【研修】就労支援事業所の職員向け「発達障害者の2次障害に対する予兆を逃さない方法」

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【研修】就労支援事業所の職員向け「発達障害者の2次障害に対する予兆を逃さない方法」

 こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやんです。国内で、就労支援事業所の開業・経営支援を行っています。近年、障害者総合支援法の制度変更の傾向により、職員の資質向上や事業所としての福祉貢献度が事業所評価に直結するようになりました。「研修」シリーズでは、障害者と接する支援者が知っておく必要がある障害者に関する知識を発信していきます。

 今回ご紹介するのは、発達障害者が発する2次障害に対する予兆を逃さない方法についてです。発達障害者は、自身の特性が組織や社会に馴染めず、しばしば「生きづらさ」と表現されるようなストレスを感じています。このストレスが蓄積することにより、様々な2次障害を引き起こす可能性があります。では、どのようにすれば2次障害が防げるのでしょうか?就労支援事業所の支援にもつながる取り組みです。是非確認してみましょう!

発達障害者の2次障害とは

 発達障害者が感じる2次障害には様々なものがあります。本人は、常に目の前に課題に向き合っています。しかし、強い個性により物事が思うように進みません。時に周囲の同僚などから心無い扱いを受けてしまい、トラウマになるようなことがあります。この状態が続いた時、体に生じる様々な不調を「2次障害」と表現します。

2次障害にはどのようなものがあるのか

 大きく、「身体症状」と「精神症状」の2つの種類があります。

●身体症状

 頭痛や腹痛、食欲不振、吐き気、チックなど、体の至る部分に生じる症状が当たります。日中活動に影響がでたり、体型変化が急激に発生したり、他者も目で見える変化が起こります。

●精神症状

 不安、うつ、緊張、興奮、いらいらなど、精神的な症状として現れるものが当たります。持続することで、不登校やひきこもりになったり、暴力をふるったりと感情面による影響が大きい行動を取るようになります。

注意サインを逃さない

 2次障害は、「ある日突然発生するもの」ではありません。本来、予兆となる様々な症状を知覚することから始まります。この予兆のことを「注意サイン」と表現します。多くの場合、注意サインは大きな症状ではないため、そのまま放置してしまい2次障害を発症します。

 このため本人が知覚する様々な注意サインを見逃さない工夫が必要です。

 一般的によく言われる注意サインには以下のようなものがあります。

●身体的な注意サイン

  • 腹痛
  • 下痢
  • 吐き気・嘔吐
  • 頭痛
  • 腰痛
  • 目の疲れ
  • めまい
  • 耳鳴り
  • 過食・拒食
  • 睡眠不良
  • 早朝の目覚め

●精神的な注意サイン

  • 思考が止まる
  • 集中が続かない
  • 落ち着かない
  • 不安
  • 動悸
  • 無力感
  • 悲しみ
  • 落ち込み
  • 孤独感
  • 罪悪感
  • 漠然とした疲労感
  • イライラ
  • 暴言

具体的な対応方法

 2次障害は、注意サインを放置することで発生する病気です。時に、その程度により長期化してしまったり、悪循環により重症化してしまったりすることがあります。就労支援事業所としては、一般就職前に本人が感じやすい注意サインを見つけ、本人と共有することが大切です。その際、主治医への相談の仕方や対応方法、リラックス方法を実践し、注意サインの変化を確認することが望ましいでしょう。

 注意サインはとても些細な症状から始まります。よって、見逃さない為には、事業所に通所する毎日の記録が重要です。まずは、発達障害者本人に注意サインについて情報共有(注意サインとはどういうものか)を行いましょう。そして、本人に「自身の注意サインを把握しているか」について意見をもらいます。得られた情報は、日々の日誌や体調記録表などに記録項目として記載することで、少しでも感じた変化を残すようにします。

 記録の方法として、チェックシート方式で「症状のある/ない」だけを記録するのではなく、「症状がある/ない」に加えて「程度」も残せると効果的です。例えば、「イライラする」ではなく、「10段階中5程度イライラする」のような記録です。定量的に評価することにより、日々の変化と外部環境との関連性を評価することができます。

 記録は定期的に振り返りを行うことで、知覚する症状に特徴がないか分析します。分析結果を本人にフィードバックし、日常的に意識できるポイントを共有しましょう。

 就労支援事業所であれば、一般就職先の企業とも情報共有することが望ましいです。人事担当者等に、「本人が体調不良時に感じやすいこと」「その対応」「対応に必要な会社側の配慮」などを共有することで、発達障害者が長期的に業務に当たれるように関係が連携できる体制を構築できます。

まとめ

 発達障害者が普段何気なく感じる「生きづらさ」。ここから様々な症状が誘発され、時に長期化するような疾患につながる可能性があることからも、2次障害は長期就労における驚異です。就労支援事業所として、2次障害に対して知識をもち、対応方法を検討する必要があります。とても大切になる日々の記録と記録の振り返りは、事業所内のルーティン課題にすることで、信頼性のある情報として蓄積していく必要があります。日々残す記録を確認いただき、必要に応じて注意サインの予防項目も付け加えていただければと思います。少しでも参考になれば幸いです。

 就労支援事業運営.comでは、国内で就労支援事業所の開業・運営支援を行っております。興味のある方は、お問い合わせください。最後までご覧いただきありがとうございます。

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