【取材】就労支援事業所の元事務職員に聞いてみた|職員として現場で感じたこと

事務員
かねやん
かねやん

「取材シリーズ」では実際に障害福祉サービスに関わる皆様に、現場で働いた事がある人にしかわからない、リアルな情報を発信しています!

nobuo2002(社会福祉士、介護福祉士、3級ファイナンシャル・プランニング技能士、日商簿記2級)

事務員として介護福祉業界で活躍する。事務員だけでなく、時に現場スタッフをサポートすることで、円滑な事業所運営に貢献。制度事業で大切となる、バックオフィスとフロントオフィスの両面から実務経験を構築する。現在は、これまでの経験を活かして、幅広いジャンルでライターとして活躍する。

かねやん
かねやん

ライターとしても活躍する、nobuo2002様に取材しました。バックオフィスだからできる大変なスタッフ(サービス管理責任者等)のサポート方法について、お答えいただいています。

インタビュー内容

福祉はどのような現場をご経験されましたか?

訓練系サービスから介護サービスまで幅広く経験しました。

 障害福祉サービス事業所(就労継続支援B型・就労移行支援・生活介護、主となる業務はクリーニング業)や障害者支援施設(施設入所支援、生活介護)で生活支援員(兼務)、地域包括支援センターで相談員と、障がい者福祉から高齢者福祉まで幅広く経験してきました。

また、障害福祉サービス事業所では生活支援員を兼務しながら事務職員をしていました。

事務職員の主な業務を教えてください

国への請求業務はもちろん、日々の経費精算など、幅広く実施していました。

 一般的な経理業務(伝票標記、伝票入力、補助簿記帳、予算管理、未払金管理、出納、インターネットバンキングを使用した支払い、経営分析資料作成)の他に、旧障害者自立支援法に関連した業務(介護給付費・訓練等給付費請求、加算申請、助成金申請、管理者・サービス管理責任者変更時の届け出書作成、自治体監査対応)、営業事務業務(官公庁へ提出する入札指名参加資格申請書作成、電子入札)などを幅広く担当していました。

事務職員から見て、就労支援事業所の職種で一番大変そうに見えたのはどの職種ですか?その理由も教えて下さい。

やはり、サービス管理責任者が一番大変そうでした。

 私が在職していたのはクリーニング業務を主な事業として行っている障害福祉サービス事業所でした。そのような事業所の中で、ご利用者様たちとともに汗を流しながら利用者支援と作業を並行して行う支援員さんたちは、とても大変そうに感じました。

 ただ、そのような支援員業務とサービス管理の両方を行うサービス管理責任者はより大変そうでした。私がいた障害福祉サービス事業所ではサービス管理責任者に課長や係長などの役職は与えられていませんでしたが、一般的な会社に例えると係長や課長のような中間管理職のようで、上から下から横からと色々と質問をされていたように思います。

サービス管理責任者は業務量が多く、悩みも多い職種です。周りの職種がフォローして、サービス管理責任者の悩みを解決する方法はありますか?

「職種問わず法令を理解している」という環境を整備することが大切だと思います。

 サービス管理責任者の業務は支援の管理だけではありません。業務によっては法令の理解が必要になるものがあります。定員超過や利用者負担などは法令の理解が必要になるでしょう。ただ、それらの業務をサービス管理責任者だけに担当させることは負担が大き過ぎると思います。普段から報酬請求や加算申請などで法令に触れる機会の多い事務職員が、サポートすることで、業務量の負担軽減になるのではと思います。

 また、支援面に関しては、管理者⇔サービス管理責任者⇔一般支援員の連携を深める必要があります。

事務職員から見て、サービス管理責任者に向いている人はどのような人だと思いますか?理由も教えてください。

「福祉」だけの専門性ではなく、柔軟に多方面の業務を遂行できる人が向いていると思います。

 専門性と柔軟性のある方が向いていると思います。

 サービス管理責任者は事業所によっても違うとは思いますが、現場での支援業務だけではなく、デスクでの事務作業も多い職種です。時には数字や表とにらめっこするような作業もあるでしょう。また、支援員の他にも、管理者や事務職員との連携も必要です。そのように考えると、支援業務だけをしたいという方よりは、事務業務や周囲との連携も柔軟にこなせる方が向いていると思います。

nobuo2002様は入所施設でも職員を経験していたと思います。ズバリ!就労支援事業所で働くやりがいはどのようなものだと感じますか?

ご利用者様の喜ぶ瞬間を創造できることが全てです。

 ご利用者様の喜ぶ顔を見られることです。

 テキパキと作業をこなすご利用者様に「上手だね」と感心を示すと嬉しそうにしていたり、工賃支給日に「ヤッター!給料日だ」と喜んだりしている姿は忘れられません。

 私は入所施設でも支援業務を行ってきました。ただ、障害支援区分が重度のご利用者様が多かったので、介護の要素が強く日々の業務に追われていました。一方、就労支援事業所のご利用者様であれば、喜びを表情にしっかりと出せる方が多いです。一長一短がありますが、就労支援事業所での業務は、喜びややりがいを感じやすかった部分もありました。

多方面から就労支援事業所の業務を経験しているnobuo2002様から見て、就労支援事業所で働く職員が培う必要がある能力にはどのようなものがあると考えますか(資格などあれば教えてください)

「ビジネス」に関する能力が必要です。

 ビジネススキルやビジネスマナーが必要だと思います。

 就労支援事業所の職員は入所施設よりも、取引先といった外部関係者と接することが多い傾向にあります。また、最近ではPC作業の支援も増えています。さらに、就労継続支援では製品やサービスを販売しなければご利用者様に工賃を支払えません。そのように考えると、当然、福祉のスキルや知識は必要ですが、他の福祉業界の職員よりもビジネスに対する意識やスキルが必要だと感じています。

これから「就労支援事業所で働きたい!」と考えている方にアドバイスをお願いします。

あなたのこれまでの経験が活かせます!自身を持って飛び込んで来てください!

福祉業界が初めてで不安に感じているかもしれません。しかし、就労支援事業所はビジネスのスキルや考え方が必要な事業所です。これまで他の業界で身につけたスキルや経験が十分に武器になるので、自信を持って飛び込んできてください。そして、あなたのスキルや経験でご利用者様を笑顔にしてください。

これから「就労支援事業所を開業したい!」と考えている経営者にアドバイスをお願いします。

障害福祉サービス事業所業界に、新たな風を吹かせてください!

 就労事業所を維持・運営していくためには、ご利用者様の確保と工賃支払いのためのサービス・商品の販売をしなければなりません。特に、サービス・商品の販売には、マーケティングも必要になるでしょう。戦略・戦術を間違って事業所を開設しても長くは続かないでしょう。「福祉+ビジネス」の要素がある難しい事業所ですが、この業界に新しい風を吹き込ませてください。

nobuo2002様のご活躍

 ライターとしてご活躍のnobuo2002様。これまでにも、介護や福祉に関係する多数の記事を作成しています。

「介護職の未経験がつらい理由は?慣れるまでの注意点を徹底解説!」
https://kaigodad.com/mikeiken-turai/

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