な特徴について記述しました。改めて見てみると、身近な職員や過去に学生生活において同様の特徴のある児童がいた記憶があるのではないでしょうか。このように発達障害は「突出した個性」でありかなり身近なものであるということが分かります。これが「障害」として判断されるのは別の理由があります。次回は、ASDとADHDの社会的な課題や2次障害について考えたいと思います。

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