【研修】就労支援事業所で使える「応用行動分析」とは
こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやん(@kanematsu_redef)です。国内で、就労支援事業所の開業・経営支援を行っています。近年、障害者総合支援法の制度変更の傾向により、職員の資質向上や事業所としての福祉貢献度が事業所評価に直結するようになりました。「研修」シリーズでは、障害者と接する支援者が知っておく必要がある障害者に関する知識を発信していきます。
今回は就労支援事業所で使える「応用行動分析」について考えていきたいと思います。就労支援事業所では、日々沢山の情報収集を行います。取得した情報は飾りではなく、日々の支援計画に活かす必要があります。応用行動分析は、得られたアセスメント結果に基づいて、原因を追求する方法です。支援に活かせる大切なポイントになりますので、最後までご覧いただければ幸いです。
応用行動分析とは
応用行動分析は、データ分析による介入方法の一つです。アメリカの心理学者・スキナーをはじめとする認知行動療法学派の考え方から生まれました。障害者に生じている課題や問題を、その障害者個人だけの問題ではなく、環境との相互作用としてみることが特徴となる分析です。
応用行動分析では、様々な課題は環境からの選考刺激によって発現され、障害者個人の行動が変化すると考えます。
応用行動分析による支援の考え方
応用行動分析を実施する場合、支援者の意識として、個人のアセスメントを実施する場面で、環境要因を詳細に記録する必要があります。環境要因には、以下のような者があります。
- 評価した場所
- 評価している作業内容
- 作業の性質(ひとり作業、集団作業)
- 今日の天気
- 気温・室温
- 湿度
- 障害者本人のバイタル
- 体調に関する評価項目
その他多数
環境と身体への影響に関する先行研究は多数存在するため、可能であれば、どの指標を優先的に収集するか確認しておく必要があります。応用行動分析における環境要因は、障害者との関連性を、時系列で正確に比較検討するために、定まった尺度で記録できるように事前整理する必要があります。つまり、記録用紙の「天気」欄が空欄で自由に記載するのではなく、「晴れ/曇/雨」のような選択肢の中から選ぶような評価方法です。
介入のイメージ
以下のような手順で活用することが可能です。
- 応用行動分析による介入の目標を設定する
- 分析する環境に関する評価項目を明確にする
- 課題となる行動が「ある・ない」に関わらず環境要因と反応(行動、成果物など)の記録を続ける
- 得られた記録を並べて比較する
※特に課題・問題となる行動が見られた際は注意深く環境変化の要因を捉える
応用行動分析は、「応用」と名前がつくように、形式的に決まった手順があるわけではありません。環境のどの情報を収集するかについては、「仮説」に基づいて立案する必要があります。
就労支援事業所の例では、障害者の体調変動と外部環境要因を記録し、分析を行うことがイメージできます。そうすることで、どのような条件が揃った時に、障害者本人の体調が変化しやすいのか、特徴を掴むことができます。
現代では、消費者行動などをデータ化するデジタルマーケティング領域の発展が目まぐるしいため、福祉業界における障害者の行動特性をデータ化し、支援に応用する取り組みは益々加速化していくものと感じます。まずは、普段の支援記録を正確に残すことから意識し、今後のデジタル化の傾向を捉えて対応いただければと思います。
まとめ
応用行動分析に関する概要をご説明いたしました。私も支援員として働いている時期に、支援記録を分析する機会が何度もありました。当然、障害者支援は、特性を簡単にデータ化できるようなシンプルなものではありません。個別性が強く、大変複雑に要因が絡んでいます。だからこそ、人の目と頭で分析を続けるのではなく、情報収集から分析までの大枠をデータで進めた上で、人間にしかできない人間らしさを追求した取り組みが必要であると感じています。応用行動分析は、まさにその一片を担う大切な考え方です。是非、普段の事業所運営に応用いただければ幸いです。
就労支援事業運営.comでは、国内で就労支援事業所の開業・運営支援を行っております。興味のある方は、お問い合わせください。最後までご覧いただきありがとうございます。
LINEで無料相談を実施する
LINE相談は福祉スタッフの皆さんとの出会いの場と位置付けております。生きた現場課題に触れることが、情報発信に重要と考えておりますので、是非お気軽にご活用いただければ幸いです。