就労支援事業の開業に向けて人員を確保する

就労支援事業所開設マニュアル

就労支援事業の開業に向けて人員を確保する

 こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやんです。国内で、就労支援事業所の開業・運営支援を行っています。今回は就労支援事業所の開業に向けて、人員の確保についてご説明いたします。

※設備基準は施設の認可を管轄する窓口によって解釈が変わる場合があります。制度の解釈は、必ず管轄行政窓口に確認いただくようお願いいたします。

前回の開業マニュアルはこちら

 人員基準や未達成時のペナルティ、常勤換算の理解に関しては過去に記事を出していますので、そちらをご確認ください。

人員を確保する前に

  • 人員確保の目的を定める
  • 確保した人員は就業前までに効果的に活動してもらう
  • 確保したはずの人員が急遽辞退しないように対策する

 開業準備の段階で、人員を確保する目的を明確にしましょう。第一目的は基準を満たすことになりますが、その理由だけでは、いざ従業員が出勤してきても何もやることが無いという状況になりかねません。従業員が出勤すれば、当然人件費が発生するので、費用は最大効果につなげるように意識しましょう。施設を開設した直後は、障害者はひとりも通所しません。マーケティングのAIDMA戦略を参考に、まずは施設を認知してもらう営業のタスクを与えましょう。

 人員確保時に最もリスクとなるのは、認可を担当する行政窓口と実施する事前協議の段階で採用を予定している従業員が退職してしまうことにあります。従業員も採用から出勤までに空白期間があると、自身が実施する業務や新規施設とく環境への不安で、突然辞退を決意されてしまうことがあります。指定申請前の人員不足は、開業の遅れにつながる可能性が高いです。

 対策方法として、職務記述書(いわゆるジョブディスクリプション)を作成し、従業員と面接の段階で合意形成を行いましょう。職務記述書により、採用される従業員も、入所後の自身の行動が見える化されるため、安心感に繋がります。やる気のある従業員であれば、自ら率先して自己学習に励んでいただくなど、施設のスタートアップ時はありがたい動きを実施してくれると思います。

いつまでに人員の確保は必要?

 基本的には、指定申請時の45~60日前までに人員確保している必要があります。ただし、指定を担当する許認可窓口により解釈が異なりますので注意してください。この期限は、行政に指定申請書類の最終版を提出する期限となりますが、指定申請日までに雇用契約を締結する根拠を示すことができれば大丈夫です。つまり、4月1日の指定申請を目指している場合は、2月15日くらいに最終盤の指定申請書類の提出が必要となりますので、4月1日入社の承諾書等を整備した上で、提出することが望ましいです。これらの解釈は、指定申請を担当する行政窓口に十分確認した上で検討ください。

人員を確保する手段

 以下の方法を検討しましょう。

ハローワーク

 ハローワークの求人媒体は無料で掲載できるため先ず選択肢に入る手段になります。ハローワークから問い合わせがあれば、定めている企業の運営方針と職務記述書を踏まえて、面談→合否検討と進めていきましょう。

 デメリットとして、ハローワークは就業場所での事業実態と固定電話番号のなどが整備されている必要があります。物件は指定申請の2ヶ月前くらいの契約となるため、指定申請の段階でハローワークを活用した採用をスムーズに実施するためには期限が少ないことがネックと言えます。

有料求人媒体

 コストがかかる媒体にはなりますが、ハローワークよりも柔軟に求人を掲載できるため、選択肢に入ります。基本的にはハローワーク同様、企業の運営方針や職務記述書を定めた上で求人掲載を行いましょう。福祉介護系の求人媒体は複数あるため、費用対効果を比較検討した上で判断するように心がけましょう。

紹介

 知人や既に採用が決まった人員からの紹介による確保も選択肢に入ります。福祉業界は横の繋がりが強いため、紹介により立ち上げに賛同してくれるケースはよくあります。注意として、紹介した側と紹介された側の関係性を深く理解するように心がけましょう。なぜなら、紹介者同士が友人関係であった場合、仕事とプライベートの垣根が崩れ、現場統制が得られなくなるリスクがあるからです。可能な限り、紹介による人員確保は基準を満たす最後の手段と考えていただければと思います。

役員の人員換算

 どうしても人員を確保できない場合には、最初の段階では役員を人員にカウントするように工夫しましょう。役員であれば雇用契約は不要です。本来はタイムカードなども必要ありませんが、人員にカウントするのであれば、施設内で人員換算実績を作成して資料を残す必要があります。間違っても、施設で稼働している実態がない役員を、人員にカウントしているというようなことが無いように注意しましょう。

人材確保時のポイント

 パートタイムの従業員を効果的に活用しましょう。人員基準は、専従フルタイムの配置が不要な職種もあります。パートタイムは、正社員よりも人員確保しやすいこと、社会保険料の面でコストが安いというメリットがあります。デメリットは、人員換算表の作成が手間であるということです。社内で人員体制表の整備を仕組化することで、効果的にパートタイムを活用したいところです。

まとめ

 就労支援事業所において、従業員の確保は大きな課題であります。闇雲に基準を満たすことだけにとらわれると、いざ従業員になったタイミングで効果的な運用につながらないケースがあります。その対策として、施設の運用方針と職務記述書を定めた上で採用活動を行うことが重要であると考えています。よく、「理念に共感してもらうことが重要」とおっしゃる方も多いですが、必ずしもそうではないと思っています。皆、仕事だけが人生ではないので、仕事はあくまでも言われたことを淡々とこなしたいタイプの従業員もいます。キャラクターを有効に活かして取り組んでいただければと思います。就労支援事業運営.comでは、効果的な従業員の確保や、サービス管理責任者に特化した人材紹介会社等をご紹介することが可能です。興味のある方はお気軽にお問い合わせください

 最後までご覧いただきありがとうございます。