【研修】就労支援事業所で活かせる「行動療法」について考える

基本スキル

【研修】就労支援事業所で活かせる「行動療法」について考える

 こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやん(@kanematsu_redef)です。国内で、就労支援事業所の開業・経営支援を行っています。近年、障害者総合支援法の制度変更の傾向により、職員の資質向上や事業所としての福祉貢献度が事業所評価に直結するようになりました。「研修」シリーズでは、障害者と接する支援者が知っておく必要がある障害者に関する知識を発信していきます。

本記事から学べること

  • 人間の「行動」に関する特徴を知ることができる
  • 障害者に生じている「エラー行動」を捉え、改善方法の考察に活かせる

 就労支援事業所を活用する障害者には、皆さん強みを持っており、「後少しで一般就職できる」という方も多くいらっしゃいます。では、そのような障害者に対して、新しい行動習慣をどのように定着させればよいのでしょうか?

 行動療法の知識をつけることで、人間が行動を学習する基本的な理論を学ぶことができ、普段の支援プログラムに応用することができます。是非最後まで御覧ください。

行動療法とは

 「行動」と「学習」の関連性を追求した考え方です。

 1950年代、アメリカのスキナー、ウォルビ、イギリスのアイゼンクらによって、心理療法の一つとして体系化されました。

 この考え方では、「人間の不適応な行動は学習によって生まれており、同じく学習を活用することで改善することができる」と捉えています。尚、ここでいう「学習」は、「刺激(経験)に基づく行動の変化」のことを指します。

 刺激と行動の関係性には3つの理論が存在します。これらを理解することで、教育や支援の場面で様々な応用を行うことができます。

行動療法の理論

 刺激と行動の3つの理論は、①古典的条件づけ、②オペラント条件づけ、③モデリングがあります。それぞれを見ていきましょう。

古典的条件づけ

 パブロフが提唱した考え方です。「パブロフの犬」で有名な理論です。無条件な刺激は、無条件な反応を示す行動特性を表しています。

 パブロフは、犬に餌を与える前に、ベルの音を聞かせる刺激を加えました。一定期間が経過すると、犬はベルの音を聞いただけでよだれを垂らすような行動を発生させるようになりました。つまり、「ベルの音=食事→よだれを垂らす」という行動を学習したことになります。

 このことから、人間の不適応な行動も、ある刺激により学習された後天的なものであると考えました。

オペラント条件づけ

 スキナーが提唱した考え方です。

 行動することで、その後に得られる報酬による記憶により、行動が維持されるという考え方です。ここでいう「報酬」は、例えば快楽の刺激を得られることや、不快な刺激を回避することの双方が当てはまります。

モデリング

 バンデューラが提唱した考え方です。

 行動の多くは、他者の模倣により再現され、維持されるという考え方です。子供が親の行動を真似することで、行動が定着していくような状態が当てはまります。

具体的な事例と就労支援事業所での考え方

 人間の刺激と行動に関する3つの理論を応用することで、行動療法は成り立っています。これらの知見を深めることができれば、就労支援事業所での応用方法を理解することができます。

 古典的条件付けを応用した技法として、「暴露法」があります。障害者本人に定着している不適応な行動には、過去に経験した刺激による行動の定着が根底にあります。しかし、その刺激を行動に必ずしも因果関係があるわけではありません。あえて、障害者本人が避けている環境に暴露させることで、症状が再現されるのか確認するものが暴露療法になります。

 オペラント条件づけを応用した技法として、「応用行動分析」があります。障害者本人が実施している行動は、その後に得られる何かしらの報酬に基づいていると分析します。よって、不適応な行動の周辺環境を分析することで、一体本人が何を求めて行動しているのか考察できます。分析後は、得られる報酬の仮説に基づき、新たな行動によって得られる報酬をトレードオフの関係で認知に繋げます。結果的に新たな行動習慣を学習させるという考え方です。

 モデリングを応用する場合には、目標設定が極めて重要です。本人が目指す環境で活躍する他者を目標におき、本人が学習できる環境を用意します。模倣する習慣を構築することで、新しい行動習慣につなげることができるという考え方です。

まとめ

 就労支援事業所では、障害者の一般就職にコミットした取り組みを遂行する必要があります。最初のアセスメントでは、「なぜ今障害者が一般就職できていないのか?」に着目し、課題となる習慣、行動、能力を明確にします。次に新たな行動習慣の構築や能力開発に取り組む必要があるため、学習と行動に関する知識は必要不可欠です。初めて障害者と接するという職員は、まずは体系的に整備された学問を通じて知識を深め、実際の現場で実践的な知見を深めていただければと思います。

 就労支援事業運営.comでは、国内で就労支援事業所の開業・運営支援を行っております。興味のある方は、お問い合わせください。最後までご覧いただきありがとうございます。 

LINEで無料相談を実施する

 LINE相談は福祉スタッフの皆さんとの出会いの場と位置付けております。生きた現場課題に触れることが、情報発信に重要と考えておりますので、是非お気軽にご活用いただければ幸いです。

友だち追加