【研修】SST(ソーシャルスキルトレーニング)の基本を理解する

基本スキル

【研修】SST(ソーシャルスキルトレーニング)の基本を理解する

 こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやん(@kanematsu_redef)です。国内で、就労支援事業所の開業・経営支援を行っています。近年、障害者総合支援法の制度変更の傾向により、職員の資質向上や事業所としての福祉貢献度が事業所評価に直結するようになりました。「研修」シリーズでは、障害者と接する支援者が知っておく必要がある障害者に関する知識を発信していきます。

この記事は誰に向けて書いている?

  • 初めて就労支援事業所で働く職員
  • これまでにSSTを活用したことがなかったが、今後初めて活用する

 今回はSST(ソーシャルスキルトレーニング)について考えてみます。様々な心理療法と比べて、SSTには決まった手順や方法があるわけでは有りません。よって、SSTの目的や考え方を広く理解することが極めて重要です。普段活用している方でも、ポイントを復習していきましょう。

SSTとは

 SST(ソーシャルスキルトレーニング)は、「生活技能訓練」または「社会生活技能訓練」と訳されます。一般的には認知行動療法に基づいたリハビリテーション技法とされています。「リハビリテーション」と表現されると、対象範囲が限定的ですが、広くは「社会で人と関わりながら生活していくためのスキルを身につける訓練」と考えられ、幅広い対象者に実施することができます。

 社会で生活していくためには、様々な対人関係が生じます。基本の挨拶や接客対応はもちろんのこと、名刺交換、メモのとり方などの具体的な題材から、人に仕事を依頼する方法、人の依頼をうまく断る方法などの抽象的な題材もあります。

 SSTは学校教育の課程で誕生した方法ですが、題材の自由度が高いこともあり、大人になってからでも十分に訓練効果をえることができます。特に就労場面に特化した議題を中心に、就労支援事業所で活用されることがよくあります。

SSTは何を目標とするか

 SSTは、対人関係に関する具体的な方法論を学び、正確に再現するための訓練ではありません。社会生活を想定し、どのような行動を目標として、どのように立ち居振る舞うのか考え、自分なりの最適解を見つけることが目標です。障害者と支援者が1対1で実施することもあれば、複数人で実施することもありますが、全員が異なる結論になることもありえます。

 精神障害者や発達障害者は、社会生活で苦手なことがある場合に、その刺激から逃げたり(回避行動)、ストレス反応を示したりすることがあります。きっかけは様々であるため、一辺倒な支援はできません。障害者本人の主体的な考えや、目標を尊重することを基本として、適切な対応を「思考する機会」を提供することが大切です。

 SSTでは、社会行動に繋がるテーマを中心に、障害者本人に「何を」、「どのように」、「なぜやるのか」を思考してもらいます。思考により、障害者個々の中で何かしらの結論がでることがSSTの目標であると言えます。

SSTはどのように実施するか

 SSTの進め方に正解や決まりはありません。実施環境によって、様々な工夫が見られます。以下は一例です。

  • ディスカッション形式
  • ロールプレイング形式
  • ゲーム形式
  • ワークシート形式

 それぞれを見ていきましょう。

ディスカッション形式

 社会生活を想定して、共通の演題をもって話し合いを行う方法です。相手の意見を尊重し、自分自身の意見をしっかりと述べるように進めます。ファシリテーターを用意して、時間やテーマを決めて進めることが大切です。

ロールプレイング形式

 実環境を再現しながら実施します。まずはその環境における様々なパターンを想定し、対応方法を知識としてインプットします。次に、ロールプレイングを通じてアウトプットすることで適切な技術として定着します。

ゲーム形式

 ゲームには一定のルールを設けて進める必要があります。ゲーム形式のSSTにすることで、他者との協調性やルールを守って運用するなど、社会性を再現して進めることができます。

ワークシート形式

 ワークシートを活用することで、参加者の思考特性を見える化することができます。テーマとどのような順番で何を考えてほしいか明確にすることでワークシートを活用します。

まとめ

 このように、SSTには具体的な正解はありません。ただし、明確な目的意識をもち、SSTを通じて継続就労に必要となる社会行動を再現することがポイントになります。実施する準備として、テーマをリストアップする必要があります。「障害者が一般就職するために必要となる社会スキル」をテーマに職員でブレストを行い、演題を決めていきましょう。演題を決める際には、この活動を通じて障害者にどのような示唆を得てもらいたいのか明確にすることが大切です。様々なSSTを実施して、障害者に沢山の気づきを与えていただければと思います。

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