【研修】就労支援事業所で関わる「全般性不安障害」について

基本スキル

【研修】就労支援事業所で関わる「全般性不安障害」について

 こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやん(@kanematsu_redef)です。国内で、就労支援事業所の開業・経営支援を行っています。近年、障害者総合支援法の制度変更の傾向により、職員の資質向上や事業所としての福祉貢献度が事業所評価に直結するようになりました。「研修」シリーズでは、障害者と接する支援者が知っておく必要がある障害者に関する知識を発信していきます。

 今回は「全般性不安障害」(GAD)について学びたいと思います。前回、「不安障害」について説明しました。GADの特徴として、「漠然とした強い不安感」により日常生活や社会生活に支障をきたします。就労支援事業所でも、「就労」に支障をきたす可能性があるため、就労支援事業所の職員は、しっかり知識をつけ対象者への対処方法を検討しましょう。

全般性不安障害(GAD)とは

 全般性不安障害(GAD:Generalized Anxiety Disorder)は、「特定の状況に限定されない」「理由がわからない」なかで強い不安感が長期間続き、日常生活や社会生活に支障をきたす病気です。GADの患者数は、パニック障害の患者数よりも3~4倍多いといわれ、100人中6人くらいが経験するため決して珍しい病気ではありません。男女の差では、女性の方が約2倍多いと言われています。

GADの主な症状

 「強い不安感」の知覚が主な症状です。この症状により、身体的、精神的な影響を及ぼします。

●身体的

  • 疲労感
  • 肉のこわばり
  • 首・肩のこり
  • めまい
  • 頭痛
  • 震え
  • 息切れ
  • 動悸
  • 息苦しさ
  • 頻尿
  • 下痢

●精神的

  • イライラ
  • 6ヶ月以上続く不安
  • 刺激に対して過敏に反応する
  • 過緊張
  • 多動
  • 集中力の低下

 この他にも、多岐に渡る周辺症状を発症することからも、いかに「不安」が心身に悪影響を及ぼすかが分かります。

GADの原因

 GADはなぜ起こるのか?結論、原因は分かっていません。遺伝的要因や性格、ストレス状態、自律神経の障害などが発症に影響すると言われています。

 生活全般が関与するとも言われています。限定的ではなく、「家庭」「仕事」「近所付き合い」「天災」「政治」など、あらゆることが複合して起こるとも言われています。

GADの治療方法

 GADの対処方法は、「慢性的な不安」と「過緊張」の2点を取り払うことがポイントです。その方法として、「薬物療法」「認知行動療法」「リラクセーション法」などが用いられます。まずは「不安」により様々な悪影響が生じるため、薬物療法により不安のコントロールに努めます。徐々に日常生活における活動量を確保することができれば、次に不安の根源を探すための認知行動療法が行われます。認知行動療法は、不安の根本が患者の性格や思考の傾向によるところが大きい場合には有効な手段です。不安により生じている症状のケアとして、リラクセーション法も実施されます。これは、日中活動に生じた様々な制限により、全身のこわばりや睡眠不良などによる2次的な身体不調のケアする目的です。ストレッチや有酸素運動、軽い無酸素運動など、過度な疲労にならない程度に運動を行います。

 このように不安に対する直接的なケアと、周辺的なケアを複合することで日常生活や社会生活の生活水準を高めます。

症 状 の 軽 
根 本 習 慣 
の 改 善 
薬 物 療 法 
症 状 の 軽 
症 状 の 軽 
活 動 量 の 
向 上

就労支援事業所での考え方

 就労支援事業所では、日中活動に対する直接支援を提供するため、一見、日常生活は病的な制限が無いような印象を受けます。しかし、通所リズムが不安定になる障害者もいることから、ぎりぎり日中活動に参加できるというような心身レベルの方も多くいらっしゃいます。そのような障害者は、主治医から処方された薬物により、なんとか生活レベルを確保していることもあり、就労支援事業所では2次的な障害の予防や心身活動を確保するための支援提供が重要です。

 具体的には、適度な運動プログラムやリラクセーションプログラムを取り入れることなどが上げられます。更には、障害者本人が感じる「不安感」を具体的に表出することをサポートすることで、不安のトリガー要因を分析することも大切です。これらは、モニタリング場面などで効果的に運用することができます。意識することで、不安に対するケアにも繋がるため、是非施設内での運用方法を振り返っていただければと思います。

まとめ

 全般性不安障害は、決して珍しい病気ではありません。本人から不安に関する訴えがなくても、それは服薬により、症状が寛解しているに過ぎない可能性があります。日々の体調変動に留意して、不安の表出がある際には、表出内容や発生リズムに規則性が無いか留意することで不安症状の打開策が見つかるかもしれません。長く障害者と接することができる就労支援事業所だからこそできる支援を意識して、取り組んでいただければと思います。

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