就労支援ではビジネスモデル・キャンバスを活用しよう!
こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやんです。国内で、就労支援事業所の開業・運営支援を行っています。今回は就労支援事業所の運営に役立つフレームワークをご紹介します。
就労支援事業で使えるビジネスモデル・キャンバスとは
今回は紹介するフレームワークは「ビジネスモデル・キャンバス」です。略してBMCと表現されることがあります。ビジネスモデル・キャンバスは、実施する事業の全体像をMECE(ぬけやもれがなく)に要素を洗い出し、まとめたものを言います。「キャンバス」と表現するように、ビジネスモデルを「描く」イメージでまとめて行きます。
確認する要素は、①ビジネス概要(誰に、なにを、どのように)、②ビジネス体制、③収支、の3つがあります。それぞれ以下の項目を確認します。
①ビジネス概要
- 顧客セグメント(CS)
- 顧客との関係性(CR)
- チャネル(CH)
- 価値提供(VP)
②ビジネス体制
- 主要活動(KA)
- 主なリソース(KR)
- パートナー(KP)
③収支
- 収益の流れ(RS)
- コスト構造(CS)
これらの情報を、全体を網羅できるように一つのマップに記載します。
使う場面
- 新しい事業を実施するとき
- 現在実施している事業の戦略に抜け漏れが無いか確認するとき
- 既存事業の売上が下がっている際に原因を見つけたいとき
新しいビジネスを行う場面で活用します。就労支援事業所で言えば、特にA型/B型の就労活動の場面や、移行形で工賃プログラムを実施する場面で活用することできます。
就労継続支援事業所では、賃金と工賃の向上に向けた企業努力が強く求められるようになっています。外注を中心とした業務請負だけでなく、自らで新規事業を組み立てて、実行していく組織力が必要です。その際、闇雲にアイディアを列挙するだけでなく、フレームワークを活用して要素を抽出することが大切であり、ビジネスモデル・キャンバスが役に立ちます。
ビジネスモデル・キャンバスは新規ビジネスを立ち上げるときだけに使うものではありません。既に実施しているビジネスの成績が下がっている場面で、全体から課題を抽出する場面でも活用することができます。
使い方
以下の3つのステップで実施可能です。
- ビジネスモデル・キャンバスの各項目に情報を書き出す
- 全体を眺めてMECEであるか確認する
- MECEではない部分を訂正し、情報の客観性が乏しい箇所はブラッシュアップする
では例として、就労継続支援事業所で家事代行事業を行うとします。各項目の情報をまとめると以下の通りです
●顧客セグメント
団地に住んでいる70歳以上の一人暮らしの高齢者
●顧客との関係性
利用規約に基づいたサービス提供者、ユーザーの関係
●チャネル
チラシを活用した広告からの問い合わせ
ホームページからの問い合わせ
●価値提供
・高齢者の安全
・生きがい
・家族の安心
高齢者が一人では難しい作業を代行することで安心した暮らしと安全な生活を提供する。一人暮らしの高齢者には話し相手がいることで生活の質が高まると考え、更には遠くで生活している家族に対して連絡サービスを行うことで、家族の安全にもつながる。
●主要活動
・従業員の教育
・提供可能メニューのリストアップ
・オペレーションの整理
・販促物作成(チラシ、HP)
・販売促進、営業活動
●主なリソース
・社用車
・コミュニケーション能力が高い障害者
・HPのプラットフォーム
・デザインスキルの高い障害者
●パートナー
・高齢者向け宅配弁当を行っている業者
・ポスティング会社
●収益の流れ
・サービス提供時に現金精算
・月に1回の集金
●コスト構造
・提供するサービスメニューにより器具代金が発生する
打ち出した情報をキャンバスに書き出します。
書き出した内容を眺め、客観性に乏しい情報(例えば、収支の部分は更に数字で情報を加えるなど)を確認し、ブラッシュアップしましょう。
メリット
- ビジネスアイディアを客観的に見つめることができる
- MECEに情報をまとめることができる
- 自身のビジネスアイディアの中で情報が不足している点やネックとなる点について把握できる
まとめ
工賃や賃金の課題が常に議論される就労継続支援事業所では、事業所単位で新規事業の立案と実行が求められます。その影響は、法改定の年に段階的に厳しくなると推察されます。しかし、就労支援事業所の職員には、福祉や技術職、営業の経験がある方が割合として多く、新規事業を立ち上げた経験のある職員は少ない環境です。ビジネスモデル・キャンバスを活用することで、支援員のアイディアを具体的な形にして、実際にトライ→解決を繰り返すことが重要であると感じています。是非トライしていただければと思います。就労支援事業運営.comでは、全国で就労支援事業所の開業・経営支援を行っています。就労支援事業所で実施する業務サポートも行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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