【研修】アサーション・トレーニングで活用されるDESC法とは(就労支援事業所で実践!)
こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやん(@kanematsu_redef)です。国内で、就労支援事業所の開業・経営支援を行っています。近年、障害者総合支援法の制度変更の傾向により、職員の資質向上や事業所としての福祉貢献度が事業所評価に直結するようになりました。「研修」シリーズでは、障害者と接する支援者が知っておく必要がある障害者に関する知識を発信していきます。
この記事は誰に向けて書いている?
- 就労支援事業所でアサーション・トレーニングの導入を考えている
- 効果的にロールプレイングを実施したい支援員
今回はDESC法に確認してみましょう。前回、アサーション・トレーニングについて解説しました。アサーション・トレーニングの手順では、コミュニケーションにおける知識をインプットしたあと、実践的に活用できるようにロールプレイングを実施します。DESC法は、このロールプレイングをより効果的に活用するために運用されます。是非、前回の記事と合わせてご一読ください。
DESC法とは
アメリカの心理学者ゴードン・バウアーらによって提唱されたコミュニケーション手法です。
人はコミュニケーションを行う場面で、自身の主張だけを話したり(アグレッシブタイプ)、相手の主張を一方的に聞き入れたり(ノン・アサーティブタイプ)することがあります。これでは円滑なコミュニケーションを行っているとは言えません。コミュニケーションは複数人で実施する作業です。相手の主張を聞き入れ、自身が外すことのできないポイントを踏まえ、納得感のある落とし所を探ること(アサーティブタイプ)は大切です。
DESC法では、このようなコミュニケーションを実施する場面で活用されます。
「DESC」は以下の頭文字から名付けれらました。
D:Describe(描写する)
E:Explain(説明する)
S:Specify(提案する)
C:Choose(選択する)
これらの手順をD→E→S→Cの順番で遂行することから「DESC」となりました。
DESC法の活用方法
以下のように進めて行きます。
D:Describe(描写する)
まずは事実を描写することから始めます。事実や状況を正確に相手と共有し、目的を達成するための合意を形成します。
E:Explain(説明する)
事実や状況に伴い、相手の主張を聞き入れるだけでなく、自分自身の考えや気持ちを説明します。
S:Specify(提案する)
相手と自分の主張を踏まえて折り合えるポイントを見つけ、提案します。その際、複数の選択肢を用意することで相手に思考の自由度を与えます。
C:Choose(選択を促す)
相手に方針を選択してもらいます。複数の選択肢には、自身の主張が含まれていないものもあります。どの選択肢を選ぶとどのようになるのか、相手に説明することでスムーズな意思決定に繋げて行きましょう。
具体的な活用例
就労支援事業所の様々な場面でDESC法を活用することができます。例えば、支援員から事業所に通う障害者に対して、進路を選択する場面。
D:Describe(描写する)
「あなたはパソコンを使用したプログラマーの仕事に就きたいみたいだね!実際にプログラマーはとても高いスキルが必要となる仕事です。まとまった学習時間が必要ですね。しかし、あなたはまだまだ体調が安定せず、先週も5日中2日休んで1日早退していますね?」
E:Explain(説明する)
「あなたがプログラマーになりたいことに対して、私も応援します。しかし、学習時間が少ないあまり進路が決まらないようなことがあると、私としてもとてもつらいです。実は、気がついたのですが、あなたはしっかりと人と報連相などのコミュニケーションを行うことができます。」
S:Specify(提案する)
「あなたの場合、まずは自分自身の能力を活かし、できる仕事に就くことを優先するのはどうでしょうか?仕事を通じて体調を安定させることも大切な選択肢かもしれません。例えば、地域のスーパーなどの接客を必要とする仕事は沢山あります。このまま、プログラマーとしてプログラミングの勉強を続けるか、地域の小売店での実習などを目標にするかで支援の進め方は変わります。」
C:Choose(選択する)
「プログラミングの学習を続ける場合には、あなた自身の第一希望に向かうことができます。しかし、残り期間で実習などに参加できるレベルまでスキルアップすることは難しいかも知れません。スーパーの実習を目指すことができれば、あと6ヶ月で体調を整えて、7ヶ月目で実習につなげることができそうです。後者の方が一般就職の実現性が高く私も安心なのですが、いかがでしょうか?」
まとめ
DESC法について解説しました。ここからも分かるように、コミュニケーションを行う場面では、客観的な事実を相手と共有することが大切です。加えて、選択肢には自由度があることが基本です。しかし、コミュニケーションに慣れていない場合、相手と自分の双方に目をむける自由度の高い思考は難しいです。アサーション・トレーニングやDESC法から学び、スムーズなコミュニケーションと意思決定の方法を考えて行きましょう。
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