就労移行支援事業所における基本報酬の評価は、平成30年度の改定より「一般就職後の定着人数」が反映されるようになりました。
では、この一般就職とはどのように定義されるのでしょうか?
働き方改革や多様性という言葉が世の中で広がる中、フリーランスも立派な仕事です。
令和3年度の報酬改定検討チームから発表された資料に基づき、確認していきましょう。
尚、本記事には個人の解釈も含まれています。
最終的な解釈は、必ず担当の行政窓口にご確認ください。
結論
一般就職の実態根拠として、フリーランス(個人事業主)は認められない方針が濃厚です。
地域により、個別の運用を用いている可能性があります。
根拠
令和3年2月4日に、報酬改定検討チームが資料を発表しています。その中にある、障害福祉サービス等報酬改定概要に、以下のような記述があります。
重要な要素としては、卒業生が「企業と雇用契約関係にあるか否か」です。
行政も、多様性を主張するなかフリーランスという働き方自体を認めていないわけではないと思います。
しかし、労働根拠としては不明瞭であることから、たとえ短時間であったとしても、企業との雇用契約の維持をもって一般就職実績に認められます。
その他の例外対応
では、一般就職後、離職した後すぐに他の企業と雇用契約を締結した場合にはどうなるのでしょうか?
この点については、管轄の市区町村にしっかりと確認いただくことが重要です。
厚生労働省が発表する記述には、このような例外対応は記載されていません。(もしかしたら、見つけられていないだけかも?)
過去の経験では、以下の2パターンがあります。
- 退職企業との雇用契約を終了した時点で他の企業と雇用契約を締結していれば定着の適用となる
- 退職企業との雇用契約を終了した時点で他の企業から内定を受理していれば定着の適用となる
このことからも、定着実績とは利用者自身の「就労意欲」が欠落していないことが重要かもしれません。
就労移行支援事業所も、定着フォローを行う中、もし就職した企業が合わないと訴えられた際、その理由が合理的なものであるならば市区町村との連携した転職フォローを実施してはいかがでしょうか?
今後の想定
就労移行支援事業所では、プログラミングやデザインなど、個人スキル向上のカリキュラムが増えてきました。
当然、就労移行を卒業するタイミングで、フリーランスとなる利用者も出てくると思います。
厚生労働省も、働き方の多様性を認める中、今後はフリーランスでも一般就職実績となる措置が進んでいくかもしれません。
参考資料
厚生労働省 報酬改定検討チーム:令和3年度障害福祉サービス等報酬改定概要(案);厚生労働省HP(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_16541.html),2021.2.4