かなり重要:訴訟リスクから身を守るには?

勉強会(支援者向けコンテンツ)

※本投稿は現場経験を基づいて記載しております。法務経験の無い者がきさいしておりますので、実現場で活用する際には内容の解釈を深めて行なってください。

福祉・医療現場で仕事をしていると、「リスク管理」という言葉が使われます。

我々支援者は、障がい者のサポートを行うプロフェッショナルであるため、
当然、障がい者との接し方や、施設の環境づくりは、合理的かつ安全であることは当たり前です。

しかし、予期せぬ自体により、ご利用者様に怪我を負わせてしまったり、最悪の場合、障がい者の命に関わる重大な事故につながることがあります。

支援者は、予想外の自体にも冷静に対処し、最善を尽くします。

これは障がい者の命を守ることでありますが、ひいていは、自分自身や施設の身を守ることでもあります。

今回は、事故が生じた場合に、どのように考え、対処することが望ましいのか、事例を含めてご紹介します。

なぜ罪に問われるのか?

繰り返しになりますが、
我々の支援者側は、障害について理解し、障がい者を支援するスキルを持ったプロフェッショナルであると判断されます。

プロフェッショナルであるが故に、予見義務と結果回避義務の2つの義務が生じます。

予見義務とは?

その結果が起こるものと予見することができる義務を言います。

例)そのご利用者様が「てんかん」をもっており、週に1回の頻度で発作が起こると聞いている。施設を利用している間も、てんかん発作が出現する可能性があると予見できる。

結果回避義務とは?

その結果を回避するために合理的に配慮することで、事故の発生を防ぐ義務を言います。

例)てんかん発作により、作業スペースで転倒する可能性がある。作業スペースの近くに「ペン立て」などを置いてしまうと、転倒時に外傷を負うリスクが有るため、基本的には周囲になにも置かないように環境整備する。

基本的に、この予見義務と結果回避義務を果たせていない場合には「過失」となり罪に問われる可能性があります。

どのような罪に問われるか?

主に、民事・刑事・行政処分の3つの種類があります。

民事的な処分

個人間で発生する賠償責任です。

例)A型事業所を2年間利用している利用者が、施設のスタッフの過失により、全治2ヶ月の怪我を負う。治療期間は仕事を行うことができない状態であった。利用者は施設側に、過去2年間の平均賃金である、9万円/月の2ヶ月分(18万)と治療費50万を賠償を要求する民事訴訟を起こした。

刑事的な処分

法律的な罪に問われる状態を言います。

例)利用者Aさんが急に長期欠席となった。調べると、スタッフBが、利用者Aさんに対して暴言や脅迫にも取れる発言を繰り返していたことが判明。利用者Aさんは、身体障害であったが、本件で「うつ病」を発症。医師の見解も、今回の発症はスタッフBの影響が主であると判断される。利用者Aさんは、暴言等をスマホで録音しており、警察に被害届を提出。スタッフBは暴言による「脅迫罪」に問われ、管理している施設の代表は「善管注意義務違反」として、罰金を課せられた。

行政処分

施設の過失により、行政処分が下される事もあります。

例)一連の事件の発生を確認したため、東京都はA事業所を「指定取り消し」とする行政処分を行った。

訴訟リスクを避けるには?

以上のように、我々は一歩間違えれば罪に問われる可能性があります。

では、どのようにすれば訴訟を避けることができるのでしょうか?
それは、予見義務と結果回避義務を果たすと言うことになります。

そして、基本的に事故は予期せぬタイミングで起こります。

事故発生時に適切な対応を行う必要があるということになります。

例)身体障害の利用者Aさん(脳卒中後の片麻痺)が就労継続支援B型事業所の作業スペースの床に座り込んでいるところを、スタッフBが発見する。スタッフBは本人に話しかけてみると意識はしっかりしており、自力ですぐに立ち上がって歩き出そうとしている。スタッフBは、全身状態を見るため、利用者Aさんを椅子に座らせて話を聞いたところ、「椅子から立ち上がったら視界が暗くなり、気づいたら地面に倒れていた」と話を聞く。スタッフBは、施設の他のスタッフを呼び、全スタッフと状況を共有する。
全スタッフとの話し合いを行った結果、
①特に意識は鮮明である
②全身に外傷の所見はない
という特徴はあったが、転倒の事実が明らかで、思わぬ外傷が生じている可能性があったため、タクシーを呼び近くの総合病院を受診した。

受信した結果、利用者Aさんの手首に、小さい発赤(赤くなる初見)が見え、レントゲンの結果、軽度の骨折が発見された。

医師の指示で、直ちに応急処理を行ったため、1週間の欠勤で済んだ。

医師いわく、処置が遅れると悪化し、現場から長期離脱する可能性があったとのこと。

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このように、起こりうる最悪の可能性に備えて対応したお陰で、施設を責められるような事態を防ぐことができました。

おわりに

私たち支援者は、プロフェッショナルとしての対応を求められ、実施できることは当然であると解釈されます。

支援する相手は障がい者であるため、障害の特性を正しく理解し、最善の対応できるよう、施設内での知識の共有を常に行っていきましょう。

ご不明な点がありましたら、いつでもご質問いただければと思います。

最後までご覧いただき、ありがとうございます。

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