【研修】就労支援事業所で使える「観察法によるアセスメント」

基本スキル

【研修】就労支援事業所で使える「観察法によるアセスメント」

 こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやんです。国内で、就労支援事業所の開業・経営支援を行っています。近年、障害者総合支援法の制度変更の傾向により、職員の資質向上や事業所としての福祉貢献度が事業所評価に直結するようになりました。「研修」シリーズでは、障害者と接する支援者が知っておく必要がある障害者に関する知識を発信していきます。

 今回は就労支援事業所で使える「観察法によるアセスメント」について考えていきたいと思います。現場で支援を実施するにあたり、障害者は現状の課題や課題の解決策に繋がるような情報を常に発信しています。支援者は、形式的な紙面上のアセスメントだけでなく、観察を用いたアセスメントを実施する必要があります。ポイントなどを確認していきましょう。

観察法とは

 障害者の行動を観察してアセスメント情報を収集する方法です。障害者本人がおかれている状況下で、ごく自然な行動を情報に変換していきます。職員は、観察しながら障害者の行動特性や課題となる行動の出現頻度、出現間隔、強度などを記録していきます。観察法を実施する場面で、職員がコントロールできることは、障害者が活動する環境の設定のみです。障害者の行動や他者との関わり方について、声かけを行わず、アセスメントを残していきます。

観察法の種類

 観察法は、障害者がおかれている環境の違いにより、「自然観察法」と「実験観察法」の2つに分かれます。また、職員の関わり方の違いにより「参加型観察法」と「非参加型観察法」に分かれます。それぞれを見ていきましょう。

自然観察法

 障害者のごく自然な行動をアセスメントする方法が自然観察法です。職員は特に条件を指定せずに、普段と同様の環境下で、障害者にどのような行動特性がみられるのか確認していきます。慣れている環境であれば、心理的負担が軽減しているため、他者と比較した際に病気による特性が強く見られる環境であると言えます。

実験観察法

 職員が活動する環境を設定し、実施するアセスメント方法です。例えば音楽を流した環境やSSTなどで他者と関わりをもつ必要がある環境、施設外就労の場面などが該当します。障害者本人が慣れない環境であれば、心理的負担が生じている場面での行動特性を評価することができます。

参加型観察法

 職員が障害者と同じ環境で実施するアセスメント方法が参加型観察法です。障害者が感じている心理的・身体的負荷を、職員も具体的に知ることができます。障害者の行動特性と環境との因果関係を具体的に考察することができます。

非参加型観察法

 職員が障害者と異なる環境からアセスメントするだけでなく、職員の存在を意識させないように実施する観察法が、非参加型観察法です。「職員が見ている」という環境は、障害者にとって心理的負担になっている可能性があります。職員を意識させないことで、自然な行動をアセスメントすることができます。

観察法のメリット

 観察法には以下のようなメリットがあります。

  • 障害者の負担が少ない
  • 得られる情報量が多い
  • 環境と障害特性の関係性をアセスメントできる

 何かのテストを行うわけではありません。障害者にとっては自然でありのままの姿で過ごすだけで大丈夫です。よって、障害者にとっては負担の少ない方法であるといえます。

 観察法は、形式的なアセスメントとは異なり、その光景全てがアセスメント情報になります。例えば、屋内であれば障害者の行動だけでなく、室温や湿度も評価項目になります。また、他者との関わりが得られる環境であれば、関わる他者の人数や属性(男女など)の割合も十分な情報源です。環境と障害者の行動特性を関連付けて評価できることは、観察法のメリットであると言えます。

 ただし、これらの情報を評価チェックシートに変えることは難しく、客観性に乏しい評価になるリスクがあります。実施には、職員のスキルや経験則も重要となるため、新人職員にはベテラン職員とセットで実施することで「職員研修」としても活用することができます。

まとめ

 障害者をアセスメントする方法は多数存在しますが、なかでも観察法は臨機応変に沢山の情報を集めることができる方法です。常に障害者と向き合い、発信される情報を逃さないことで、個別性のあるアセスメントに繋がります。ただし、新人職員にとっては「何を見れば良いのかわからない」という事態も起こりうる方法のため、施設内でしっかりと研修を行う場面を設けるなど、事前準備も必要になります。是非、普段の事業所運営に活かしていただければ幸いです。

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