【研修】就労支援事業所の職員向け「発達障害者の特徴と対処方法①」

職員向け研修

【研修】就労支援事業所の職員向け「発達障害者の特徴と対処方法①」

 こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやんです。国内で、就労支援事業所の開業・経営支援を行っています。近年、障害者総合支援法の制度変更の傾向により、職員の資質向上や事業所としての福祉貢献度が事業所評価に直結するようになりました。「研修」シリーズでは、障害者と接する支援者が知っておく必要がある障害者に関する知識を発信していきます。

 今回ご紹介するのは、「発達障害者の特徴と対処方法」についてです。これまで発達障害者の特徴について記事を連載してきました。今回は対処方法の考え方と、具体的にどのような方法があるか確認していきたいと思います。

発達障害者の特徴例

 過去の記事でも発達障害者には様々な症状があることをお伝えしました。本来は症状により、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)など診断名は変わりますが、症状は様々な発達障害を複雑に複合していることもあります。よって診断名に左右されず、個々の障害者の強みと弱みを捉えて訓練プログラムを立案する必要があります。

 大人の発達障害者の事例として、強みと弱みにより、仕事内容や置かれている立場によって業務評価が一転することがあります。発達障害者の強みとして、自身が関心を向けたものや体系的に整備されている情報の処理に対して高いパフォーマンスを発揮することがあります。よって、新人時代の職場では、与えられた仕事を自分のペースで進めることができ、評価が高いことがあります。発達障害者の弱みとして、自身が関心の無いことや他者との関わりが苦手ということが上げられます。よって、後輩を指導したり多数の関係者と実施するプロジェクトを管理する立場になると、注意を分散できずミスが目立つ事例があります。

 強みにより評価が高まりますが、次のステップで弱みによりミスが目立つという点も、大人の発達障害者にとって現代社会の「生きづらさ」として自覚する要因だと考えています。

対処の考え方

 現代社会の組織内では、仕事のステップアップとして以下のような特徴があります。

「個人→チーム」

「自分の仕事だけ進める→他者の仕事もサポートする」

「言われたことだけやる→言われる前から進める」

「マニュアルに書いてある仕事を進める→自らマニュアルを作成していく」

 仕事は具体的に定まっている作業から始まります。しかし、昇進により階級が上がるにつれて臨機応変かつ自身の裁量で判断しなければならない仕事が増えます。この環境変化は、発達障害者にとって強みを生かせる環境から一気に弱みが影響する環境に変わることが特徴的です。

 発達障害者は先天的な脳の構造異常が原因と言われていることから、「経験によりだんだんと失敗しなくなる」というような時間が解決できる問題ではありません。ではどのように対処すればよいのか。考え方としては、発達障害者本人が仕事のルールを決めて業務に当たることがポイントです。

 発達障害者は、臨機応変な対応が求められる環境を苦手とする反面、明確に定まっているルール内で動くことは得意としているケースがあります。この特性を活用することがポイントです。

具体的な対処方法

 特に以下のポイントを抑える取り組みを行うと効果的です。

  • 1日のスケジュール内で「予定確認」の時間と「計画振り返り」の時間を設ける
  • 予定はTodoリストではなくカレンダーに直接記入して「いつからいつまでに」を明確にする
  • 他者との情報共有の場を臨機応変なものではなく「スケジュール」として確定させる

 発達障害者には、「明確に決まっていることはやりきる」という強みがあります。この強みを最大限生活かすために、臨機応変な対応を減らし構造的なものに変化させることがポイントです。特に、現場マネジメント業務では他者との情報共有の時間は、スケジュール上のルーティン業務として固定させることで、仕事にルールに変えることが大切です。更に他者から共有する必要がある情報は、何を聞き出すのか様式を明確化することで、混乱なく他者の業務状況を把握することができます。

 このように、業務ルールを構造化することで発達障害者の強みを活かした体制に変化を加えることができます。

まとめ

 組織における管理職は、ルールを定める立場であることが多いです。他者との関りを苦手とする発達障害者にとって、ルールを定める仕事はとてもストレスの強いものであると考えられます。ただし、発達障害者自身も、自分がルールを定めたり、他者とコミュニケーションをとったりすることが苦手であると認識できていないことから、職場側へのPR不足である可能性があります。

 就労支援事業所は、このような発達障害者の課題を理解した上で、「仕事を進める上でルールを定めること」を事業所内で練習する必要があります。練習の結果、発達障害者本人が得意とすること、苦手なこと、苦手なことをできるようにするルールを把握することができます。これらの情報は、一般就職を実現する場面で採用担当者とも共有することで、より定着実績にもつながっていく情報になっていくことが予想されます。本人の強みと弱みを見つけて、企業の職員とも連携していくことが求められます。今後の事業所運営でご活用いただければ幸いです。

就労支援事業運営.comでは、国内で就労支援事業所の開業・運営支援を行っております。興味のある方は、お問い合わせください。最後までご覧いただきありがとうございます。 

LINEで無料相談をする

友だち追加