【制度理解】就労移行支援事業所での「実習の実施」について

法理解

【制度理解】就労移行支援事業所での「実習の実施」について

 こんにちは!就労支援事業運営.com、管理人のまつやんです。国内で、就労支援事業所の開業・経営支援を行っています。今回は制度理解のコーナーです。障害者総合支援法の条文とその解釈に関する基準を含め、丁寧に確認していきましょう。

 紹介するのは就労移行支援事業所での「実習の実施」についてです。一般就職に向けて、障害者の方に実践的な訓練を実施できる実習にも、基準上のルールがあります。一読いただき、誤った運用を行わないよう注意しましょう。

※当記事は令和3年度の報酬改定時に発表された「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準について【新旧対照表】」を参考に作成しています。法解釈は運営している市区町村によって変わる可能性がありますので、事業を実施する地域の管轄市区町村にご確認いただきますようお願い申し上げます

本記事の結論

 就労移行支援事業所は、障害者が個々の能力に適合した就労先を見つけられるよう、実習先を用意しなければなりません。また、実習中は障害者に日報を作成してもらい、週次で計画を見直す必要があります。

就労移行支援事業所における「実習の実施」とは

 基準第30条に規定されており、同条には以下の通り記載されています。

第三十条 指定障害者支援施設等は、就労移行支援の提供に当たっては、利用者が施設障害福祉サービス計画に基づいて実習できるよう、実習の受入先を確保しなければならない。

3 指定障害者支援施設等は、前二項の実習の受入先の確保に当たっては、公共職業安定所、障害者就業・生活支援センター(障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)第二十七条第二項に規定する障害者就業・生活支援センターをいう。以下同じ。)、特別支援学校等の関係機関と連携して、利用者の意向及び適性を踏まえて行うよう努めなければならない。

 記載内容からも、就労移行支援事業所としては必ず実習先を確保する必要があります。また、基準に規定されていることからも、ハローワークや特別支援学校が実習先の開拓について、地域の受け入れ先情報を共有頂く役割を担っているため、積極的な意見交換が求められます。

実務上のポイント

  • 実習先の開拓は主に「就労支援員」の役割
  • 就労継続支援B型でも希望する障害者に対しては実習を提供する必要がある
  • 実習中は就労支援員が日報を作成し1週間に1回は実習計画の見直しを行う

 実習には基本的に就労支援員が同行する必要性について記載されています。しかし、数週間におよぶ実施に毎日職員が同行することは非現実です。就労支援員が同行しない場合には、障害者本人や自習受け入れ先の担当者に対して聞き取りを行うことで日報を作成することが記載されています。

まとめ

 就労移行支援を提供するに当たり、定着率の確保は極めて重要です。職場定着の可能性を見極めるため、一般就労前に必ず実習を受ける機会を提供する必要性があります。また、実習は企業努力で実施可否を決めるのではなく、基準に明確に記載されているということを踏まえ、支援プログラムの一環として整備する必要があります。一見、実習地の開拓や運用は難易度が高いと思われがちですが、障害者雇用の促進を担う公的機関であるハローワークや特別支援学校と連携することが記載されているので、当該施設にヒアリングし地域の実習受け入れ先を確保することが望ましいといえます。これから実習先を確保する予定の事業所は、是非確認していただければと思います。

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参考資料

厚労省HPより

https://www.mhlw.go.jp/content/000762248.pdf