就労継続支援A型事業所とは

就労支援事業の概要

就労継続支援A型とは

一時代を築いたA型事業所の時代の終わり

国内に約3,200箇所ある就労継続支援A型事業所は、1時代を築いた障害福祉サービスであったと言えます。

障害福祉サービス事業が、国の委託事業ではなく、民間が参入することができる事業となってから、急激に増えたサービスと言えば、この就労継続支援A型でしょう。

これは、他の移行型やB型事業と比較して、ある事に大変優れた事業モデルだったからです。

ビジネスモデルの特徴

どの点が特徴的なビジネスモデルなのでしょうか?
それは、「ご利用者様集め」です。
就労支援事業のようなソーシャルビジネスは、固定比率の高いビジネスモデルとなっています。

国の認可を受けるためには、物件を構え、最低人員(人員基準)を確保した状態で運営を開始する必要があります。

開業エリアにもよりますが、
厳しい国の認可を受け、やっと開業した時には、ご利用者様は0人ですが、固定経費は月130〜200万出る事業であると言えます。

更に、このようなソーシャルビジネスは、飲食店と異なり、 売上をもらう権利(売掛債権)が発生してから、マネタイズ(現金化)するまでにタイムラグが約2ヶ月生じます。

例えば、
美容室で経営側がお客さんからお金をもらう権利を得るのは、お客さんの要望通り髪を切り終わった瞬間になります。

その後、お客さんをレジに案内し、いくらもらう権利があるのかを提示します。

お客さんが同意すれば、その場で支払っていただき、速やかに現金化することができたというわけです。

しかし、ソーシャルビジネスは、そうスムーズにはいきません。

我々は、施設の職員がご利用者様に日々支援を行います。

行った支援は記録を残し、残った記録を通じて職員間で情報を共有、更に支援について計画を立て、ご利用者の成長を目指すことを抜かりなく行います。
行った支援は、月末に1ヶ月分の履歴としてまとめ、月初に国民健康保険連合会に請求します。

その後、実際に会社に売上として現金が入るのは、45日後になります。

つまり、1月1〜31日まで行った支援のお金は、3月15日に銀行口座に入る事になります。
※何事もなければ

福祉施設も経営なので、資金が1円でも足りなくなったら倒産です。

なんとしてでも避けなければなりません。

ではどうすればいいか?

1日でも早くご利用者様を集め、経営を安定させるか、が大切になります。

各施設、創意工夫の中で施設に多くのご利用者様が集まるように広報媒体を充実させます。
この媒体において、移行支援やB型事業所と異なり、A型事業所は「求人媒体」を活用することができます。

ここでいう求人媒体は、「ハローワーク」のことを指します。
これは、A型事業所のみ、施設と利用者間で「雇用契約」を締結するという契約形態の違いがあるからです。

ハローワークを活用することで、A型事業所では、他のサービスと比較して圧倒的なスピードで集客に結び付けることができるというわけです。

A型事業所の課題

ご利用者様を集めることに大変優れていたA型事業所ですが、大きく体制がかわりました。

繰り返しになりますが、A型事業所は「雇用契約」です。
施設側は、A型事業所のご利用者様に「仕事」を提供し、A型の利用者は「労働」の対価として、最低賃金以上の「賃金」(=給料)を得る権利があります。

この賃金については、A型事業所のご利用者様が行う、施設内での仕事で得た利益から支払う必要があります。
別の記事に載せますが、現在の国内にあるA型事業所のうち、最低賃金を上記の仕事で得た利益から支払えている事業所はほとんどありません

既存のA型事業所も、この点をどのように改善するかに日々追われていますし、
これからA型事業所を行いたいという事業者に対して、国もかなり厳しい審査基準を設けて、この辺りの達成見込みの根拠を求めてきています。

まとめ

どれだけ早期に利用者を集めることができるかが、就労支援事業の最初のポイントであるなかで、A型事業所は、他のサービスと比べて「求人」を使用することができる点で、優れています。

しかし、ただ、集めればいいというわけではなく、A型事業所のご利用者様には仕事を提供し、粗利を出し、お給料を支払う必要があります。この点は達成できなければ、行政からペナルティや、最悪の場合、運営を停止に導かれる可能性もあるので、注意が必要になります。

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