【研修】「双極性障害」に対する就労支援事業所の関わりについて考える

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【研修】「双極性障害」に対する就労支援事業所の関わりについて考える

 こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやん(@kanematsu_redef)です。国内で、就労支援事業所の開業・経営支援を行っています。近年、障害者総合支援法の制度変更の傾向により、職員の資質向上や事業所としての福祉貢献度が事業所評価に直結するようになりました。「研修」シリーズでは、障害者と接する支援者が知っておく必要がある障害者に関する知識を発信していきます。

本記事は誰に向けて書いている?

  • 障害者と関わった経験が少ない方
  • 「解離性障害」について知識を深めたい方
  • 医療と福祉の連携に重要性を感じている方

 今回は、「双極性障害(躁うつ病)」について考えていきたいと思います。有名な障害であり、就労支援事業所で活動していれば、1度は支援対象になることがあります。症状特徴などを理解することで、対象者の病状の変化を捉えることができます。是非最後までご覧ください。

双極性障害(躁うつ病)とは

 気分高まったり落ち込んだりする状態が交互に現れる病気です。気分が高まった状態を「躁状態」、落ち込んだ状態を「うつ状態」と表現します。躁状態の際は、現実的に自制されていない行動を取ることがあります。例えば、誰それ構わずに話しかける、後先を考えずローンを組んで買い物をしてしまう、上司と大げんかして辞表を叩きつけるなど、衝動的で無計画な行動が特徴となります。一方で、うつ状態の際は、「うつ病」と似たような症状となります。一日中、憂鬱な気分となり、食欲の低下、活動量の低下、睡眠障害などの症状が現れます。

双極性障害のⅠ型、Ⅱ型の違い

 双極性障害には、「Ⅰ型」「Ⅱ型」があります。この違いは、躁状態の場面で、気分がどの程度高まっているかで分かれます。Ⅰ型の場合は、気分の高まりが大きく、明らかに異常な行動を行います。「ギャンブルに全財産つぎ込む」「巨額な買い物を行う」など、本人を知る他の人が見れば、明らかに気分が高まっています。Ⅱ型は、Ⅰ型に比べて躁状態が小さい状態です。他者から見ると、「なんだか最近元気すぎない?」「なんか人が変わった?」というように、気がつく人と気が付かない人に分かれるような状態です。

治療方法

 双極性障害は、ストレスなどによるメンタルによるものではなく、遺伝など脳の機能による問題と考えられています。まずは薬物療法を中心に行い、並行してい心理療法を実施します。

 薬物療法で選択される薬物はうつ病のものとはことなります。特に違うのは、うつ症状だけでなく、躁状態に対してもケアする必要がある点です。他の障害でも言えることですが、双極性障害の薬は長期安定的に服用し続ける必要があります。そのためには、心理療法を通じて、双極性障害の病態を正しく理解することも重要です。

 よく誤解されることとして、双極性障害は、Ⅱ型の方がⅠ型に比べて「軽い」と思うことです。確かに、躁状態の気分の高まりは、Ⅱ型の方がⅠ型に比べて少ないため、軽いと考えがちです。しかし、双極性障害は躁状態、うつ状態の双方を正しくケアする必要があるため、躁状態が分かりづらいⅡ型は、服薬でのコントロールがやりづらい状態でもあります。よって、Ⅱ型の方が軽いという考えはありません。

就労支援事業所での考え方

 双極性障害の躁状態とうつ状態の変化を捉えやすいのは、就労支援事業所であると考えています。

 双極性障害では、躁状態とうつ状態の変化には個別性があります。また、病院に受診に来るのはうつ状態のときが多いため、主治医もうつ病と双極性障害の鑑別が難しいことが特徴です。「うつ病」と診断されている障害者が、実は「双極性障害だった」ということは珍しくありません。

 就労支援事業所では、長期的に障害者と関わることが可能です。よって、障害者の症状に関する傾向を捉えることができます。うつ病、双極性障害ともに日々体調に関する変化を記録します。定期的に主治医と情報共有を行い、主治医の認識と症状にギャップが無いか確認します。

 これらの連携を通じて、思いも寄らない発見につながることがあります。例えば、「うつ病だと思われていた患者が、実は双極性障害のⅡ型だった!」などです。分かりづらい病気だからこそ、就労支援事業所だけでなく他の支援機関と連携し、病気を正しく捉えることが大切です。

まとめ

 双極性障害は、うつ病とは全く異なる病気です。しかし、類似している症状もあり、鑑別しづらい病気であると言えます。就労支援事業所として、障害者と継続的に関わることができる環境をうまく活用することで、他業種と連携しスムーズな障害者支援を提供することができます。体調に関するアセスメント項目を検討し、主治医等と連携する体制を検討いただければと思います。

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