こんにちは。就労支援事業運営.com管理人のまつやんです。国内で就労支援事業所の開業・運営支援を行っています。いつもブログ記事をチェックいただき、ご意見やお問い合わせをいただく皆様、本当にありがとうございます。
先日いただいたコメントについて
今回は大切なお話があります。
先日、以下のような問い合わせをいただきました。
就労支援事業運営.comの管理人様。いつもブログのアップありがとうございます。私は就労継続支援A型と移行支援の多機能型事業所で管理者を行っています。令和3年度の報酬改定に関する記事は深く見させて頂いております。私達のA型事業所は様々な対応を検討したのですが、結論として事業所を閉所することになりました。最初はB型に変更しようかとも考えたのですが、利用者さんにも生活があり賃金を得られないのであれば退所するという方が大多数のため、断腸の思いで決断した次第です。
私は長く福祉の現場で働いています。元々は高齢介護の現場でしたが、障害者と仕事という言葉に魅力を感じ、就労支援事業所で働き始めたのは約6年前でした。同じ福祉のジャンルでも、高齢者と障害者、ましてや介護と就労支援でこれほどまで考え方が違うのかと戸惑いが大きかったです。しかし、日々切磋琢磨し就職を目指して頑張っている利用者さんの姿を見ていると、私自身も頑張れました。常に大切にしているのは利用者さんと向き合うこと。障害特性をしっかり理解することを意識していました。しかし、昨今の就労支援事業所の法改正の動向により、職員が利用者さんと向き合う時間を確保することが難しくなっています。職員はパソコン作業と、納期に追われた作業に向き合っています。このような状態では、私の思う「福祉支援」は提供できません。
私達の事業所は閉所しますが、私は個人で就労支援事業所の開業を目指そうと考えています。自分でやる際は、制度を深く理解した上で利用者さんと向き合える事業所作りを目指して行きたいと思います。管理人様は就労支援事業所の支援員経験があると書いていましたが、職員が利用者と向き合う時間を確保するために、どのような対応を行うことが良いのでしょうか?
長くなりましたが、教えていただけると大変ありがたいです。よろしくお願いいたします。
内容を読んで
このコメント内容は、就労支援事業所で働く多くの職員が感じているのではないでしょうか?ソーシャル・ビジネスならではの制度文化に従って、公益性を軸に事業運営する必要があります。
このコメントから感じた現場の課題は2つです。
- 職員が障害者に対して個別支援を提供する時間の確保が難しい
- パソコン作業など事務作業が煩雑となっている
就労支援事業所は障害者の就労能力の向上を実現しながら、ビジネス視点をもって業務に当たらないといけません。生産的な時間以外は積極的に効率化を図る必要があります。生産的な時間とは、就労移行支援なら「就労能力の向上と安定」、A型・B型なら「作業スキル・生産性・健全な作業環境の提供」につながる時間のことを言います。
実態と課題
そもそも、なぜこのようなことが起こるのか?
前述の通り、就労支援事業所は「福祉」と「ビジネス」の両輪が大変重要です。また小規模で実施している施設が多い中で、個々の職員に求められるスキルは高いです。例えば、以下のスキルは最低限求められます。
●福祉のスキル
- 障害特性の理解
- 障害者への対応の理解
- 病理学的知見
- ケアコミュニケーション能力
- 予見と結果回避の能力
●ビジネスのスキル
- マーケティングスキル
- PDCA視点
- ビジネスマナー
- 論理思考スキル
- ビジネスコミュニケーションスキル
- ビジネスライティングスキル
●実務のスキル
- パソコンスキル(最低限Officeソフトが操作できる)
- 法律の知識
- 障害者総合支援法
- 労働基準法
職員として、障害者に理想の支援を提供するだけでは就労支援事業所の安定経営はうまく行きません。通常運営に発生する実務は効率的に遂行し、最低限必要なスキル得た上で日々の業務を行う必要があります。
解決策
このような事態をどうすれば解決できるのか。結果、まずは日常で煩雑になっている事務的な業務を効率化することが重要ではないかと考えました。例えば、以下のような業務はパソコンを使って自動化することを検討する必要があります。
- 障害者の施設利用時間(勤怠など)の管理・集計
- 支援記録の作成・管理
- 給与明細・利用明細の管理
- ヒアリングシートの管理
- 提供実績記録の管理・集計
- フェースシートの整理
- 国保連への請求業務
など
これらの業務は日々のルーティン業務かと思います。記録を作成することは大切ですが、その後の集計や、月末処理は「転記」のような作業が中心であり、創造的な業務ではありません。もし、これらの時間を削減することができれば、余った時間を障害者の個別ケース検討に活用できたり、残業時間を減らすことにつながるのではないでしょうか?
新プロジェクト「むきあいプロジェクト」テスト始動
職員を意味をなさない作業時間から開放させたい。その結果、障害者と向き合う時間を確保して欲しい!
今回コメントをいただき、強く感じるようになりました。そこで、新プロジェクト「むきあいプロジェクト」を発足します。
いわゆる業務効率化支援の一貫です。就労支援業界には、すでに多数の業務効率化システムが出回っていますが、どれも料金が高いです。なぜなら巨大なシステム基盤を構築することに加えて多数のエンジニアが連携して開発するため、開発コストが高くなる背景があります。
就労支援事業運営.comの管理者まつやんは、個人で就労支援事業所の開業・経営支援を行っているなか、事務所での業務効率化を図るシステム開発を行っています。
特徴は、システム本体やデータがクラウドではなく事業所のPC内に残る仕組みです。セキュリティや情報保護など施設外にパソコンを持ち出すなどしない限り漏洩リスクを防ぐことができます。また、開発コストを抑えて実施するため、圧倒的に料金を下げることができます。
そこでこのブログ記事をご覧いただいている方で、むきあいプロジェクトに協力してくれる施設を限定で募集します。以下の点にご協力いただきたいと考えています。
- 開発システムのテスト運用
- システム課題のフィードバック
- さらなる発展に向けた意見交換
- その他
最初にテストいただきたいのは勤怠システムです。勤怠システムはA型以外で、移行・B型にも活用いただくことが可能です。
こちらが1つ目のシステムイメージです。就労支援事業所で使われるタイムカードの集計と、勤務簿を出力するシステムを自動化したものになります。
今後有料化を検討しているシステムですが、先着1施設はモニター施設とさせていただきます。むきあいプロジェクトに協力していただくことを踏まえ、無料でご活用いただきたいと思います。
興味、関心のある方は是非以下のフォームからお問い合わせください。
まとめ
近年、就労支援事業所の質の向上が制度課題となっています。障害者と向き合う時間を確保するために、先ずは日頃の煩雑な事務作業を効率化することが必要です。一つの事業所で専門のシステムエンジニアを抱えることはコスト面で難しいと思いますが、全国の事業所が連携することで段階的に効率化は実現できるものと考えています。就労支援事業所の職員が、真の意味で障害者と向き合えることができるよう、就労支援事業運営.comのメンバーも一体となりご支援させていただければと思います。ご質問等は遠慮なくお問い合わせください。
最後までご覧いただきありがとうございます。