【研修】認知行動療法とは?就労支援事業にどう活かす?
こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやん(@kanematsu_redef)です。国内で、就労支援事業所の開業・経営支援を行っています。近年、障害者総合支援法の制度変更の傾向により、職員の資質向上や事業所としての福祉貢献度が事業所評価に直結するようになりました。「研修」シリーズでは、障害者と接する支援者が知っておく必要がある障害者に関する知識を発信していきます。
本記事から学べること
- 認知行動療法の基本的な考え方
- 「就労支援事業所×認知行動療法」のイメージ
「認知行動療法」はとても有名で、医療福祉に携わるみなさんが一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?よくあるイメージとして、「一部の医療従事者や心理士が巧みな技術をもって扱うもの」というものがあります。しかし、これは少々誤ったイメージです。認知行動療法は、障害者の行動を具体的に見える化し、本人と共有することから始まります。
基本的な概念を理解することで、巧みな認知行動療法を活用するのではなく、障害者と接する上での基本スタンスを理解することができます。是非最後までご確認ください。
認知行動療法とは
精神障害者や発達障害者は、時に非合理的な思考や否定的な思考が特徴となり、日常生活や社会生活に影響を及ぼします。認知行動療法では、この「非合理性」を見える化するなか、障害者と共に新しい認知を考え、行動していくことを目指します。
現代の臨床心理業界では、世界的に見ても中心的な治療方法に位置づけられており、専門書も多数発刊されています。
認知行動療法において、特に大切にしている障害者との関わり方は、「思考を客観視」することにあります。非合理な思考と行動には、オペラント条件づけの考えに代表されるよう、過去の経験に基づいて定着している可能性があります。その経験は、偶発的に起こったものであった場合、客観的に見つめ直すことで非合理性を認知できるかもしれません。
認知行動療法を活用する支援者は、まずは本人の行動を具体的に見える化することが大切であると考えます。しかし、この考え方は、果たして認知行動療法に限った話でしょうか?思考を客観視することは、変化する外部環境に適応するために、常に実行しなければならない基本行動ではないでしょうか?
認知行動療法に関わる2つの起源
認知行動療法は、何かカリスマ的な創設者が提唱した概念ではありません。人間の心理や、精神医療で提唱されてきた様々な考えを総称したものです。特に起源と言われる技法が2つあります。それは、①行動療法、②認知療法です。
①行動療法
障害者が行っている非適応な行動に対する原因を、「環境に対して、不適切な感情を紐付けて行っている行動」または「環境に対して、適切な行動を経験していない」と捉え、対応を進めていく考え方です。
②認知療法
障害者の物事の捉え方が限定的かつ非合理的である場合、「果たして本当に正しい認知なのか?」「異なった考え方は無いものか?」などを支援者が一体となって考察する技法です。
これら2つの考え方は、それぞれ独立して遂行するものではなく、相互が認知と経験を紐付けることで、定着した行動習慣に繋げて行くという考え方になります。
認知行動療法の基本的な考え方
行動療法と認知療法のそれぞれの考えを取り入れることで認知行動療法は提唱されました。まとめると、人間は「外部刺激」に対して、障害者個人の内部で「認知する工程」が発現されます。「認知」により、何かしらの反応が示され、「行動」が誘発されます。誘発された行動は、その後に得られる「結果」を求めています。これら一連の流れは、「意識的」または「無意識」に生じているものであり、必ずしも明確な言語化ができるわけではありません。認知行動療法では、障害者と共に、これらの一連の工程を明確な「言語」につなげることを考えて行きます。
就労支援事業所での活用方法
就労支援事業所では、「就労」を再現した環境で、様々な刺激と行動をアセスメントすることができる環境です。最終目標を「一般就労」または「生産性の向上」とした場合、ゴールとする環境と障害者の能力に関するギャップを捉えることが大切です。
支援者がまず意識することは「目標」「現状と課題」を明確に言語化することにあります。課題の認識を障害者本人と共有したうえ、次は課題の根底となっている行動について、「いまなぜそのような行動が起こっているのか?」について言語化します。まずは仮説でも「言語化」を試みることで、障害者本人に対して「思考」する機会を提供することができます。何よりも問題なのは、「思考」が止まっている状態です。集団や実践的な体験を提供できる就労支援事業所だからこそ、「思考」する機会を提供することが、様々な認知と行動に繋がる恵まれた環境であると言えます。
まとめ
認知行動療法の基本的な考え方についてまとめてみました。一部の方にとっては「特殊なスキル」「巧みな話術」というような印象のある技法ですが、蓋を開けてみると障害者と支援者の間で行うコミュニケーションを、丁寧に実施しているだけに過ぎません。言語化という工程は、時にストレスを感じることもあり、障害者に取っては負荷となる可能性があります。しかし、近年の就労支援事業性は、障害者にステップアップを提供する責任があり、一定以上の負荷を加える必要がある環境です。認知行動療法について、更に知見を深め、事業所内でのアセスメントやモニタリングなどでも、積極的に応用いただければと思います。
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