【研修】就労支援事業所の職員向け「恐怖症性不安障害」とは

基本スキル

【研修】就労支援事業所の職員向け「恐怖症性不安障害」とは

 こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやん(@kanematsu_redef)です。国内で、就労支援事業所の開業・経営支援を行っています。近年、障害者総合支援法の制度変更の傾向により、職員の資質向上や事業所としての福祉貢献度が事業所評価に直結するようになりました。「研修」シリーズでは、障害者と接する支援者が知っておく必要がある障害者に関する知識を発信していきます。

本記事は誰に向けて書いている?

  • 就労支援事業所で働き初めて間もない方
  • 「不安」の治療を受けている精神障害者を支援している方
  • 就労支援事業所の業務に活かすために「医療」の考え方を知りたい方

 今回は「恐怖症性不安障害」について学んでいきましょう。前回の全般性不安障害(GAD)は、漠然と不安を知覚する状態でした。今回の恐怖症性不安障害は、また異なる経緯で不安を知覚します。就労支援事業所を利用する障害者の中にも、「不安」によって日中活動に支障を期待している事例があります。この「不安」をしっかりと分類し、関係者と適切な意見交換や情報共有ができるよう、知識を付けましょう。

「恐怖症性不安障害」とは

 ある特定の刺激や状況に対して、過剰な恐怖心をいだき、それを回避しようとする障害が「恐怖症性不安障害」です。一般的に、「恐怖症」と表現されることもあります。恐怖を知覚する状況に直面すると、不安反応が引き起こされ、時にパニック発作が生じることがあります。前回の「全般性不安障害」は、特定できない漠然としたなにかに対して不安を感じるものであったため、症状は対局的です。

主な症状

 一般の人からしたら、何も問題にならないような場所や物に対して、不安を知覚します。よく見られる状況としては、以下のような物が上げられます。

  • 広場恐怖
  • 社会恐怖
  • 特定の恐怖

 それぞれを見ていきましょう。

広場恐怖

 自身がすぐに退避することができないような環境に対して不安を知覚します。例えば、人混み、エレベーター、行列、公共交通機関の中、橋などが当たります。自身の心理的・身体的安全性が確保できないと恐怖を感じることから、家に引きこもりがちになります。

社会恐怖

 ほかの人と一緒にいることで恐怖を感じる症状です。「人が、自分のことを評価しているのではないか」「自分が恥をかいてしまうのではないか」など、対人関係にまつわる不安症状を知覚します。他人との交流が苦痛となり、初対面の人と会うことは特に苦手になります。

特定の恐怖

 特定の物体や環境に対して恐怖を感じます。恐怖を感じる対象物の種類によって、反応が変わります。対象物には以下のようなものがあります。

動物型:特定の虫や動物など

自然環境型:雷、高所、水など

状況型:閉所、高所、暗闇など

その他:上記以外

原因

 原因には様々な説がいわれています。一般的に言われるのは、「遺伝」「誤解」「心的外傷」「薬物」「他の精神障害による合併」「他の身体疾患による合併」などがあります。全般性不安障害と異なり、恐怖を感じる対象物が特定されやすいことが特徴になります。

治療

 認知行動療法として暴露療法や認知療法が活用されます。恐怖を感じる対象物によって、選択される治療法は変化します。例えば、一般的に「社会不安」に対しては、他者の考えに誤解が生まれていることが大きな要因です。よって、認知行動療法により、その認知の特性を確認していくことが選択されます。「特定の恐怖」や「広場恐怖」に対しては、暴露療法を活用した治療が提供されます。

就労支援事業所での考え方

 就労支援事業所では、恐怖を感じる対象物の特定やどのような認知特性があるのか、見極めることに強みがあります。地域の医療機関と就労支援事業所の環境の違いとして、就労や訓練を通じて、障害者と長時間生活を共にできることがあり、時に面談を重ねることで障害者を深く理解することができます。

障害者がどのようなことに不安を感じるのか

なぜ不安を感じるのか

不安を感じることに別のトリガー(発生要因)はないか

不安に規則性はないか

不安の対処方法はないか

 上記のような不安に対する詳細を確認し、主治医と情報共有を行うことで、主治医の治療選択に生きる情報を共有することができます。不安と向き合う障害者が多いことから、就労支援事業所だからこそできることを考え、評価につなげていただければと思います。

まとめ

 恐怖症性不安障害は、不安を感じる対象物が特定されやすいからこそ、詳細な情報を収集する必要があります。医療機関では、限られた時間内で情報を得る必要があり、患者の生活に入り確認することはできません。しかし、就労支援事業所であれば、就労機会や訓練を提供するなか、長時間生活を共に過ごすことができます。得られる情報量が増えるため、主治医と密に連携する中、優先度の高い情報を見極めてアセスメントを進めることができます。就労支援事業所だからこそできる取り組みかと思いますので、是非、アセスメント方法を検討いただければと思います。

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