こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやんです。国内で、就労支援事業所の開業・経営支援を行っています。近年、障害者総合支援法の制度変更の傾向により、職員の資質向上や事業所としての福祉貢献度が事業所評価に直結するようになりました。「研修」シリーズでは、障害者と接する支援者が知っておく必要がある障害者に関する知識を発信していきます。
今回は就労支援事業所で使える「面接のコツ」について考えていきたいと思います。現場支援を行っていると、障害者と面接を行う場面は沢山でてきます。「面接は苦手」という職員でも、ちょっとしたコツを知っているだけで進め方が変わるかもしれません。是非ご確認ください。
なぜ面接が必要なのか?
対人コミュニケーションが苦手な障害者であれば、対面ではなくチャットやメールなどを活用することで有益なアセスメントに繋がる印象があります。確かに、文章にまとめられる情報であれば、これらの方法が適しているかもしれません。しかし、面接では得られる情報の資質が異なります。面接は言葉から得られる情報に重きを置いているのではなく、障害者から発信される言葉以外の情報が重要なため、
もし、コミュニケーションが苦手な障害者がおり、「面接時間の30分間、一言も話さなかった」という事実があれば、それ自体が情報です。他にも、言葉ではない「非言語的な情報」を得られることがあり、面接の醍醐味であると言えます。
面接にも種類がある
面接の方法にも種類があります。特に、面接の進め方が「構造的に決まっているか否か」で大きく分かれます。臨床心理の業界では、「構造化面接」「半構造化面接」「非構造化面接」の3つに大別されます。
構造化面接とは
職員が話しの流れを決めた上で実施する面接技法が構造化面接です。運営上必要不可欠な情報を収集することができる特徴があります。例えば、就労支援事業所の入所手続き等、「手続き関係」の面接では、必要最低限の情報を限られた時間で確認しなければならないので、構造化面接が効率的です。一方で、障害者に自由でフリーな発言を行う時間が限られるため、思いも寄らない大切な情報が得られづらいことも特徴です。
半構造化面接とは
構造的に必要な情報を収集しながら、時に確認する順番や内容を変化させる方法が半構造化面接です。構造化面接に比べて、障害者の自由度が高まるため、一部障害者にとって主体的な情報発信が可能です。バランスが難しく、障害者に自由を与えすぎると必要だった情報の収集漏れなどが起こりうるため、職員の面接スキルが問われる方法と言えます。
非構造化面接とは
完全に自由な面接方法が「非構造化面接」です。構造に縛られない自由な発言が許されるため、時に思いもよらない新しい発見が生まれることがあります。ただし、自由なあまりモラルに反した発言などがあると、トラブルを起こす可能性があります。
面接で使える働きかけ
職員が障害者と面接をスムーズに進めるために使える働きかけがあります。代表的なものは以下のとおりです。
●イントロ
面接の目的やこの面接で決めることを事前に障害者に伝えることで、主旨を抑えた面接となる。
●フォロー
障害者の発言に対して、言語的・非言語的に例えられる様々なリアクションを行うこと。
例)うなずく、ほほえむ、「なるほど」と伝える、手をうつなど
●解釈
「それは~ということですか?」「そうは~というりかいですか?」というように、物事の確信を捉える質問を行うこと。
●追求
「なぜそう思うのですか?」「その他にもありますか?」のように、さらなる情報を引き出す方法。
●沈黙
あえて発言をしない時間を作り、障害者に「思考」と「統合」の時間を与える方法。
●アウトロ
面談の最後に、イントロで共有した目的の達成状況を確認する方法。課題が残る場合には、別日を設けるなど、臨機応変な対応が必要。
これらの働きかけは代表的なものであり、その他にも様々な方法があります。何よりも、面談の目的やゴールを障害者と認識を共有させて実施する必要があります。よって、特に重要と考えられるのは「イントロ」と「アウトロ」です。このポイントを抑えるだけでも、メリハリのある面接の実施が可能です。
まとめ
就労支援事業所で使える面接技法についてご紹介しました。これらの方法は、職場内で実施している普段の会議でも十分に活用できる方法ではないでしょうか。就労支援事業では、時に関係者を招集して面接を実施することがあります。1時間の面接に4人が参加すれば、合計で4時間分の時間を使用します。目的意識をもって、メリハリのある時間となるよう、職員は事前に関係者に要綱を共有するなど、生産的な面接に繋がるように配慮する必要があります。普段の支援の参考にしていただければ幸いです。
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