【研修】就労支援事業所でどう考えるか?解離性障害との関わり方

基本スキル

【研修】就労支援事業所でどう考えるか?解離性障害との関わり方

 こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやん(@kanematsu_redef)です。国内で、就労支援事業所の開業・経営支援を行っています。近年、障害者総合支援法の制度変更の傾向により、職員の資質向上や事業所としての福祉貢献度が事業所評価に直結するようになりました。「研修」シリーズでは、障害者と接する支援者が知っておく必要がある障害者に関する知識を発信していきます。

本記事は誰に向けて書いている?

  • 障害者と関わった経験が少ない方
  • 「解離性障害」について知識を深めたい方
  • 医療と福祉の連携に重要性を感じている方

 今回は、「解離性障害」について考えたいと思います。就労支援事業所で働いていれば、一度は目にするこの障害、医学的にまだまだわからないことが多く、治療法が確立していない障害でもあります。一言に解離性障害といっても様々な症状や種類がありますので、まずは基本的な知識を学び、支援に応用できるポイントを探して行きましょう。

解離性障害とは

 まずは「解離」という状態を知る必要があります。解離とは、その人の記憶、感情、意識、行動、身体イメージといった記憶の全てあるいは一部が失われた状態を言います。例えば、特定の時間が抜け落ちたとり、自分の体から抜け出して離れた位置で自分のことを見つめているような感覚に陥ったりします。

 実は、病理はまだまだ十分に解明されていません。ストレスや心的外傷が発症に関与しているといわれ、何かストレスとなる記憶などを切り離すことで防衛的な反応を示しているのでは無いかと考えられています。

主な症状

 症状によって、以下の4つに分類されます。

  1. 解離性健忘
  2. 解離性遁走(とんそう)
  3. 解離性同一性障害
  4. 離人症

 それぞれを見ていきましょう。

解離性健忘

 情緒的なショック体験により、記憶を喪失してしまう状態です。ある一定期間のみ忘れてしまう場合と、その人個人のこれまでの記憶を全て忘れてしまう場合の2種類があります。

解離性遁走(とんそう)

 自分のアイデンティティが失われ、失踪し新たな生活を始めたりしている状態です。学校、職場など強いストレスによって、記憶を消失したいと考えと行動が合わさっている状態です。

解離性同一性障害

 自分の中に複数の人格が現れる状態です。ひとつの人格が現れているときは、別の人格についての記憶はありません。そのため、日常生活の場面で様々な支障をきたすことがあります。

 発達時期の外傷体験との関連が深いことが考えられており、性的虐待や家庭内暴力などが原因で生じる身体外傷後ストレス障害と関連していると言われています。

※解離性同一性障害の人の約80~90%が性的虐待、約70%が身体虐待を受けていたと言われています

離人症

 幽体離脱のような状態です。自分自身を、外から眺めているように感じています。これは「自己」が解離することで、2重な状態として知覚されるために感じるものです。

主な治療方法

 解離性障害の治療は、薬物療法と精神療法の併用が選択されます。ストレスが過多の場合には入院治療を選択する場面もあります。

就労支援事業所での考え方

 解離性障害は、周囲から理解されづらい障害と言われています。他者から見ると、解離性健忘や解離性遁走などの症状を見ると、「演技しているのではないか?」「自分に甘いのではないか?」というような印象を持ちやすい障害です。このことで、友人や家族が、障害者の苦痛を更に深めてしまうような予期せぬ言葉を発してしまうことがあります。就労支援事業所では、解離性障害の症状が、訓練や就労場面に影響を及ぼすことがあります。まずは障害の特性を理解した上で、実習先や一般就職先の担当者等に、この障害の特徴を十分に理解してもらう必要があります。

 解離性障害の症状は、過去のストレス体験を経て、乖離したい記憶や情報があること原因と言われれいます。よって、症状には出現の傾向が見られるかもしれません。症状の特徴を他の支援機関からヒアリングすることや、施設内で日々記録を残すことで傾向を把握しましょう。その記憶をもとに適正のある就職先を開拓する取り組みが、就職後の定着に良い影響を与えるものと考えられます。

まとめ

 解離性障害は、歴史とともに呼び方が変わり(以前は、「解離性ヒステリー」と言われていた)、少しずつ障害の特徴が明らかになってきました。しかし、まだまだ不明なことが多い障害であると言われています。時に健常者が理解できないような症状が出現することもあるかもしれません。そのような場面で適切に支援に関われるよう、主治医や他の支援機関と十分に情報共有を行うことが求められます。症状の予後や傾向を理解した上で、進路の策定等に活かしていただければ幸いです。

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