【研修】本当にただのわがまま?新型うつを理解する
こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやん(@kanematsu_redef)です。国内で、就労支援事業所の開業・経営支援を行っています。近年、障害者総合支援法の制度変更の傾向により、職員の資質向上や事業所としての福祉貢献度が事業所評価に直結するようになりました。「研修」シリーズでは、障害者と接する支援者が知っておく必要がある障害者に関する知識を発信していきます。
本記事から学べること
- 「新型うつ」の特徴が分かる
- 「うつ病」と「新型うつ」の違いを把握できる
- 就労支援事業所として意識するポイントが分かる
今回は、「新型うつ」について考えていきたいと思います。従来のうつ病とは症状がことなるため、発見が遅れることや、医師でも診断が難しいと言われる病気です。まずは特徴を理解し、疑わしい障害者を見つけた場合には、適切な対応をとれるよう心がけましょう。
新型うつとは
新型うつは、「非定型うつ」や「擬態うつ」、「現代型うつ」とも呼ばれます。年齢では、20~30歳代に増えていると言われています。
「うつ病」との決定的な違いは、病気とは認められていないことにあります。
「うつ病」は以前から几帳面で責任感が強い人がなりやすいと言われていました。「うつ病」になれば自分が好きなことも楽しめなくなり、仕事や日常生活に支障をきたします。明らかに気分が晴れないため、自分自身で精神科を受診することもあります。
「新型うつ」は、「うつ病」とは異なります。仕事や対人関係など、苦手な環境にいるときは抑うつの症状が出現します。しかし、自身が好きなことや熱中できることに接しているときは、抑うつ症状が消失するのです。本人は「気分転換ができている」と考えることがあるため、自発的な病院の受診が遅れる傾向があります。
症状の特徴
「自分の好きなことをやっていると症状が消失する」という特徴があります。そのため、医師から診断書をもらい、職場を休職している期間でも、旅行や自分の趣味など、抑うつ症状が軽減する行動を選択します。そのため、周りからは「わがまま」「自分に甘い」というように思われがちです。
新型うつの特徴をまとめると、以下のようになります。
- 自分が苦手なものの前だけで症状が出現する
- 自分の好きなものには積極的に取り組む
- 日内変動がみられる
- 他責傾向
- 過食や過眠が見られる
- 感情のアップダウンが激しい(「うつ病」であれば感情は継続的に下がっている)
新型うつは、自己愛が強く、自分に自信を持っているが、何かミスがあれば他人の責任にする人がかかりやすい特徴があります。人の性格を表現する言葉があり、仕事熱心で他人に尽くし、まじめ、几帳面という正確を「メラコニー親和型」と言います。これは「うつ病」にかかりやすい型と言われています。一方で「新型うつ」にかかりやすい人は「ディスチミア親和型」と表現されることがあります。
就労支援事業所での考え方
「新型うつ」は現代医学では病気と異なると定義されています。特徴から、自発的な受診に繋がりづらいため、潜在的な患者と接する可能性があります。就労支援事業所の中で、早期に「新型うつ」の可能性を見つけるためには、「新型うつ」の特徴を理解し、全体スケジュールのなかで障害者を評価することが大切です。例えば、以下のような特徴が見られたときは要注意かも知れません。
- グループワークや一般講義では気分がかなり沈んでいる
- 休憩時間中にゲームなどに取り組んでいるときはとても楽しそう
- 自分が講義を楽しめないのは他の障害者に原因があると発言する
これらは「新型うつ」の特徴です。もし疑わしいと思われる場合は、客観的な評価情報を残し、本人の許可を得た上で主治医等と情報共有することが望ましいです。間違っても、「新型うつではないか?」というような、医師に対して見解を述べるようなことは避けてください。就労支援事業所側が徹するのは、主観的な解釈ではなく、客観的な事実となる情報を伝えるように心がけましょう。
まとめ
「新型」「従来型」と言葉が付くものは、時代変化の背景が関連していることが多くあります。現代社会では、「好きなことで働く」「趣味を仕事に」というような表現もよく使われるようになりました。この言葉の解釈を誤ると「好きなことだけに取り組む」と考えてしまいそうです。実際に働き、生活を確保するとなると、好きなこと以外にも取り組む必要があります。就労支援事業所での訓練や実習を通じて、就労環境のリアルや辛いときの退所方法など、十分に共有できるよう取り組んでいただければと思います。
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