【研修】就労支援事業所の職員向け「発達障害者の効果的なリフレッシュ方法」
こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやんです。国内で、就労支援事業所の開業・経営支援を行っています。近年、障害者総合支援法の制度変更の傾向により、職員の資質向上や事業所としての福祉貢献度が事業所評価に直結するようになりました。「研修」シリーズでは、障害者と接する支援者が知っておく必要がある障害者に関する知識を発信していきます。
今回ご紹介するのは、発達障害者の効果的なリフレッシュ方法です。発達障害者は、特性により外部の様々な環境にストレスを感じやすいです。これは、自身が過敏に反応しやすい刺激の種類により変わる側面があります。その特徴を活用して、リフレッシュ方法を考えてみましょう。
発達障害者の特性
過去の記事でも発達障害者の特徴や検査の方法のついてご紹介してきました。特徴の一つに「感覚過敏」があります。仕事の場面では、例えば他の職員が使っている光るタイプのマウスが気になってしまうこと(光過敏)や、新しい室内の芳香剤の匂いが気になってしまう(嗅覚過敏)など、個々の障害者によって反応が異なります。特性は過敏だけでなく、時には鈍感なケースもあります。本人が、どの感覚に対して特徴を示すのか検査する方法としては「AASP」が代表的です。
AASPは、正式名称は「Adolescent/Adult Sensory Profile」といい、「味覚・嗅覚」「動き」「視覚」「触覚」「活動レベル」「聴覚」の6つのセクションを評価します。傾向を4つの象限(「低登録」「感覚探求」「感覚過敏」「感覚回避」)で示すことができます。
4つの象限から言えることとして、発達障害者が本人が、その感覚に対して「過敏」または「鈍麻」、その感覚に対して「能動的に反応する」または「受動的に反応する」という4つの特徴に分けることができます。
能動的 | 受動的 | |
過敏 | 感覚回避 | 感覚過敏 |
鈍麻 | 感覚探求 | 低登録 |
特徴を踏まえ対応を確認する
まずはAASPが代表するような客観的な評価手法や、本人や支援者の主観的な評価結果に基づいて、本人の感覚特性を把握しましょう。特性を把握したら、4つの象限に対して対応方法を検討します。
●「感覚回避」に対する対応
僅かな刺激でも反応してしまう特徴があります。ストレスとなれば、仕事や作業に支障をきたします。対応として、これらの感覚が発生しない場所を検討し、休憩を取る際に活用するなど、方法を検討します。
●「感覚探求」に対する対応
この象限は、他者からしたら気になるレベルの刺激を、本人は足りないと感じてしまう感覚です。例えば、大音量で音楽を流してしまったり、過度な香水をつけてしまったりすることが該当します。まずは客観的な事実の情報として、本人にフィードバックしましょう。加えて、これらの情報自体を完全にシャットアウトすると、逆にストレスとなる可能性があるため、他者に迷惑をかけずに楽しむ方法を検討しましょう。例えば、大音量の音楽を聞きたいのであればカラオケボックスでの余暇活動の実施などが上がります。
●「感覚過敏」に対する対応
気づかずうちにストレスを感じていることがあります。自身がどの刺激に対してストレスを感じやすいのか、客観的な事実として把握しましょう。加えて、本人が普段作業を行う環境で、どのような場面で知覚しやすいのか共有します。共有した情報を基に、ストレスにならないためにはどのような対応が望ましいか、検討することが大切です。
●「低登録」に対する対応
他者が気になるレベルの刺激でも、本人は気になりません。ただし、本人は意図しているわけではありません。低登録の刺激に対しては、積極的に他者から意見をもらうような手配を進めましょう。例えば、同じ空間で仕事をする同僚や、上司に対して、以下のような説明を事前に伝えておくとスムーズでしょう。
「私は○○の刺激が、周りの他の人が気になっても自分が気にならないことがあります。もしそのようなことがあれば、すぐに調整しますので、遠慮なく指摘してください。」
就労支援事業所が意識すること
発達障害者の刺激に対する特徴を理解する場合、客観的な情報と本人・支援者の主観的な情報を織り交ぜる必要があります。得られた情報から導き出す対応方法は、本人が置かれる環境によって強く変わります。まずは、4つの象限にどのような感覚が配置されるのか、AASPなどを活用することで導き出しましょう。次のステップは、各象限の感覚に対するメリットとリスクを検討し、メリットはそのままリラックス方法として対応を検討します。リスクに対しては対応方法を確認します。特に、本人がどのような職場環境に配属されるかによって、対応は大きく変わります。本人が希望する進路を踏まえ、対応方法を検討していきましょう。
まとめ
発達障害者は様々な感覚に対して特有の反応を示します。一見、全てデメリットのように感じますが、効果的に活用することで他者よりも強いリラックス効果を得ることができます。まさに、弱みが強みに変わる方法でもあり、支援者の腕の見せどころといっても過言ではありません。個別性を持った対応を意識して、日々の支援で実践いただければ幸いです。
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