【就労支援事業の報酬改定】就労継続支援事業A型スコア方式導入!運用のポイントは「就業規則」?「社内規程」?
こんにちわ!就労支援事業運営.comの管理人です。国内で、就労支援事業所の開業・運営支援を行っています。今回は、令和3年度の就労支援事業の法改定において、就労継続支援A型事業に新たに導入されるスコア方式について現在の情報を踏まえ、運用を考察したいと思います。
※当記事執筆者は社労士等、労務規程の専門家ではありません。記載情報の解釈は、各種専門家等のアドバイスなどを併用して実施してください。
前回の記事もご参考ください。
現状の問題点と経営課題
経営判断として難しいのが、令和3年度の運用方法がどのように解釈されるのか、現在時点(令和3年3月21日)で確定していない点です。
令和3年2月4日に障害福祉サービス等報酬改定検討チームから発表された、「改定案」である程度把握できている点は以下の通りです。
- 就労継続支援A型の品質評価でスコア方式を導入
- 本スコアは5つの項目から事業所を評価
- 満点は200点で前年度実績から合計点数を算出
- 点数によって本年度の基本報酬単価が決まる
- 5つの項目をグループ化すると「障害者の活動」と「社内規程」の2つに分けることができる
- 105点以上と、104点以下で経営に与える影響が大きい
- 経営インパクトを防ぐためには「社内規程」に該当する項目で高得点を得る必要がある
本記事の結論
労継続支援事業A型事業所の経営インパクトを最小化するために、スコア方式で高い点数を得る必要があります。令和3年4月1日までに就社労士等と連携し「社内規程等」を整備して可能な項目の得点を得られるように対応していきましょう。
「社内規程等」とは何が該当するのか?
以下のものを想定しています。 従業員に対して平等に周知されている情報と解釈しています。
- 就業規則
- 運営規程
- 社内規程
就業規則の意義
労働者が安心して働ける明るい職場を作ることは、事業規模や業種を問わず、すべての事業場にとって重要なことです。そのためには、あらかじめ就業規則で労働時間や賃金をはじめ、人事・服務規律など、労働者の労働条件や待遇の基準をはっきりと定め、労使間でトラブルが生じないようにしておくことが大切です。(厚生労働省HP:モデル就業規則より)
運営規程の定義
各事業所ごとに事業の運営についての重要事項に関する規定を定めるべきもの。(東大阪市HPより)
社内規程の概要
社内規程とは、会社の裁量で取決める規則の全般を指します。会社が独自に定めることができ、周知すれば雇用する社員との合意を形成する必要は必ずしもありません。(外部サイトよ)り)
「社内規程」で得られるスコアは?
令和3年度のスコア方式で、「Ⅲ.多様な働き方」の項目には次の3つが記載されています
- 令和2年度の実績で評価する
- 任意の5項目について規程等(就業規則、その他これに準ずるものに限る。)で定めており[以後省略]
(厚労省HPより)
- 毎年4月1日までの社内規程等への整備状況と前年度の活用実績を踏まえて0~2点で算出する
(岐阜県HPより)
このことから、当該項目について実際に、多様な働き方を推奨している事業所であり令和2年度に実績があったとしても、「社内規程に定めていなかった」というミスで、点数が得られないのは納得がいきません。社内規程の性質を理解したうえで、可能な対応を進めていく必要があります。
「社内規程」と「就業規則」の違いとは?
就業規則は、社内規定の一部です。特に社と従業員間の関りを取り決めしているものになります。以下はそれぞれの特徴をまとめたものです。
社内規程
- 会社の裁量で取決める規則の全般
- 会社が独自に定めることが可能
- 周知すれば別で従業員と合意形成を図る必要はない
- 規程に従わない従業員がいた場合、合法であれば社員に与えるペナルティの規定も可能
就業規則
- 会社と従業員間の取り決め
- 労働条件について契約等を含む
- 常時10人以上の社員を雇用する会社は労働基準監督署に届出と社員周知が「法律で決まっている」
- 必ず記載しなければならない事項と会社裁量で記載する事項に分かれる
就労支援事業所ではどのように取り扱われている?
指定申請時に、申請書類のひとつに「運営規程」がありました。「運営規程」と「社内規程」が混合されがちですが、「運営規程」は就労支援事業所を運営するにあたって定めている規程であるため、社内規程とは似て非なるものであると解釈できます。
「社内規程」の変更時に届出は必要?
運営規程とは異なるため、行政への変更届は必要ないと考えています。(必ず、管轄の指定申請窓口にご確認ください。)
※就業規則や運営規程に該当する項目を変更した場合には、体制変更届が必要になります。
スコア方式の「Ⅲ.多様な働き方」には、フレックスタイム制や在宅勤務に係る労働条件など、就業規則に定めなければならない項目があるため、就業規則に含まれていない場合には、社労士等と連携して、令和3年3月31日までに体制変更を行う必要があります。
まとめ
就労支援事業を運営するにあたって、基本報酬の算定区分は極めて重要な情報です。今回のスコア方式の導入により、就労継続支援A型事業所では生産性の向上だけでなく、労働環境に対する、いわゆる「質の改善」が求められるようになりました。労働環境の改善を目指すためには、専門家の知見を活用しながら取り組む必要があります。加えて、令和3年度の基本報酬算定に大きな影響を与えないために、事前の情報収集と迅速な行動が求められます。本音になりますが、全国的にみると目的を拡大解釈で捉えてしまう就労支援事業所も散見されるため、正しい情報収集と目的の理解のもの、体制改善に努めていただければと思います。
就労移行支援事業運営.comでは、就労支援事業の開業・運営サポート、業務効率化支援など行っております。関心のある方は、お問合せいただければ幸いです。本日も最後までご覧いただき、ありがとうございます。
参考情報
厚労省HP:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_16573.html
岐阜県HP:https://www.pref.gifu.lg.jp/page/26472.html