【研修】就労支援事業所の職員向け「精神障害と薬物療法」について

基本スキル

【研修】就労支援事業所の職員向け「精神障害と薬物療法」について

 こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやん(@kanematsu_redef)です。国内で、就労支援事業所の開業・経営支援を行っています。近年、障害者総合支援法の制度変更の傾向により、職員の資質向上や事業所としての福祉貢献度が事業所評価に直結するようになりました。「研修」シリーズでは、障害者と接する支援者が知っておく必要がある障害者に関する知識を発信していきます。

 今回は「精神障害と薬物療法」について学びたいと思います。就労支援事業所に通所する障害者の多くの方が服薬による治療を受けています。中には、服薬の管理に課題があり、自己的に中断してしまう方もいます。就労支援事業所の職員は医師では無いので、薬物を処方することはできません。しかし、基本的な生活・労働習慣の支援を行う立場として、服薬習慣に対して正しい知識をもって、障害者に適切な支援を提供する必要があります。ここでは、薬物療法の基本的な話をお伝えします。

薬物療法とは

 精神障害に対して、日常生活を送る上で支障となる精神症状を軽減する目的で医師が処方する治療法です。薬物自体が精神障害を治療するというより、薬物療法により症状が軽減することで、活動量が変化して精神障害を発生させた根本原因(職場環境、生活習慣、特徴的な思考など)に変化を加えるという考え方です。

薬 物 療 法 
症 状 の 軽 
根 本 習 慣 
の 改 善 
活 動 量 の 
向 上

薬物療法の課題

 薬物療法は医師が処方した「用法・用量」を遵守して進めることが極めて重要です。しかし、実態は多くの方が医師の指示を守れていません。ある調査結果では、服薬の処方を受けている6割以上の方が「医師の指示に反して自己中断したことがある」と回答しています。飲み忘れなどの理由もありますが、中には「治ったと思った」「依存したくないから」「飲んでも効かないから」というような、薬物に対する誤った知識による理由も見られます。

 精神障害に対する薬物は、長期的に服薬を継続することで症状が寛解した後も長期的に活動量を維持することができます。患者は、主治医から言われた処方内容を十分に理解したうえで、薬物と向き合う必要があります。

薬物の種類

 精神障害の薬物には「向精神薬」と「催幻覚薬」があります。催幻覚薬は、国内ではほとんどが違法薬物です。精神障害の治療には、向精神薬が用いられます。向精神薬の特徴は、「病気」に対してではなく「症状」に対して処方されるというものです。「不眠」には「眠剤」、「不安」には「抗不安薬」など、精神症状を捉えて適切な薬物が利用されます。

向精神薬の種類

 向精神薬には、「抗うつ薬」「抗不安薬」「睡眠薬」「抗精神病薬」「気分安定薬」などの種類があります。それぞれ特徴を見ていきましょう。

抗うつ薬

 抑うつ気分、不安、焦燥感といった症状に対して処方されます。うつ病以外にも不安障害や摂食障害などの緩和に活用されることもあります。

抗不安薬

 不安、緊張、前進のこわばり、痙攣、自律神経の不調などに症状に対して処方されます。あらゆる病気に活用されます。

睡眠薬

 不眠や睡眠習慣の乱れてに対して処方されます。眠気を促し、患者の入眠リズムを整える効果があります。

抗精神病薬

 幻覚、異常知覚といった症状に対して処方されます。主に統合失調症などが当たります。

気分安定薬

 双極性障害のような躁状態に対して、気分の安定や予防のために処方されます。

就労支援事業所での考え方

 就労支援事業所に通所する障害者には、自身の考えに基づいて服薬を中断してしまう「自己中断」を行ってしまう方が散見されます。向精神薬は脳神経に働きかける薬物であり、十分な医療資格のない者による判断で中断することは危険が大きいです。もし、施設に通所する障害者で、「服薬習慣が不安定」という情報があれば、具体的にどのような習慣になっているのか確認し、主治医等と情報共有することが望ましいです。職員も、医師の判断に基づかない服薬が危険であることを十分に障害者に説明することを理解し、適切に声掛けを行う必要があります。

まとめ

 精神障害と薬物療法についてお伝えしていきました。就労支援事業所に通所する障害者で、特に精神障害者は長期間に渡り薬物と向き合っていく必要があります。中には「服薬依存が怖い」「長期の服薬により効かなくなる」というような、頑なな認識を持つ方も少なくありません。薬物は様々な意見がありますが、現代医学の科学的根拠に基づいて処方されています。就労支援事業所では、障害者が正しい服薬を徹底できているか、また主治医と服薬内容についてコミュニケーションができているか、声掛け等でサポートする必要があります。是非、今後の支援に活かしていただければと思います。

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