利用者が集まらない?~自分の施設の強み、正しく理解できていいますか?②~

勉強会(支援者向けコンテンツ)

パート②では、前回(パート①)作成したSWOT分析に基づいて立案された基本戦略について整理していきたいと思います。

図1 SWOT分析例(地方就労移行支援事業所について)

繰り返しになりますが、SWOT分析は自社の特徴を、

●内部環境⇨Strength(強み)、Weakness(弱み)
●外部環境⇨Opportunity(機会)、Threat(脅威)

上記の項目ごとに立案し、マトリックス内の戦略について立案していくものです。
各戦略ごとに、どのように進めていくべきかまとめてみましょう。

例題:各項目の整理

Strength(強み)

○企業出身の職員がおり、実践的なビジネスマナーの訓練が得意
○看護師が職員におり、働くための健康習慣の支援が受けられる
○1年での就職を基本プランとしたスケジュールですすめるため、短期集中の訓練を受けることができる

Weakness(弱み)

○施設が駅から徒歩15分の場所にある
○近くにコンビニなどがなく、外で昼食を取ることが難しい
○新規事業所のため、実習の受け入れ先等が完備されていない

Opportunity(機会)

○周辺にある就労移行支援事業所は、基本的に2年間利用するカリキュラムで進めている
○精神障害者が年々増えている
○社員100人以上の大企業が休職者問題に追われている

Threat(脅威)

○最寄り駅から徒歩5分圏内に就労移行支援事業所が2箇所ある
○制度改正により、一般就職後の定着率が下がることで報酬単価が減算となる
○就労移行支援事業所の利用者の内、6割がHPから問い合わせるという統計が出ている

戦略立案

戦略①:強みを最大限に活かして、市場の機会にリーチする方法は?

(1)1年間ですすめる基本カリキュラムを打ち出し、社員100人以上の大企業を最優先に営業活動を実施する。

(2)起業経験のある職員と看護師を中心に、働く上で必要となるビジネスマナー+メンタルヘルス+生活習慣項目表を立案し、オリジナルのアセスメント指標を作成。その情報を基に、精神障害者に特化した施設づくりを展開する。

戦略②:自分の弱みにより、市場の機会を取リこぼさないようにするためには?

(1)家から出て、施設まで通所することが難しい精神障害者向けの支援として、利用開始2ヶ月までは主要な3つの駅までの送迎支援を実施する。

(2)食とメンタルヘルスプログラムの方針を打ち出し、施設内で昼食を提供できる仕組みを立案する。

戦略③:自分の強みで市場の脅威を回避する方法は?

(1)アクセスの良い競合他社の事業所と、環境の均一化を図るため、最寄り駅までの送迎支援を期間限定で実施する

(2)1年間で就職を目指す基本方針をHPで公表し、障がい者へのリーチと他社との差別化を目指す。

戦略④:市場の脅威と、自分の弱みにより考えられる最悪の事態をどう回避するか

(1)1年間での就職プログラムでは、一般就職後の定着率が低下するリスクがあるため、看護を中心としたメンタルフォロー制度の立案(定着支援と別枠)を検討する

(2)実習先の獲得のため、2ヶ月間集中して人的リソースを企業への営業に集中させる


いかがでしょうか?

これらは一例のため、蓋然性が高い戦略であるわけではありませんが、戦略の基本方針の外枠が見えてきました。

次のステップとしては、各戦略の具体的なアクションプランを設定し、担当者・期間・評価方法を検討する必要があります。

往々にして、頭や立ち話での会議は意味をなさず、有名なフレームワークを活用して運営戦略を立案することが重要です。

就労支援の運営や成功するために困っていることなど、問い合わせからご連絡いただければ直接サポートやコンテンツ発信を通じてみなさんに紹介していきたいと思います。

いつでもごご連絡ください。

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