【研修】就労支援事業所の職員向け「発達障害者の職場環境調整」

職員向け研修

 こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやんです。国内で、就労支援事業所の開業・経営支援を行っています。近年、障害者総合支援法の制度変更の傾向により、職員の資質向上や事業所としての福祉貢献度が事業所評価に直結するようになりました。「研修」シリーズでは、障害者と接する支援者が知っておく必要がある障害者に関する知識を発信していきます。

 今回は「発達障害者の職場環境調整」について考えていきたいと思います。一般就職の際は、実際に就労支援事業所として収集してきたアセスメント情報に基づいて、就労環境を調整する必要があります。ポイントを確認していきましょう。

なぜ職場環境調整が必要なのか

 就労支援事業所で様々な訓練に挑戦し、徐々に対人関係になれてきました。自分の強みとなる能力や、弱みに対する対処方法を理解することができたため、ついに一般就職を目指す段階に入りました。就労支援事業所の社会的責任として、一般就職がゴールではありません。障害者が、就職先の企業に6ヶ月定着するところまで支援を行い、本人が希望する場合には、7ヶ月目以降の支援を提供する必要があります。

 しかし、今まで福祉の人材が身近にいる就労支援事業所から、福祉と異なる一般企業に環境が変わる場合、果たして発達障害者は安定して勤務を送ることができるでしょうか。

 大切なポイントは、一般企業の職員は福祉や障害については全くの素人であることを理解することにあります。福祉施設側が、就職者の障害に関する留意点を伝え、対応方法や必要な企業側の配慮を明確に引き継ぐ必要があります。

 企業に留意点を伝えることで、以下のようなメリットがあります。

  • 就職者本人の障害特性に合わせて職務提供がなされる
  • 部署や就業配置などの工夫につながる
  • 企業側が最低限求めることに対してどうすれば実施できるのか検討することができる
  • 就職者本人がストレスフルにならないよう企業担当者にも注視してもらう

就職先の企業と何を調整するのか

 障害者本人の特性により大きくことなります。確認ポイントは個別性が高く、パターンにはめることは難しいです。ただし、共通点はいくつかあります。例えば、以下のような内容です。

●職場環境について

  • 職場の雰囲気はどのような感じか
  • 仕事内容はどのようなものか
  • 1日の流れはどのようになるか
  • 本人はどの位置で仕事をするか
  • チームや他者(顧客など)との関わりが必要になるのはどのようなときか
  • 本人の指導役を担当いただく職員はいるか
  • 過去に障害者を雇用したことはあるか
  • 企業として最低限就職者に求めることはあるか

●本人の特性について

  • 障害名
  • この障害の特徴
  • 自身の強み・得意なこと
  • 自身の弱み・苦手なこと
  • 苦手なことに対する課題
  • 仕事を行う上で企業側にも協力いただきたいこと

 聞ける項目であれば、事前に企業側にヒアリングを行いましょう。ヒアリング内容を踏まえ、就職者の特性から、苦手と考えられる要素があれば、企業にその解決策を提案しましょう。加えて、一般就職後の定着を実現するためには、企業側の担当者にも合理的な配慮に関して依頼いただく必要があります。障害者の障害や特性、個性を正確に伝え、必要な配慮についての情報を共有しましょう。

やはり「環境」が大切という話

 発達障害者が一般就職を実現するためには、やはり物理的な環境に配慮することが大切です。例えば、音に対して過敏な反応を示す障害者に対して、コピー機やシュレッターの直ぐ側で仕事を行うことは大変強いストレスになり得ます。また、対人関係に強いストレスを示す障害者に対して、顧客窓口で不特定多数の来訪者とやり取りを行う業務は過負荷です。

 就労支援事業所は、アセスメント結果に基づいて本人が得意とすることや苦手とすることを明確に打ち出し、就職先の企業に説明する対応が求められます。これらの情報は、就労支援事業所の職員と就職者本人、企業側の担当者で3者面談形式で実施します。基本的には、障害者本人が企業の担当者に必要項目を伝え、回答に悩んだときや応用的な質問に対して職員が補足するという役割分担が望ましいといえます。理想論ではありますが、実現したい最終ゴールを思い浮かべながら、日々の訓練プログラムにつなげていただければと思います。

まとめ

 就労支援事業所が企業と就職者に対する調整支援を行うのは、最終局面であると言えます。これまで事業所の運営で培ってきた情報を生かして、企業とも正確な情報を共有を行うことが求められます。特に、就職後の細かい業務内容の調整というよりは、まずは就労環境内で継続的に発生するストレス因子が無いか確認することが大切です。企業側も、情報さえあればいくらでも配慮できるという状態は少なくありません。しかし、初めて障害者を雇用する企業に対して障害者支援に対する知識をつけてもらうことは、合理的ではありません。企業の業務内容を把握し、必要な情報を抑えた上で、就労支援事業所側から起こせるアクションを検討いただければと思います。

 就労支援事業運営.comでは、国内で就労支援事業所の開業・運営支援を行っております。興味のある方は、お問い合わせください。最後までご覧いただきありがとうございます。

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