就労支援事業所の開業に成功する①開業理由と事業所の方向性を明確にする!

【就労支援事業所の開業に成功するためにまず最初にやること】 開業理由を明確にして、理念・ビジョン・どの様な事業所にするか明確に打ち出す

回りっくどい!ビジネスは行動あるのみっしょ!

と思った方ほど要注意(笑)

この手順をないがしろにした施設は、間違いなく潰れますよ。

就労支援事業所は、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型のいずれの種類も問わず、施設にはスタッフ、利用者含め毎日40~50名ほど関わります。

この規模であれば、中規模企業にあたり、組織となります。

これほどの人数が同時に正しく道を進むためには、どうすれば良いでしょうか?

私はこの業界に長く携わっていますが、様々な経営者の方とお会いしました。

中には、事業所運営に失敗し、ボロボロ(会社代表本人も、施設のスタッフも、利用者も)になっている事業所もありました。

現場のスタッフは施設に対して不平不満の嵐。

経営者も「現場が言うことを聞かない」とか、「導入から悪徳なコンサルタントに騙された」など、開業しているにも関わらず、ネガティブな話ばかり。

残念でなりません。

ハッキリ言います。

事業所を初めて運営が安定しないのは、全て、代表であるあなたひとりの責任です。

スタッフも、利用者も、当然コンサルタントやフランチャイズ本部も、全く関係ありません。

「騙された」とか「みんながしっかりと動かない」などと話している時間があるのなら、すぐに現状を分析し、改善策を打ち出しましょう!

一度崩壊した現場を立て直すには、時間もお金も、信頼も浪費します

辛いですね。

このサイトを見ていただいている方には、悲惨な事態を未然に防いでいただきたいと心から思っています。

そのために、以下のことを必ず守って開業準備を進めていただきたいと思います。

※すでに開業している施設でも、以下のことが徹底できていないのであれば、見直す参考にしていただければ幸いです。

【就労支援事業所の開業ステップ】開業理由を明確にする

あなたはどうして数ある事業の中で、「就労支援事業所」で開業したいと思ったのでしょうか?

2020年現在の業界動向として、

  • 2019年は閉所する事業所が過去最大となった1年
  • 就労支援事業の報酬単価は徐々に下がって行く傾向にある
  • 今後はサービスの種類を問わず、事業所に通所する利用者の実績ではなく一般就職に導いた実績のみが評価される時代となる

結論、運営は厳しくなる現状にあります。

それでも尚、就労支援事業所を開業したい!と思った心には、何か熱い想いがあると思います。

先ずはその気持を明確に打ち出して見ましょう。

開業理由を明確にする理由

施設の代表者、かつ、経営者として、ビジネスを成功させるマインドをセットに効果があります。

綺麗事を抜きに、開業した後の世界はかなり厳しい現実があります。

思い通りに行かないことが当たり前。

常に前を向き、改善策を打ち出して行かないことには何も変わりません。

あなたが開業に向けて動き出したきっかけの想いを、いつでも振り返えられるようにしましょう。

筆者の場合は、施設を開業する!と決心した際に、ノートにその理由を10個明記して、いつでも振り返ることができるように持ち歩きました。

めんどくさい?

やる意味がない?

マインドセットができなくて、無残な結果に終わっている人を沢山見てきました。

繰り返しになりますが、2019年は過去最高件数の就労支援事業所が閉所しました

他のオーナーと同じ思考で進めていたら、同じ結果になると感じます。

心から、このステップを忘れないでほしいと感じています。

【参考著書】

【就労支援事業所の開業ステップ】会社理念・ビジョンを明確に打ち出す

最初に事例から説明させてください。

以前、筆者が所属していた就労支援継続支援A型事業所でこの様な議論が発生しました。

ーー

議論の内容は、A型の利用者に新しい仕事として何を準備するか。

当時の代表は、最低賃金以上を稼ぐのは段階的に進めるため、

先ずは時間・一人あたり500円の稼ぎが期待できる仕事の創造を進めていました。

それまで、利用者は自施設のパンフレットの折込業務などを行っていました。

そんな中、生活支援員の一人が「毎日同じ仕事で、利用者が可愛そう」という個人的判断で、知り合いの業者から仕事を受注し利用者に提供します。

その仕事内容は軽作業の為、利用者一人が1時間に生み出せる売上は200円弱。

結果、当時の代表が考えていた月の売上目標は全く達成できませんでした。

その反面、一部の利用者は新しい仕事ができて楽しかったと話し、少数の利用者は新しい環境に適応できずに休職となりました。

ーー

皆さんは、この話を聞いてどう思いますか?

2017年当時のもので、まだ、就労継続支援A型事業所の新規開設の規制がゆるく、生産活動に対して厳しい行政指導の政策が広がる前の話です。

当時の代表は堅実であったため、最低賃金をクリアできるように仕事を組み立てていましたが、施設のスタッフが同じマインドで進むことができなかった状況です。

今振り返ると、

この会社では明確に理念とビジョンを打ち出しておらず、従業員は会社業務をそれぞれ個人の価値観で進めていたと感じます。

新規立ち上げの事業所に、従業員ひとりひとりを丁寧に教育する時間はありません。

ある程度、個人の価値観に依存して会社経営を進めて行く必要があります。

会社が目指すべき最終地点を共有するために、全スタッフの行動指針となる理念・ビジョン(ゴール)は明確に示す必要があるのです。

【就労支援事業所の開業ステップ】会社理念・ビジョンの違いとは?

会社理念とビジョンの違いや、その他に、Misson(使命)、Value(価値観)など、組織マネジメントの考え方については、諸説あります。

シンプルにまとめると、

理念:ベースとなる考え方

ビジョン:組織的な目的で将来のあるべき姿

使命:社会的な目的

価値観:組織的な行動

となります。

就労支援事業所の開業時に会社理念・ビジョンを示すことのメリット

  • 経営判断を下す時に社員の賛同を得られやすい
  • スタッフの離職率を下げることができる
  • 意思決定スピードが上がりゴールへの道筋が最短になる

就労支援事業所の開業時に会社理念・ビジョンを示さないとどうなる?

  • 代表者の経営判断を行う時、不毛な議論が発生しやすい
  • スタッフマネジメントや採用活動に時間が割かれてしまう
  • 事業所として経営的・福祉的結果が出ない

就労支援事業所の開業時に示した理念・ビジョンをどう活用する?

採用活動で賛同を得る

打ち出した理念は飾りではありません。必ず採用活動で求職者に伝えてみましょう。

その際、「同意・賛同・建設的な意見」が出る求職者であれば合格です。

しかし、「否定・過去の武勇伝・内容を理解していないような相槌」出会った場合、採用は慎重に考えた方が良いと思います。

就労支援事業所は飲食店のようにマニュアルが整備されている中、ひとりひとりが動く労働集約ビジネスではありません。

制度変化や、障がい者とのコミュニケーションが中心のため、スタッフの知的判断を求められるビジネスのため、採用段階での戦略が大変重要です。

こちらの記事も参考にしてみてください。職員がやめる?~採用する段階から戦略を組んでいますか?も参照。

定期的にリマインド

会社であれば、週次、月次、2ヶ月に1度程度の会議の場を設けます。会社理念を、しっかりと振り返る時間を設けましょう。

そして、スタッフの深層心理にセットし、職員全員で同じ方向を向いて業務を行うように心がけましょう。

参考になる書籍も掲載しておきます。

ご存知でない方は必ずぜひ読んでみてください。

就労支援事業を成功に導くためのヒントが強く含まれています。

ここが重要!就労支援事業所の開業で定めたい「職員向け」と「利用者向け」の理念とは

就労支援事業は、職員と利用者で行動が変わります。

ここの線引きをしっかりと行う必要があります。

就労支援事業所の現場を見ると、利用者の意思決定に振り回されている職員の姿をよく見ます。

利用者も過去の社会経験を軸に行動を起こすわけなので、個人的価値観に支配されています。

ただ人数だけ集めてしまうと、事業所の運営が破綻するリスクもあります

更に、スタッフと利用者で役割が変わるわけなので、当然ですが理念やビジョンは変わってきます。

意思決定のスピードや、方向性を見失わないようにするため、

利用者向けの理念・ビジョン・使命・価値観の設定をおすすめします。

さいごに

就労支援事業所を開業するのであれば、組織マネジメントの視点が大変重要です。

不用意に準備だけ進めて、開業後に全員違う方向を向いている。

こんなったら最後、事業所は破綻の一途をたどるでしょう。

これだけ失敗する事業所が多い中、筆者は過去4ヶ所の事業所立ち上げに直接携わり、10施設以上の開業をサポートしました。

サポートした施設には、残念ながら閉所に追い込まれてしまった事業所もあります。

その失敗のパターンとしては、この記事に載せているような事業所の軸となる考えが定まっていないということがありました。

十分に注意して、進めていくようにしましょう!