【研修】「うつ病」について復習する
こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやん(@kanematsu_redef)です。国内で、就労支援事業所の開業・経営支援を行っています。近年、障害者総合支援法の制度変更の傾向により、職員の資質向上や事業所としての福祉貢献度が事業所評価に直結するようになりました。「研修」シリーズでは、障害者と接する支援者が知っておく必要がある障害者に関する知識を発信していきます。
本記事は誰に向けて書いている?
- 障害者と関わった経験が少ない方
- 「解離性障害」について知識を深めたい方
- 医療と福祉の連携に重要性を感じている方
今回は、「うつ病」について考えていきたいと思います。現代社会において、患者数が増えているうつ病は、もはや「国民病」と表現して良いかもしれません。就労支援事業所を活用している障害者の中にも、うつ病を診断されている方が多くいらっしゃいます。病気の分類や治療の方針など、基本的な知識を学びましょう。
うつ病とは
人間誰もが「気分の浮き沈み」を経験することがあります。気分の変化が著しく、身体症状(睡眠障害、自律神経失調など)が現れている状態を「気分障害」と表現します。うつ病は、この気分障害に含まれます。
うつ病は、気分が沈んだ状態が継続する障害です。うつ病に代表される症状が2週間以上継続した場合に診断される基準となります。背景には精神的・身体的なストレスが要因となり、脳がうまく機能しない状態です。ものの見方や考え方が否定的になることも特徴です。
発症の原因は、まだまだ分かっていません。感情や意欲を司る脳の機能に何らかの以上が生じている状態と考えられています。他の病気や薬物療法の影響によりうつ病が生じることもあるため、鑑別に注意が必要です。
うつ病の要因
発生する要因については、各専門学派によって見解が異なっています。例えば、幼少期の欲求が満たされないという体験が要因という説もあれば、児童期・青年期の経験が要因という説もあります。共通的な特徴は、「ものごとを否定的に捉える思考習慣」であり、支援者は障害者の思考を捉え、肯定的な方向に誘導することが重要であると考えられています。
うつ病の症状
様々な症状があります。代表的なものは以下のとおりです。
- 憂鬱で気分が上がらない
- 物事への興味がなくなる
- 食欲不振・体重減少
- 過食・体重の増加
- 睡眠不調(不眠や過眠)
- イライラした感情が続く
- 思考の速度や体の動きが遅くなる
- ちょっとしたことで疲れやすい
- 自分自身が生きることに対して価値がないと考えてしまう
- 判断力が低下する
- 死ぬことについて繰り返し考える
上記の「1」「2」の症状に加えて、他の症状がいくつか生じており、2週間以上継続する場合に「うつ病」と診断されます。実は、診断される前にうつ病に繋がるサイン(注意サイン)が現れることがあります。代表的なものは以下のとおりです。
- 頭痛・肩こり
- 性欲がない
- 動悸
- 胃の不快感
- 便秘・下痢
- めまい
- 口渇感
障害者を支援する際は、これらの周辺症状にも注意する必要があります。
うつ病の治療法
うつ病の治療として以下のものが上げられます。
- 休養
- 薬物療法
- 精神療法
それぞれを見ていきましょう。
休養
心身の休息を十分に取ることが、うつ病の治療には大切です。特に、「うつ病を発症した環境を変える」ことはとても重要なアプローチです。職場環境でうつ病を発症したのであれば、一定期間の休職や、場合によっては転職を考えることも良いかも知れません。休息中は、医師から処方された薬物に加えて、適度な有酸素運動を行うことが治療効果に繋がると言われています。
薬物療法
抗うつ薬に代表されるような薬物による治療も有効です。注意点として、抗うつ薬は、継続的に服薬を行うことで効果がでるものです。自己判断で行う服薬調整は大変危険であるにも関わらず、意外にも実施してしまっている方が多いのもの特徴です。処方されている服薬の内容や、効果が出るタイミングなど、主治医と十分にコミュニケーションを行う必要があります。
精神療法
うつ病患者の特徴である「否定的な思考パターン」に対して、医師や心理士が対話を通じて解釈の柔軟性を促すことで多様化を図ります。うつ病患者も、自身の思考が狭小化していることを自覚していない場合があります。精神療法では、思考を客観視できるように情報をまとめ、より柔軟な思考パターンの構築を目指します。
就労支援事業所ではどう考えるか
うつ病はネガティブな思考が継続的に続く病気です。就労支援事業所に通所できているという点では、薬物療法等で症状をコントロールし、前向きな行動を選択できるようになっています。しかし、薬物の自己中断など、再度うつ症状が強くなるリスクがあります。就労支援事業所は医療機関と異なり、障害者と週に何度も顔を合わせることができるため、メンタル変動の経過を捉えることができます。変動をアセスメントし、前述した症状が何日も続いている状態であれば、本人の服薬状況など医療支援の現状について確認しましょう。可能であれば、主治医の受診に同行し、体調の経過表と設定目標などについて情報を残し、設定目標の妥当性を確認しましょう。
まとめ
うつ病は、大変メジャーな病名で様々な症状が出ると言われています。しかし、一般的な症状を列挙してみると、思ったより数はなく、特徴を捉えやすいような印象を受けます。就労支援事業所は、「訓練」を提供する福祉サービスであることを考えれば、一定以上の身体的・精神的な負担が障害者に発生する環境です。当然、うつ病の障害者が施設を利用する場合は、薬物療法などでコントロールできていた症状が変化することが考えられます。必要に応じて、服薬の変更などの管理が必要になるかもしれません。医療との密な連携や早期の対応が必要になりますので、主治医と十分に連携できる体制を構築いただければと思います。
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