欠席時対応加算について復習しましょう。就労支援事業所を運営するにあたり、障害者の欠席はよく起こります。欠席者から連絡を受けたり、または、こちらから連絡した際に、施設職員が支援を実施することで本加算を活用することができます。重要なポイントとして、加算の点数はすくないため、どこにゴールを設定するかだと考えています。加えて、実は要件が分かりづらい加算でもあるため、うっかり間違った運用を行っていないか確認いただければと思います。
就労支援事業所における欠席時対応加算の目的
- 施設に通所しない障害者の安否を確認する
- 現状を正確に把握したうえで福祉施設として必要な対応を行い状態の悪化を防ぐ
- 支援計画に基づいて優先度の高い課題が存在していないか確認する
- 施設欠席の長期化を防ぐ
欠席の要因と障害者の状況
人間誰でも同じように、体調変動により仕事や学校を休むことがあります。原因が様々な中で大きく3つに分かれます。
- 体調要因
- スケジュール要因
- その他の要因
体調要因
障害者の病状が原因となり、施設に通所できなくなっている状態です。欠席時対応を行う際は、重症度と緊急度を正確に確認する必要があります。欠席時対応加算として、国から加算給付金を得るということは、「業務責任」が発生します。当然、障害者に対して考えうる事態を予見して結果を回避する必要があります。実際に現場で働いている際に起こったことですが、朝一に施設を利用する障害者から連絡があり、「死にたいです」と言われた際、あなたならどのように対応するでしょうか?
急遽のスケジュール要因
朝一に急遽決まったスケジュールにより、施設通所を休む場合があります。この場合、スケジュールがやむをえないものか、それとも事前に把握しうるものなのか確認する必要があります。なぜなら、会社から「就労」を提供されている労働者は誠実に労働を提供する義務が発生します。抽象的な表現ですが、社会的自立を目指した訓練に意義を持たせるのであれば、障害者に対して、通所への誠実性について支援を行う必要があります。
その他の要因
やむを得ない事情で施設通所を欠席することはあります。欠席内容を確認したうえで、主たる要因を確認し、適切な支援を行うことが求められます。
欠席時対応加算の算定要件
届出
設備や人員要件に依存しない加算のため、事前の届出は不要です。
算定単位数
1回の対応につき94単位(最大月4回まで算定可能)
根拠書類
- 提供実績記録表への記録
- サービス記録
- 欠席連絡があった日
- 連絡してきた相手
- 連絡を受けた対応者
- 欠席の理由(予定の欠席か、急遽の欠席か)
- 当日の障害者の状況
- 次回の利用日
- 連絡調整の具体的内容
- 相談援助の具体的内容
報酬告示にはどのように書いてある?
指定生活介護事業者等において、指定生活介護等を利用する利用者(当該指定障害者支援施設等に入所する者を除く。)が、あらかじめ当該指定生活介護等の利用を予定していた日に、急病等によりその利用を中止した場合において、指定生活介護従業者が、利用者又はその家族等との連絡調整その他の相談援助を行うとともに、当該利用者の状況、相談援助の内容等を記録した場合に、1月につき4回を限度として、所定単位数を算定する。
留意事項通知 第二の2(6)生活介護サービス費
⑧ 欠席時対応加算の取り扱い
報酬告示第6の7の欠席時対応加算については、以下のとおり取り扱うこととする。
(一)加算の算定に当たっては、急病等によりその利用を中止した日の前々日、前日又は当日に中止の連絡があった場合について算定可能とする。
(二)「利用者又はその家族等との連絡調整その他の相談支援を行う」とは、電話等により当該利用者の状況を確認し、引き続き当該指定生活介護等の利用を促すなどの相談援助を行うととともに、当該相談援助の内容を記録することであり、直接の面会や自宅への訪問等を要しない。
算定要件を満たすポイント
- 連絡を行うのは利用者またはその家族等
- 算定をする日に相談援助を行い必ず記録が必要
- 訪問は不要
※なお連絡時に数日間の欠席が明らかとなった場合の取り扱いについては、市区町村の窓口によって解釈がことなります
効果的な欠席対応とは?
- 欠席要因の性質を確認する
- 障害者の主たる病名や既往を踏まえ重症度と緊急度を確認する
- 地域資源を活用を提案する
- 休息の期間を提示したうえで施設への通所をしっかりと促す
障害者の体調をアセスメントしたうえで、事業所で完結しようとせず、しっかりと地域資源を活用してサポートすることが重要です。例えば、「熱が38度あり、咳が止まりません」と言われれば、内科受診を促しますね。メンタル不調による体調悪化要因であれば、「主治医への相談」や、万が一に備えて「ホットライン」の共有してもいいかもしれません。
実際に、欠席連絡したという行動背景を捉え、1日しっかりと休息することを提案することも大切です。その場合は、次の開所日には通所してもらう意思を確認し、可能であれば当日の夕方に再度連絡してもらうことも大切です。
実施するメリット
- アセスメントをしっかり行うことで障害者が欠席する要因を分析することができる
- 障害者本人も体調不良時にどのようなセルフケアを行うことが望ましいのか理解できる
- 職員のリードにより長期化するリスクのある欠席を防ぐことができる
実施時の留意点
- 電話の情報のため職員間での共有が難しい
- 職員から対応を押し付けると障害者へのプレッシャーになりかねない
- 障害者のペースを受け入れすぎると長期的な欠席につながるリスクがある
まとめ
欠席時対応は、施設で働く職員が誰でも1度は経験する支援です。連絡が、朝の繁忙な時間に来ることが多く、かつ電話の情報でもあるので、正確に職員間で共有することが難しいことも業務のポイントになります。ただし、効果的に運用することができれば、障害者の長期化する欠席を防ぐことができるので、施設の特色にあったマニュアルを整備することが重要です。
現在、ICTを活用した効果的な欠席時対応の方法を作成しております。一部、個人でコンサルティングを行っている施設様と共有していますが、ご希望の方にも配布を検討しております。関心がある方は、お気軽にお問合せください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
参考資料
山形県:欠席時対応加算について;HP(https://www.pref.yamagata.jp/documents/3098/r1shudan2.pdf)