【就労支援事業所の成功に必須】アセスメント技法(観察法)について

勉強会(支援者向けコンテンツ)

 前回、【就労支援事業所の成功に必須】アセスメント技法(面談法)についてを記載させていただきました。

 今回はアセスメント技法の第2弾、【就労支援事業の成功に必須】アセスメント技法(観察法)について記載したいと思います。

 この「観察法」は、就労支援事業所の運営において、最も重要な考え方です。なぜなら、普段からクライアント(利用者)と接するにあたり、その全てが観察法によるアセスメントであるといっても過言では無いからです。

 今回は、簡単に観察法についてまとめます。事業所に運営にお役立ていただければ幸いです。

就労支援で活かせる!観察法による就労支援アセスメントの詳細

観察法による就労支援アセスメントのメリット

  • 現実的・実践的なアセスメントを取ることができる
  • 問題行動の頻度や強度をアセスメントすることができる
  • 精神障がい・知的障がい・身体障がい、関係なくアセスメントを行える

観察法による就労支援アセスメントのデメリット

  • 情報量が多く定性的なアセスメントとなりやすい
    (定量的・定性的の違いについては「アセスメントでは定量的評価を!」に記載しています)
  • 属人的な(支援者個人で差がでる)アセスメントとなる
  • 環境要因を統一して、信頼性・妥当性のあるアセスメントが難しい
    (信頼性と妥当性については「アセスメントの基礎中の基礎、尺度を理解する!」にも記載しています)

観察法による就労支援アセスメントの種類

場面の違いによる、「自然観察法」、「実験観察法」

関わり方の違いによる、「参加観察法」、「非参加観察法」

計4種類の違いがあります。

自然観察法の就労支援アセスメントとは

 日常生活による、ごく自然な状況を観察するものです。就労継続支援A型・就労継続支援B型では、作業間の休憩時間を観察する状況です。

  就労移行支援では、 訓練時間の合間の休憩時間等をスタッフが観察するような状況です。

 「自然観察」と書かれているように、環境にセッティングはおこないません。

実験観察法の就労支援アセスメントとは

 この手法は、予めセッティングされた環境下で、どの様な対応を取れるものかを確認します。就労継続支援A型・就労継続支援B型の作業時間中の様子、さらには、利用者にも「リーダー」・「サブリーダー」のような役職を付与した状況(設定)下で、どの様な行動を取っているか?というようなアセスメントです。

 就労移行支援では、グループディスカッションの様子や、グループワークでのファシリテーター等の役割を付与した際に、どの様な行動となっているか?というようなアセスメントです。

参加観察法の就労支援アセスメントとは

 就労継続支援A型・就労継続支援B型の作業現場で、実際にスタッフも参加し、利用者の行動を観察するアセスメントです。

 就労移行支援では、スタッフがファシリテーターとなったり、またはスタッフもクライアント(利用者)側で参加することで全体の様子を観察するアセスメントです。

非参加観察法の就労支援アセスメントとは

 就労継続支援A型・就労継続支援B型の作業現場で、スタッフが現場にいない状況下での、利用者行動を観察するアセスメントです。 ポイントは、スタッフの監視がない状況をしっかりと作ることにあります。

 就労移行支援も同様に、スタッフがいない環境下で、利用者自身が自己学習がとれるのか?という様子を観察するアセスメントとなります。

 もちろん、リスク管理による予見義務や結果回避義務が生じるため、全く管理がない状況を作るのは問題です。(訴訟についてまとめた「訴訟リスクから身を守るには?」も参照)

 このアセスメントの目的は、現場監督者による支配がない環境で、クライアント(利用者)がどの様な役割を担い、行動を起こすか?というものを観察することにあります。つまり「能動性」「自主性」「モチベーション」のアセスメントとに繋がります。

さいごに

 観察法によるアセスメントは、情報量が多くなることや、支援者の客観性・定性的に依存したアセスメントとなるため、現場経験の差が結果の差に繋がります。事業所を運営する場合には、スタッフ間での知識の差をなくし、考え方の共有と理念の浸透がとても重要な為、観察法のチェックポイントなどは、書面に残し、全スタッフに共有する方が良いと思います。

 この様なアセスメント技法を学び、現場の支援レベルにまで落とし込まないことに、「結果が出る事業所づくり」、ひいては、「事業所の存続」はありえません

 医療・福祉現場の未経験者が多い事業所だからこそ、障がい者支援のあり方や、アセスメント技法について、しっかりと研修を実施いただければ幸いです。

 アセスメントの参考になる書籍のリンクも張っておきますので、ご覧いただければ幸いです。

 最後までご覧いただき、ありがとうございます。

福祉専門職のための統合的・多面的アセスメント:相互作用を深め最適な支援を導くための基礎 (新・MINERVA福祉ライブラリー 34)

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