【研修】就労支援事業所の職員向け「ケース・フォーミュレーション」とは

基本スキル

【研修】就労支援事業所の職員向け「ケース・フォーミュレーション」とは

 こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやんです。国内で、就労支援事業所の開業・経営支援を行っています。近年、障害者総合支援法の制度変更の傾向により、職員の資質向上や事業所としての福祉貢献度が事業所評価に直結するようになりました。「研修」シリーズでは、障害者と接する支援者が知っておく必要がある障害者に関する知識を発信していきます。

 今回はケースフォーミュレーションについてご紹介いたします。アセスメントを実施する上での基本姿勢ともいえます。是非ご覧ください。

ケース・フォーミュレーションとは

 「ケース・フォーミュレーション」とは1事で言うと「仮説思考型支援」です。

障害者に対して、

「なぜその問題が生じているのか?」
「今の症状はなぜ出ているのか?」
「問題が継続している理由は?」
「改善に必要なことは?」

などのように、仮説に基づいて、課題の全体像を捉える方法です。

 「formulation(フォーミュレーション)」は公式化・組織立て・明確な記述という意味があります。

 支援者が訓練プログラムや支援効果を改善させるためには、常に実施したアプローチの見直しや改善が必要です。そのために、アプローチを実施する前に、「この訓練により効果が出る理由は○○である」という仮説が必要です。結果的に効果が出なかったとしても、「○○を2週間実施しても効果が出なかった」という事実を得られたので、事実に基づき次の仮説を立案します。

 ケース・フォーミュレーションは、しばしば、問題解決に向けたマッピング(地図作り)と表現されることがあります。

基本的な実施手順

 大きく3つのプロセスにより実施することができます。プロセスは以下のとおりです。

プロセス1:課題を明確にする

プロセス2:課題の解決方法について仮説を立てる

プロセス3:仮説検証の実施

 それぞれを見ていきましょう。

プロセス1:課題を明確にする

 仮説を立案する前に、まずは課題を明確にします。今、何が問題なのか。何を改善したいのか。明確な課題定義が無い中での仮説立案できません。

プロセス2:課題の解決方法について仮説を立てる

 課題に対して仮説を立案します。課題を改善できる方法として、様々な根拠や客観的な事実に基づいて立案します。仮説を生み出す方法として、帰納法・演繹法と呼ばれる2種類がありますので、是非調べてみてください。

プロセス3:仮説検証の実施

 導き出した仮説を実際に実施してみます。仮説は、あくまでも「仮説」であり、どれほど優れた根拠を備えていたとしても、個別性が強い障害者に対して100%仮説通りの結果が出るとは限りません。実施結果に基づいて、プランの「継続」「変更」「終了」「中止」を判断していきます。

就労支援事業所でどのように活用するのか

 日々の訓練プログラム、全てに応用できるものです。特に、長期的なゴールに基づく仮説や1~2週間程度の短期的なゴールに基づく仮説、1日~2日程度の更に短期的な仮説など、仮説から検証までの期間を様々に設定して進めることができます。何よりも、目の前に「課題」が存在すれば活用できる考え方です。「課題がない」という状態はめったに無いことかと思いますので、是非意識して支援を実施いただければと思います。

まとめ

 ケース・フォーミュレーションについてご紹介させていただきました。特に精神医学の世界では、よく使われる言葉です。仮説の精度は、支援者の経験やスキルによって、大きく変わるものではあります。しかし、新人にとっては、仮説を持って失敗することで、次の精度の高い仮説へと繋がります。ケース・フォーミュレーションを繰り返すことで、支援に対する確固たるノウハウとして、構築することができます。是非意識していただければと思います。

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