【研修】就労支援事業所で使える「精神症状」について

基本スキル

【研修】就労支援事業所で使える「精神症状」について

 こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやん(@kanematsu_redef)です。国内で、就労支援事業所の開業・経営支援を行っています。近年、障害者総合支援法の制度変更の傾向により、職員の資質向上や事業所としての福祉貢献度が事業所評価に直結するようになりました。「研修」シリーズでは、障害者と接する支援者が知っておく必要がある障害者に関する知識を発信していきます。

 今回は「精神症状」について学びたいと思います。就労支援事業所の対象者には、特に専門的な支援を提供していない限り「精神障害者」が多くの割合を示します。精神障害者についての知識を得ることで、考察の幅や、仮説の確度が高まり、より質の高い支援に繋がるものと考えています。ここでは、一般的な精神症状の種類について見ていきたいと思います。

精神症状の歴史

 悪魔から医療へ。19世紀頃まで、精神異常と捉えられる言動に対して「悪魔が取り付いた」と表現されてきました。その当時は、主に医師ではなく悪魔祓いなどを職としていたものが対象者の支援に携わっていました。ところが、19世紀後半になると、ドイツの医学者クレペリンが、対象者に生じる異常な精神症状を「精神疾患」と捉え、身体症状などと同様に一定の原因や症状の過程があると仮説を立てました。

※現在では「精神疾患」ではなく「精神障害」という表現が使われるようになっています

現在の診断方法

 現在でも、精神症状の多くは明確な発生寄与・病理的見解が不明瞭なものも多いです。よって、血液検査やレントゲンなどの身体検査による診断は難しく、障害者の症状、表情、経過などを通じて、医師が総合的に判断する必要があります。 また、精神医学では、社会面で見られる症状が重要な情報となることがあるため、医師は家族や職場関係者等からのヒアリング情報にも注意したうえで診断を行っています。

症状の分類

 精神症状には様々なものがあります。主要な精神症状としては、①異常知覚、②異常思考、③異常記憶、④自我の異常、⑤異常な感情、⑥異常行動があります。それぞれを見ていきましょう。

①異常知覚

 現実では見られないものを感じ取る状態です。幻覚や幻聴、幻触、幻味などが当たります。

 尚、四肢切断の患者が知覚する「幻肢痛」は同じ「幻」という字が使われています。「異常知覚」という部分では共通していますが、発生機序が異なる点で区別が必要です。

②異常思考

 自身の恐怖、不安、性などの思考がまとまらなくなり、混乱した状態をいいます。妄想を抱いた発言などを行います。

③異常記憶

 「健忘」と言われる状態が見られることがあります。これは、記憶を留めることができず、時に意識障害や知能低下を起こすことがあります。

④自我の異常

 自分自身の行為・行動・思考などに対する様々な症状があたります。「他者に操られている」「自分の考えが他者にバレている」から、多重人格が当たります。

⑤異常な感情

 抑うつ、躁状態、無関心など、一般的な感情と比較した場合の異常な感情があたります。

⑥異常行動

 拒食・過食、性依存、無関心・無気力など、異常な行動を呈している状態。

まとめ

 精神症状には様々な種類があります。精神障害の診断は、本人や第3者が確認する様々な症状を総合的に捉えて医師が決定します。就労支援事業所の職員としても、診断名と精神症状の関連を知ることで、精神障害者の初回アセスメントで評価の優先ポイントを考察することが可能です。当然、障害者との関わりや支援では「個別性」を重視する必要があり、診断があるからといって、全てを判断することはできません。まずは、限られた初回アセスメントの期間で精度の高い目標設定を行うために、精神症状に基づいた仮説思考は、支援者の極めて重要なスキルです。今後ますます精神障害者数が増えていくものと考え、精神障害に対する現場で使える知識も、引き続きお届けしていきます。

 就労支援事業運営.comでは、国内で就労支援事業所の開業・運営支援を行っております。興味のある方は、お問い合わせください。最後までご覧いただきありがとうございます。 

LINEで無料相談を実施する

 LINE相談は福祉スタッフの皆さんとの出会いの場と位置付けております。生きた現場課題に触れることが、情報発信に重要と考えておりますので、是非お気軽にご活用いただければ幸いです。

友だち追加